ナタリー PowerPush - BUMP OF CHICKEN
深い思慮の時間を重ねて生まれた 珠玉のダブルAサイドシングル
推敲や添削をせず、瞬発力だけで書いた曲
──先程おっしゃっていた、「何を歌うべきか」というところが見えた、最初のきっかけを教えてください。まず、「R.I.P.」が生まれてきた背景はどういうものだったんですか?
藤原 スタジオでギターを持ってあぐらをかいて、そこでもう詞もメロディもコードも同時に出てきた感じです。まっさらな状態から作り始めたんですけど、完成までは早かったですね。で、エンジニアさんもそこにいたので、協力してもらって。細かい指示をしていきながら、その日のうちにデモのおおまかな形は完成させました。だから、「何を書こうとしたか」っていったら「聴いたまんまでとらえてください」としか言えないというか。僕自身もいろいろなことがよくわかっていないので……瞬発力だけで作ったようなものなので。
──そういう作り方って、珍しくないですか? 藤原さんとしては。
藤原 できた曲を即スタジオで、っていうのは今まであまりなかったです。過去でも……たぶん「fire sign」と「かさぶたぶたぶ」ぐらいだと思います。普段は自分の家ですごく作り込んで……メロディに関しても、コードに関しても、歌詞に関しても、何回も推敲して添削して。で、ひとりでデモテープを作って、それからスタジオに持っていってみんなに聴いてもらうので。この曲は推敲とか添削とかをしていないので、もしかしたら他の曲に比べたらリスナーの人が入り込める間口が狭いかもしれない。例えばドールハウスだったら、「ここが入り口ですよ」ってドアを付けて、「ここから覗いてください」って窓を付けるみたいなことをいつもならやっていたと思うんです……意識的なのか無意識なのかわからないけど。今回、その作業をやっていないので……できていたらいいな、とは思うんですけど。できていない可能性もあるわけで(苦笑)。
自分たちが好きかどうか、に意味がある
──でも、間口に関しては……藤原さんの歌い出しの声、歌声が入り口になっていると思います。この曲の。
藤原 あー! そうだったら良かったです。それは本当にうれしいことです。
──いろいろ考えながら聴き込みましたけれど、でも声に導かれるところが入り口だったのは確かです。そこからあとは「自分がどう感じるか」だとは思いましたが。
藤原 はい、確かに。ちょっとおっかなびっくり感はありますけど、でも最初に出たものを信じるしかないのかな、と。誰かに聴いてもらうことを前程に作っていたわけではなかったので、信じる必要もなかったんですけど……俺はわかりますから、この詞を見て。でも、最初メンバーに聴いてもらう時にすごく怖かったですし、それでも「聴いてもらいたいな」っていうことをいつにも増して思って。この曲を聴いてくれる人は、たぶん今まで俺たちのいろいろな曲を聴いてくれていたと思うので、もしかしたら違和感を感じるかもしれないし、もしかしたら「いつもどおりで芸がないな」と思うかもしれないし(笑)。それはわからないですけど。でも、毎度毎度言っていますけど。気に入ってもらえたらうれしいし、気に入ってもらいたいんですけど、決してそこがすべてではないんですよね。自分たちがその曲を好きかどうか、っていうことに一番意味があるので。
記憶がよみがえる詞、スピード感のあるアレンジ
──藤原さんから、「最初メンバーに聴かせるときは怖かった」というお話がありましたが、皆さんは最初に「R.I.P.」を聴いたとき、何を感じて、どう受けとめられたのでしょうか?
升 この曲ができたのは多作な時期で、いろいろな曲を結構ハイペースで聴かせてもらっていたんです。だから他の曲もあった中で聴いたんですけど。もう単純に、「すごくいいな」と思いました。で、詞は自分の感覚としてはすごくフラッシュバックするものがあったりとか、自分の記憶がよみがえってきたりしましたね。あとアレンジに関しては、すごくスピード感があるので、そういう曲を聴けたのはうれしかったです。でも何よりうれしかったのは、こういう曲をやれる、この曲を自分のフィルターを通して表現できる喜びが感じられることで。もちろんそれは、この曲に限ったことではないんですけど。
直井 最近思うのは、「本当に歌っていうのは感想が言えないな。言葉にできないな」っていうことなんです。本当に感動するし、すごくドキドキするし、ただひたすらうれしいっていう……。だから秀ちゃんが言った「プレイできてうれしい!」とか「ドキドキする」とか、ホントにそれに尽きちゃって。「何というものなんだろう、これは?」みたいな感じですよ。
増川 俺はいつもそうなんですけど、自分自身にこんなに重ねることができる歌は他に知らないし、そういう喜びっていうのは藤原の曲を聴くたびに毎回思うんです。で、今回も例にもれずで。自分が実際に経験したことに重なったり、逆にそうではないこととかもあるし……そういう“知ってる記憶”とかを思い出せますし、そこにまたいろいろな感情がわいてくるような曲でした。“R.I.P.”の意味を知ったときには「『R.I.P.』っていうタイトル、本当にピッタリだな」って思いましたし。
- [着うた]
- 2009年11月11日配信開始
各105円(税込) - ・Merry Christmas(1Aメロ~サビ)
- ・Merry Christmas(2サビ)
- ・Merry Christmas(Dメロ~サビ)
- ・Merry Christmas(エンディング)
- ※4バージョンのそれぞれで異なるオリジナル待ち受けをプレゼント
- [RBT(メロディコール/待ちうた)]
- 2009年11月11日配信開始
各105円(税込) - ・Merry Christmas(1Aメロ~サビ)
- ・Merry Christmas(2サビ)
- ・Merry Christmas(Dメロ~サビ)
- ・Merry Christmas(エンディング)
- [着うたフル]
- 2009年11月18日配信開始
315円(税込) - ※ダウンロードするとオリジナルクリスマスツリー待ち受けFLASHプレゼント
- [ビデオクリップ]
- 2009年11月18日配信開始
525円(税込)
BUMP OF CHICKEN
(ばんぷおぶちきん)
1994年に中学3年の文化祭用バンドとして結成。高校入学後に本格的な活動をスタートする。地元・千葉や下北沢を中心にライブを続け、1999年にインディーズからアルバム「FLAME VEIN」を発表。これが大きな話題を呼び、着実に知名度を上げていく。2000年9月にはシングル「ダイヤモンド」で待望のメジャーデビューを果たし、その後も「jupiter」「ユグドラシル」といった名曲満載のアルバムを発表。2006年9月にはアルバム収録曲から着想を得て制作されたオリジナル無声映像作品「人形劇ギルド」もリリース。現在まで不動のメンバーでマイペースに活動を続けている。