音楽ナタリー PowerPush - 外務省 presents 僕らが世界にできること

スチャダラパーが考える国際協力

国際協力60周年を記念して、日本の外務省が初めて企画した情報バラエティ番組「外務省 presents 僕らが世界にできること」が10月3日にニコニコ生放送とTOKYO MXでオンエアされた。この番組では日本が60年間続けてきた国際協力について、現場の映像などを交えてわかりやすく紹介。さらに収録中に出演者たちの間で上がった「音楽で国際協力を盛り上げるイベントをしよう」という提案が実現し、10月17日には東京・ニコファーレで豪華アーティストが参加したライブイベント「『僕らが世界にできること』音楽篇」が開催された。

ナタリーでは番組収録に参加し、さらにイベントでトリを務めたスチャダラパーの3人に、ライブ直後の楽屋でインタビューを実施。国際協力についての考えを聞いた。

取材・文 / 橋本尚平 撮影 / 小坂茂雄

人間にはもともと「人を助けたいっていう」っていう気持ちがあると思う

──ライブおつかれさまでした。短い時間でしたけど、さすが盛り上がりましたね。

SHINCO あったかいお客さんでホントよかったです。

ANI 楽しかったです。

スチャダラパー

Bose 楽しんでたよねー(笑)。ANIはホントああいうとき“部外者感”っていうか「オレ関係ねー」みたいな雰囲気すげー出してるけど、おめえもメンバーだっつうの(笑)。僕に関しては、また今日も「自信がないときこそ饒舌になる」という癖が。

SHINCO わはは(笑)。

Bose どうなるのかホント怖かったから、それはもうがんばったね! そういう意味でも僕はメッチャ面白かったなーと思って(笑)。

──今回「僕らが世界にできること」という番組に出演して、何か感じることはありましたか?

ANI いろいろ知れてよかったです。ODAのいい側面を見せてもらって。みんな「ODA、ODA」って言うけど、あー、こういうことか、みたいな。

Bose 海外で何かしら活動してる人たちのディテールを知ったら、「さすが日本人ってすごいな、真面目で」って思いますよね。あれを観ると国際協力には、やっぱり手先が器用で細やかで、朝から夜まできちんと働けるみたいな人が必要とされてるんだなって。そういうのは向き不向きがあると思うし、日本人じゃないと無理かもなっていうことが端々にあったよね。

ANI まあ、ほかの国にもそういう人はいるだろうけど。

Bose うん。でも「よっしゃ! ここの山を全部崩しちゃって!」みたいなざっくりとしたやり方って日本人はあんまり得意じゃないから、そういうのは、例えばアメリカ人にやってもらったほうがいいとかあるじゃないですか。苦手なところは上手な人に任せて、日本人はそれを細かくフォローしますとか。

ANI 「ちょっと使いやすく改良してみました!」みたいなことね。

──それこそまさに「国際的に協力しあう」ということですね。

Bose

SHINCO あとさ、日本人って根本的にボランティア精神があるのかなと思う。阪神大震災のときも、こないだの東日本大震災のときもそうだったけど、何か起こったときにドバッと人が集まるよね。

Bose というか、人間ってもともとそういう気持ちがあるんじゃないですか? 人を助けたいっていう。それを本気で気持ち悪いって思ってる人、あんまりいないと思うから。

──確かに。本当はもっと国際協力や社会貢献に興味がある人はいっぱいいそうですよね。「国際協力」っていう言葉だけだとぼんやりしたイメージだけど、具体的に日本人が今どんな形で開発途上国のお手伝いしているのかをみんなに伝えられれば、やってみようと思う人は増えるかもしれませんね。

SHINCO ノウハウがわかると踏み出しやすいよね。今回みたいな番組で、それがもうちょっと知られるといいのかな。

国際協力ちょっといい話クイズ 第1問

国連加盟国193カ国のうち、国土全体で水道水が飲める国はいくつあるでしょうか?

※正解は特集ページの最後に記しています。

TEMPURA KIDZにもらったTシャツ、一生着てそう

──Boseさんはお子さんが生まれたことで、こういう番組の見え方が変わった部分もあるのでは?

Bose 子供って、世界中どこに行っても一緒だなって思った。なんの理由もなく子供はそこに生まれてくるわけで、うちに生まれてきた子も別になんの理由もなくうちにやってきたんですよ。そう思うと、貧困が原因で「○歳まで生きる確率は数パーセント」みたいな話を聞くとつらいんですけど。

ANI あー、そういうのね。

Bose でも、だからといって貧しい地域の子たちが必ずしも幸せじゃないのかって考えると、それはお金だけでは計れないですよね。

──番組でTEMPURA KIDZが訪問したフィリピン・マニラのパヤタス地区も、ゴミの山に囲まれてましたけど、子供たちはみんな幸せそうな顔をしてましたよね。

Bose そうなの。たぶんTEMPURA KIDZに会って踊った子たち、「すげえ面白かった!」って、これから1年くらいずっとその話してると思う。

SHINCO

SHINCO ははははは(笑)。

Bose 同じことを日本の子供とやってもさ、2時間後にはもう絶対「妖怪ウォッチ」やってるでしょ。そういう楽しさの差みたいなのは絶対違うと思う。

SHINCO TEMPURA KIDZにもらったTシャツ、一生着てそうだもんね。

Bose ボロッボロになっても手描きで直したりしてね(笑)。そういう面もあるから、何がいいとか悪いとかの話ではないんですけど、やっぱり自分に子供ができたりすると、いろいろな見方をするようになりますよね。

国際協力ちょっといい話クイズ 第2問

フィリピンで、日本の農業技術協力によって栽培されている食物とは?

※正解は特集ページの最後に記しています。

ニコニコ生放送 / TOKYO MX「僕らが世界にできること」
ニコニコ生放送 / TOKYO MX「僕らが世界にできること」収録の様子。

2014年10月3日(金) 19:00~20:00(終了)

出演者

司会:堀潤 / 高橋真麻
スチャダラパー / 中孝介 / ケラケラ / ROOT FIVE / Yun*chi / 澤部祐(ハライチ) / たかまつなな / 小島瑠璃子 / 春香クリスティーン / TEMPURA KIDZ

内容

「国際協力60周年」を記念して、日本の外務省が初めて企画した情報バラエティ番組。出演者が国際協力に関する「ちょっといい話」を自分の言葉でわかりやすく説明した。またTEMPURA KIDZ、たかまつななが開発途上国に訪問し、自分ができる国際協力に挑戦した。

ライブイベント「『僕らが世界にできること』音楽篇 音楽でも国際協力(ODA)生ライブ」
「『僕らが世界にできること』音楽篇」

2014年10月17日(金)東京都 ニコファーレ(終了)

出演者

スチャダラパー / 中孝介 / 住岡梨奈 / chay / Yun*chi / TEMPURA KIDZ / 堀潤 / ROOT FIVE(koma'n、蛇足、みーちゃん) / 春香クリスティーン / たかまつなな / 城内実(外務副大臣) / 荒木要(外務省国際協力局政策課企画官)

内容

「僕らが世界にできること」の番組中で出演者たちが「音楽で国際協力を盛り上げるイベントをやろう」と提案したことから開催されたイベント。番組に出演した面々のほか、企画に賛同したchay、住岡梨奈がライブを繰り広げた。会場の様子はニコニコ生放送で生中継され、視聴者数は番組終了までに10万を突破した。

国際協力のことがどこよりもわかりやすく学べるコンテンツが充実。世界一わかりやすく国際協力を伝えるサイト「#Earth Action Studio Japan」
クドっち

今、国際協力の中で活躍している人々や、現在行われている国際協力のイベントを分かりやすい コンテンツで毎日伝えています。また、EARTH ACTION STUDIO JAPAN女性キャスターによるニュース動画も同時にアップしています。

スチャダラパー
スチャダラパー

1988年にBose、ANI、SHINCOによって結成されたヒップホップチーム。1990年にアルバム「スチャダラ大作戦」でメジャーデビューし、1994年に発表した小沢健二とのコラボシングル「今夜はブギー・バック」が大ヒットを記録する。デビュー20周年を迎えた2010年にはベストアルバム「THE BEST OF スチャダラパー 1990~2010」をリリース。日本のヒップホップシーンを牽引する存在として、多くのアーティストからリスペクトされている。