超特急|8号車の“輝く星”であるために 3日間のオンラインライブで5人が放ったメッセージ

意味のない曲は置いていないです

──2日目の公演のテーマは「超特急のキズナ物語」でした。このテーマを表現するにあたって、ユーキさんはどんなことを考え、セットリストや演出を作っていきましたか?(参照:超特急、彩り豊かな楽曲で描いた“超特急のキズナ物語”「Superstar」に決意込め踏み出す10年目の第1歩

ユーキ 僕たちの歩みや、その時々の感情を1つひとつの曲に置き換えて表現した、物語性のあるライブにすることを考えました。グループを結成して、フリーライブをして、フェスに出るようになって……と、超特急がどんどん広がっていくまでの軌跡を順にたどっていくイメージです。

──「超特急の歴史をライブで表現する」と言うと、2018年の年末公演「BULLET TRAIN Arena Tour 2018 GOLDEN EPOCH」も、近いテーマでセットリストが組まれていましたよね。

ユーキ そう、だから「GOLDEN EPOCH」とは似せたくないなという思いはありました。「GOLDEN EPOCH」はそれぞれの初センター曲をリリースとは逆の順番でたどっていたから、今回はよりストーリーを意識して、もっと鮮明に超特急の歩みを曲で表現してみようと。なので、意味のない曲は置いていないです。1曲目にデビュー曲の「TRAIN」を披露したあと、「gr8est journey」で僕が「初めて観た人も、名前だけでも覚えて帰ってください!」と呼びかけたじゃないですか。あれは、フリーライブの景色を思い浮かべて言ったんです。だから過去にタイムスリップしている感じでしたね。

タクヤ

タクヤ ユーキが突然「初めて観た人もー!」って言い出すから、最初は「ユーキ何言ってるんだろう?」と思ったんですけど(笑)、フリーイベントのことを思い出して言っていたみたいです。で、そこから続く「Burn!」「バッタマン」はフェスのステージをイメージしていて。

カイ タクヤ、「バッタマン」で「頂点取るぞ!」って言ってたよね。

タクヤ 僕はそこまで意識してなかったんですけど、ストーリー的にもピッタリなセリフでしたね(笑)。

「Starlight」は“希望の曲”

──ライブを観ていて、それぞれの曲の歌詞も「超特急のキズナ物語」の場面に沿ったものになっているなと感じました。

ユーキ

ユーキ 歌詞のメッセージはもちろん意識しました。自分の中では、普段は8号車に見せないような部分も曲に投影して表現した感じがあって。

──中でも「Beautiful Chaser」は、オリジナルの振りがアレンジされてより感情的な表現になっていて、強いメッセージ性を感じました。

ユーキ “葛藤”を表現するには「Beautiful Chaser」が一番合っているなと思ってこの曲を選び、振りもテコ入れしたんです。僕とタクヤが一緒に葛藤を表現しているんですけど、2人だけ2サビの振りを既存のものから変更して、互いにバチバチしているところを際立たせています。

──炎に包まれたステージで“葛藤”が表現されたあと、「小さな光」で“小さな希望”を見出すような演出もとても印象的でした。

タカシ 「うたうたい」(タカシのソロライブ)で一度やっただけで、超特急で歌うのは初めてでしたね。

──初披露ながら、この曲は特に歌詞のメッセージ性がストーリーにハマっているように感じました。

タクヤ そう、特にサビのフレーズが、ストーリーにピッタリだったんですよ。

ユーキ そして、その次の「Starlight」は“希望の曲”なんです。

みんなが意見を出してバランスが整った

──こうして超特急の歴史を当時の感情込みで表現できるのは、メンバーが演出を手がけているからこそできることでもありますよね。

カイ

カイ そうですね。僕らもユーキと同じ思いでしたし、彼の思いを膨らませるために、セットリストの並びや曲についてメンバー同士でかなり話し合った部分もあります。「『Beautiful Chaser』と『Snow break』の順番を逆にしたほうがユーキの思いが伝わりやすくなる」とか「『My Buddy』を入れたほうが『Beautiful Chaser』への布石になる」とか意見を出し合って作っていけた。2日目は、特にそういう作業が多かったですね。

ユーキ そう、当初考えたものとはけっこう変わってる。みんなが意見を出してバランスが整ったというか。「ここは直接的な表現にするのか、間接的にしたいのか」という感じでそれぞれに見せたいやり方があったので、時間をかけて作った記憶があります。

カイ タクヤもけっこう提案してたよね?

タクヤ そうだね。超特急の歴史をたどるとなったら、やっぱり編成が変わったという大きな出来事はカギになる部分で。そういった出来事があったから今があるんだと思っているので、その軌跡をストーリーで表現するとき「あ、もしかしたらこれはそういうことなのかな」という感じで伝えたいなという思いをみんなに伝えました。「Snow break」「Beautiful Chaser」「小さな光」の流れは今言った部分のストーリーですね。孤独を感じて葛藤し、“小さな光”を見つけるっていう。

──明言せずとも思いを表現し伝えられるのは、ダンスパフォーマンスをメインとしているグループならではのことかもしれないですね。

タクヤ そうですね。

「Superstar」に「よかったね」と言ってあげたい。そんな気持ちですね

──皆さんの前向きな気持ちは、ラストナンバーとして披露された自己紹介曲「Superstar」にも表れていたように思います。新たなアレンジとパフォーマンスで生まれ変わった「Superstar」、すごくパワーがありましたね。

ユーキ 「Superstar」はライブタイトルでもあったし、ずっと披露していなかったけど「今このタイミングでやるか!」という気持ちがやっぱりありました。せっかくやるならば、フリーイベントでよくやっていた「Superstar」じゃなく、今僕らが立っているステージに見合った「Superstar」にしたかった。前よりももっとパワフルな音とパフォーマンスで、8号車をもっともっと“乗せて”いけるようなものにしたいという思いがあって、アレンジを加えたんです。

──メンバー紹介のソロ回しパートのサウンドも、それぞれのキャラクターに合ったものに変わっていましたね。

ユーキ スタッフさんに1人ひとりのイメージを伝えてアレンジしてもらったんです。歌詞についても、僕らの意見をけっこう取り入れてもらいましたね。

タカシ

タカシ 「Superstar」、歌っていて純粋に楽しかったです。4、5年くらいやっていなかったけど、せっかくの自己紹介曲なので。ひさしぶりに歌えた喜びと、パワーアップして帰ってきてくれたうれしさがありました。

リョウガ やっとこの曲にスポットが当たってうれしいし、単純に音がカッコよくなっていてテンションが上がりました。なおかつ見せ方もね……ライブタイトルになっている時点で期待してくれている人が「キター!」となるような、胸アツな演出でもあったので。「Superstar」に「よかったね」と言ってあげたい。そんな気持ちですね。

マーベル映画のエンドロール

──2日目の衣装を担当したのはタクヤさんでした。オープニングで皆さんが着ていたのはデビュー当時の衣装をアップデートしたようなセットアップで、とてもインパクトがありましたね。

タクヤ 曲だけじゃなく、見た目でも超特急の物語の流れがわかりやすいように、「デビュー曲(「TRAIN」)の衣装を2020年バージョンにしよう」ということはすぐに決めました。最近僕らのファンになってくれた人には「これがデビュー衣装なんだ」と知ってもらえるし、ずっと応援してくれている人は懐かしい気持ちと同時に、あれから9年経った僕らの成長を感じてくれるかなと思ったので、ああいう形にしてよかったです。

──2020年バージョンの「TRAIN」衣装、実際着てみた感想は?

タクヤ ただただ純粋に、お金かけてもらえるようになったなあ、と(笑)。

カイ ホントそれ!

リョウガ

リョウガ 着心地いいし通気性もよくて、動きやすさも兼ね備えていてね。昔は靴も自前でしたから(笑)。

タクヤ あと、それ以外の衣装のことで言うと、最後の「Superstar」のときに着ていた衣装は当初用意していなかったものなんです。通しリハをやったときに「ここだけ衣装を変えたいな」と思い至って。けっこうギリギリのタイミングだったんですけど……。

カイ 本番の1週間前くらいだったよね。そのときにタクヤが「『Superstar』の見せ方をマーベル映画のエンドロールみたいな感じにしたい」と言っていたのが印象的だった。

タクヤ そう。マーベル映画って、エンドロールが流れたあとに物語の続きが描かれるじゃないですか。「Superstar」の演出も、ライブが終わったと思ったら曲が始まるというものだったから、直前まで着ていたのと同じ衣装で再登場しても、説得力が生まれないと思ったんです。衣装を新たに用意するにはホントに時間がなかったんですけど、急遽スタイリストさんを探して、既存の服をリメイクする形で仕上げました。演出に見合った新しい衣装で8号車の前に出られて、ホントによかったなと思いますね。