ANI的注目ポイント

──ANIさんは脚本以外ではどんなところに注目して観ていたんですか？

車ですね。ウォルターが乗ってるやつがあまりにもダサくて調べてみたら、どうやら日本には入ってきてない車種みたいで。

──車はキャラクターに合わせてスタイリングされているそうですよ。

そうなんだ！ なるほど。どんくさい感じがするウォルターの奥さんも変な古いジープに乗ってたもんね。そういうのでもちゃんとキャラの性格を表現してるんだね。

──ディティールへのこだわりがすごいですね。

うん。あとニューメキシコ州アルバカーキって街のディティールだよね。モーテルでメスを売ってるとか、そういうのがたまんない（笑）。

──ああいう荒廃した街だから“貧乏人のドラッグ”であるメスが流行るんですかね？

それはあるんじゃないかな。あとSEASON1～2で肺がんのウォルターが治療をかたくなに拒むじゃないですか？ あれの理由ってわかります？

──わかりません。観ていて、そこがすごく謎だったんです。

アメリカって保険制度が整ってないじゃないですか。だから、莫大な医療費はまず自腹で払わなきゃいけないんですよ。保険にどこまで負担してもらうのかっていうのは、自分で交渉しなきゃいけない。だからおちおち救急車にも乗れないんです。

──だからウォルターは高額ながん治療を嫌がり続けるんですね。

そうそう。医療費が払えなくてホームレスになっちゃう人とかもいるんだって。しかもアメリカって銃社会じゃない？ 流れ弾に当たったのに医療費で破滅しちゃうなんてこともあるそうです。

「ブレイキング・バッド」の魅力

──ウォルターとANIさんは同世代ですよね。

完全にジェシー気分で観てますけどね（笑）。でも、ウォルターの「家族のために財産を残そう」みたいなところは共感できますよ。家族の大切さは年々身に沁みてくる。この「ブレイキング・バッド」の面白いところって、麻薬生成っていう刺激的な要素と、家族との問題っていう普遍的な要素が混在しているとこだと思うんですよね。

──ウォルターの家族や親戚問題の部分は完全にホームドラマですよね。

奥さんのウザさとか、親戚付き合いのめんどくささとか（笑）。そういう家族ドラマ的なごたごたの混ぜ込み方も絶妙だと思います。僕、「カーネーション」みたいな日本のドラマも好きなんですけど、「ブレイキング・バッド」はそこに刺激的な要素が組み合わさってる感じが新鮮ですよね。

──ANIさんだったら、「ブレイキング・バッド」をどうやって人に薦めますか？

やっぱ「おやじ、がんばる」的なとこじゃないですか？ 「アメリカ好きのみなさん、アメリカじゃあ、今、これがヤバいらしいですよ！」っていう（笑）。

──8月6日にリリースされるのはSEASON3までですが、 その後9月～10月にかけてFINAL SEASONまで一気に発売されます。やはり最後まで観ないとダメですね。

前半は緊張感の連続だけど、SEASON3はものすごくいいところで終わりますからね。しかも途中からウォルターがハンパない感じでぶっ壊れていくんで、絶対最後まで観たほうがいいですよ。