超特急|8号車の“輝く星”であるために 3日間のオンラインライブで5人が放ったメッセージ

超特急のライブBlu-ray「BULLET TRAIN ONLINE SPECIAL LIVE『Superstar』」が、3月24日にリリースされる。

超特急は昨年12月25日から3日間連続でオンラインライブ「BULLET TRAIN ONLINE SPECIAL LIVE『Superstar』」を開催。1日ごとに「超特急のテーマパーク」「超特急のキズナ物語」「クール&セクシー」という公演テーマを設け、まったく趣向の異なる演出とセットリストで毎夜8号車(超特急ファンの呼称)を楽しませた。

3日間のライブの模様を完全収録する今作のリリースに際し、音楽ナタリーではメンバーにインタビュー。例年とは異なるコロナ禍の年末、どんな思いで3つのライブを作り上げステージに立ったのかを5人に聞いた。

取材・文 / 三橋あずみ 撮影 / 斎藤大嗣

いないからこそできる演出

──総合演出も担当されたユーキさんは、映像作品になった3日間のライブを観て、どう感じましたか?

超特急

ユーキ 僕はステージに立つ側でもあるので、完全に客観視はできないんですけど……感慨深いというか、よいライブだったなと思いました。一緒にライブを作ってくれたスタッフさんにも好評で、「超特急の2020年が締まって、2021年が楽しみになるようないいライブだった」と言っていただけたので、素直にうれしかったです。それにBlu-rayは、当日配信された映像と比べると、メンバーの表情や伝えたいことがより明確にわかるようなアングルに変わっていたりもするので、8号車にはそういうところも楽しんでいただきたいですね。

──超特急は年末に大規模なライブを開催するのが毎年の恒例となっていますが、今回のライブは無観客の配信ライブという形でした。ライブを作っていく過程も普段とは異なるものだったのかなと思うのですが……。

カイ これまでの大きなライブだったらほぼ毎回あったトロッコのような装置もまったくないですしね。でも捉え方を変えれば、配信じゃないとできない演出だらけだったので。

リョウガ 客席に8号車がいないからこそできる演出もあったんです。2日目に披露した「Beautiful Chaser」での炎の特効とか、3日目の僕のソロコーナーで披露したレーザー演出とか。お客さんを入れた会場だと規制がかかるものが200%ド派手にできて、映像に華やかさが生まれるという強みもあったんですよね。8号車が実際に目の前にいなくて、コールがないから気持ちが作りにくい……というマイナス面だけじゃなく、演出面ではプラスになる要素もありました。

カイ 目の前に8号車の皆さんは見えないけど、そこに存在しているようにライブをするというのは、難しくもあり楽しくもありという感じだったよね。

タクヤ

タクヤ 実際に8号車が目の前にいるときよりも、さらに“届ける意識”を大切にしなきゃいけないと思いましたし、あとはカメラへの目線が命。決めるところはしっかりとみんなに目線を送る、ということはすごく意識しました。

──ボーカルのタカシさんは、歌で画面の向こう側まで思いを届けるとなったとき、いつもと違う心持ちがあったりするものですか?

タカシ そうですね。実際に目を見て話すときと、電話で話すときの違いみたいな感覚はあります。だから、画面越しではあるけれど、どうやったらダイレクトに思いを伝えられるか。鮮度を落とさずに歌を届けられるかという点は、強く意識していましたね。

“超特急の遊園地”でデート

──3日間のライブには1日ごとに異なるテーマが設けられていました。初日から順に「超特急のテーマパーク」「超特急のキズナ物語」「クール&セクシー」というテーマでしたが、こちらは?

リョウガ テーマは自分たちで決めたね。

ユーキ そうだね。全部決めさせていただきました。

──ここからは1日ずつ順にお話を聞いていけたらと思います。12月25日の結成記念日に行われた初日のライブは「超特急のテーマパーク」というテーマでした(参照:9回目の結成記念日は8号車を“テーマパーク”へエスコート、超特急の3日連続配信ライブが開幕)。

ユーキ

ユーキ 今は、遊園地にも気軽に行けないような状況ですしね。“超特急の遊園地”に遊びに来てくれた8号車をイメージして、一緒に超特急の誕生日をお祝いするようなライブにしようと。あとはデート気分と言いますか……8号車とデートして記念日を過ごすみたいな、ハッピーなイメージで作っていきました。

──初日はライブ初披露の曲が盛りだくさんで、それだけでも見応えがありました。「Winter Show」「What's up!?」「キズナアルゴリズム」などがありましたが、それぞれに気に入っている新曲はありますか?

カイ 僕は「Winter Show」がすごく好きですね。クリスマスソングみたいにシーンを限定せずに冬という季節を歌った曲だから、寒くなったらいつでも披露できそうな汎用性があるし、曲自体に幸福感があふれていていいなって。僕らがずっとお世話になっているkazuki(s**t kingz)さんが付けてくださった振りも、かわいらしさの中にカッコよさがミックスされていて、そのバランスが超特急らしくて好きだなと思います。

リョウガ 僕はタクヤと一緒で「What's up!?」ですね。

タクヤ !? まだ言ってないんだけど! なんでリョウガが決めるの……。

一同 あはははは(笑)。

リョウガ この曲は踊っていて楽しいし、自然と笑顔になっちゃいますね。ただ、8号車の前で披露したときにやっと完成するようなライブ曲だと思うので、その日が待ち遠しくもどかしい気持ちもあるんですよ。8号車のコールが聞こえないのがもどかしかったよね? タクヤ。ごめんなさい、タクヤと被っちゃったんですけど。

タクヤ えええ……?(困惑の表情)

──確かに、「What's up!?」は今後ライブの定番曲になっていきそうな気がしました。

タカシ

タカシ 歌っていてもそう感じましたね。僕も超特急のライブ曲のラインナップにスッと並びそうな曲だなという印象です。

──では、タクヤさんのお気に入りの新曲は?

タクヤ 「What's up!?」です……。

ユーキ 結局一緒なんかい!(笑)

タクヤ すみません、リョウガと被るのはイヤなんですけど(笑)。でもホントに“ザ・ライブ!”って感じがして、定番化していきそうだなって。セットリストのどの位置に置いても楽しめるし、8号車と一緒に作り上げられる曲だと思うので、成長が楽しみなんですよ。

リョウガ 映像を観るとよくわかるんですけど、この曲のときのタクヤの表情がね、もう小学生みたいな。すごいワクワクキャッキャしていて楽しそうなんです。だから好きなのが伝わるんですよねえ。

タクヤ (笑)。みんなだって同じような顔でしょうよ。

ユーキ 僕はやっぱり、センターをやらせてもらっている「キズナアルゴリズム」ですね。ものすごいカオスな曲で、これぞ超特急という感じ。僕がこういう曲のセンターやることは今までなかったから新鮮な感覚もありますし、曲調のせいか、テンションもめちゃくちゃ上がるし。

タカシ 僕は「Winter Show」かな。個人的に好きな曲調で、歌っていても気持ちいいなって思う。「Superstar」というライブタイトルにもピッタリな王道のポップスですし、パフォーマンスも相まって「秀逸な曲だなあ」と感じていました。

“緩”もライブの大事な要素

──そして、初日のハイライトとなったのは、全15曲を駆け抜けたメドレーコーナーでした。

ユーキ テーマパークのアトラクションを、僕らの曲で表現してみました。「Bloody Night」はお化け屋敷で、「PAPAPAPA JUMPERS」はジェットコースターで……といった感じで。アップダウン激しくお送りしていきましたね(笑)。ところどころに挟まる僕らの寸劇は、登場するペアごとにアドリブ感満載で作ってもらいました。

──タクヤさんとタカシさんがカップルを演じていたり、リョウガさんとユーキさんがふざけまくったりとさまざまなシーンがありましたけど、配役はどうやって?

ユーキ リハーサルのときにその場で決めたよね、みんなで。

リョウガ

リョウガ ただ、ペアを決めたはいいけど、僕とユーキのペアに関しては完全に丸投げですよ。スタッフさんが何も決めてくれなくて(笑)。

カイ タクヤと僕のペアの演出は、わりとしっかり付けてくれたのにね(笑)。

ユーキ そう。だから思いっきり僕ら色に染めてやりましたよ! でも、気が楽だったよね。

リョウガ 間違いが存在しないから(笑)。

ユーキ いい意味で力を抜いて、遊びに徹することができました。素の超特急が見せられたのも、この日のライブでよかったなと思う部分です。緩急の“緩”もライブの大事な要素だと思うので。メドレーにはすごくひさびさに披露する曲もあったし、面白かったですね。

白Tシャツの挑戦

──「Superstar」は1公演ごとに異なるメンバーが衣装をプロデュースしていて、初日の衣装を担当したのはカイさんでした。この日の衣装のポイントは?

カイ

カイ 1着ずつ“目線”を変えたところですね。まず1着目は遊びに来た8号車を迎え入れるという意味で、5人がそろってパークの支配人になったイメージの衣装にして。次の2着目は黒をベースに、イルミネーションやパレードを想起させるようなデザインにしました。そして最後の3着目は5人それぞれにフォーカスして、8号車がメンバーとデートしている感じを出せるように、私服のような衣装にしたんです。“集団”から“概念”になって“個”に帰着するというテーマが自分の中にあったんですが、それがユーキの考えていたセットリストとうまいことハマってくれたので、よかったなと思います。

──中でも、特にこだわりがあったところを挙げるなら?

カイ 最後の私服風の衣装ですね。僕らは単独ライブで真っ白なTシャツをあまり着てこなかったんですよ。これまではしっかりと衣装らしい衣装がほとんどだったから。

タクヤ そう。だから僕らもすごく新鮮な感覚があった。私服風衣装はカイにとって挑戦だったよね。

カイ そうだね。実はシンプルな白Tシャツが、僕の中ではすごくこだわりだったんです。