ガールズトークの雰囲気を楽曲に
──そして、エンディングテーマの「あくまで恋煩い」は作詞・作曲が分島さんで、編曲が千葉さんです。
分島・千葉 はい。
──「あくまで恋煩い」の「あくまで」は、「ベルまま。」が悪魔たちの物語であることから、「悪魔で」とかけているんですよね?
分島 そうです。どうしてもこのタイトルにしたくて、実はサビの歌詞を書き直したんですよ。当初はもうちょっと切ない感じの歌詞にしていたので、「ゆるふわを守りきれない」という話になって(笑)。それで監督から3人の悪魔の女の子がお茶会をしていて、それぞれが片思いの相手のことを話して「じゃあ告白する?」「でも、どうしよう?」みたいな、ガールズトークっぽい雰囲気を曲にしてほしいという話があって、よりハッピーでかわいらしい方向に修正しました。
──歌詞のテーマとして、「あくまで恋煩い」は恋心のようなものを抱いた女の子の、あと一歩が踏み出せない気持ちを描いたという点で「ピンクレモネード」と重なる部分があると思います。そこはどうやって差別化したんですか?
分島 エンディングは、各キャラクターを演じられている声優さんが歌われるというのを事前にお聞きしていて。
──ベルゼブブ役の大西沙織さん、ベルフェゴール役の久野美咲さん、サルガタナス役の加隈亜衣さんですね。
分島 はい。なので、キャラクターのイメージをそのままぶつけられたらなと思い、キャラクターソングのイメージで書きましたね。「彼女たちにこういうセリフを言ってほしい」という私のわがままを皆さんに聞いていただきました。自分だったら絶対歌わないけれど、「ベルまま。」のキャラクターだったら成り立つし、この世界観に合っているし、エンディングとしてかわいく見えるかなと。あと、声優さんたちの歌い分けも全部指定させてもらったんです。これが恋なのかわからないけどちょっとモヤモヤしちゃう子、好きな人と一緒にいると恥ずかしくてしゃべれなくなる子、素直になれない子と、それぞれ特徴があるので。
中山 仮歌では、わけさん自身が歌い分けもしているんですよ。それを役者さんたちが聴いて、「このまま分島さんが歌ったほうがいい」って(笑)。
千葉 分島さんの歌い分け、上手なんですよ。
分島 いや、すごく難しかったですよ。「あくまで恋煩い」はエンディングだけど、曲調的にはエンディングらしいエンディングというよりは、もうちょっとテンポが速い、にぎやかなものにしたかったんです。役者さんは割とおっとり歌ってくださったので、弾けすぎず、ゆるふわ感を保った楽曲になったんじゃないかなと。
「予想以上にゆるふわになりましたね」
──「あくまで恋煩い」は千葉さんのアレンジもかわいいですね。
千葉 ありがとうございます。エンディングは劇伴制作の中盤あたりから作り始めたんですけど、その頃にはアニメ本編で使われる音楽をある程度把握できていたので、分島さんもおっしゃった通り多少元気に明るくする方向で、ドラムやエレキギターも入れてます。アニメは間違いなく毎回楽しく終わるんだろうなと思って。
──それはエンディングテーマの役割の1つですよね。アニメを観終わった人にどんな気持ちになってほしいか、という。
千葉 作品によっては「次回どうなるんだろう?」という不安を煽ったり、悲しげに終わるパターンも当然あるんですけど、「ベルまま。」に関しては、ふわっとハッピーなまま終わるのが正しいはずだと。
みあ 「あくまで恋煩い」はホントにかわいい音がいっぱい詰まっていて、そのコラージュみたいな感じが聴いていてとても心地いいです。本編のゆるふわな雰囲気と相まって「ああ、よかったな。幸せだな」という気持ちになりますよね。エンディングが流れ終わったあともしばらくその余韻に浸らせてくれる、素敵なエンディングテーマだと思います。
千葉 実は間奏パートに、劇伴のメインテーマをこっそり入れているんですよ。劇伴の最初の打ち合わせで提出したデモの1つがその曲で、それが自分の中で「いいテーマだよな」と頭に残っていたんです。別にそれを積極的に使っていきましょうみたいな話は一度も人にしていないんですけど、隙を見てそのメロディを劇伴の別の曲に潜ませたり、コードだけちょっと変えて使ったり、散りばめました。エンディングに入れたのも深い意味はなくて、単なる遊び心なんですけど。
──エンディングと本編を接続するような。
千葉 そうですね。せっかく同じメンバーで音楽を作ったので、面白いかなと思って入れてみました。
中山 オープニングの作詞がわけさん、劇伴とエンディングはわけさんとnaotyu-さんのお二人というところで、作品の世界観を統一できたのが今回は大成功でしたね。
分島 うれしいです。
中山 「よし、この手は使えるぞ」と思いました(笑)。劇伴と主題歌は別立てになるケースが多いんですけど、今回はわけさんを軸にここまでがっつり「ベルまま。」の世界を整えていただいて。監督も一連の楽曲を聴いて「予想以上にゆるふわになりましたね」と言っていましたね。
分島 監督が最初におっしゃったのに(笑)。
中山 周りのスタッフからも同じツッコミが入りました(笑)。わけさんとnaotyu-さんにはすごく助けられましたし、おかげさまでゆるふわを貫くことができましたね。
──では最後に、分島さんにとって今回の劇伴のお仕事はどんな意味がありました?
分島 やっぱり自分のルーツとしてクラシックがあり、作曲もやりたいと思いながらシンガーソングライターになったという経緯もあり、物をクリエイトするという行為が自分の中ですごく重要だったんですよね。今回歌とはまた違った角度で音楽というものを表現できて、しかも作品のためにアイデアを練ってイメージを音にするという作業を初めて経験させてもらったことで、音楽の作り方に対する見方が変わりました。
千葉 より俯瞰で見られるようになりましたよね。
分島 はい。例えば、今までシンガーソングライターとして作曲した曲はメロディ重視で、自分が歌うことをイメージしながら作っていたんです。でも劇伴の場合は作品全体の空気感や、あるいは特定のシーンの情景を表していたり、はたまた効果音的な要素も必要だったり。そうやってメロディよりも印象みたいなものを優先して楽曲を制作したことで、表現のアプローチのレンジが広がった気がします。
- アニメ「ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。」
- 放送情報
-
ABCテレビ:毎週水曜26:50~
Abema TV:毎週水曜26:50~
TOKYO MX、群馬テレビ、とちぎテレビ、BS11:毎週土曜24:30~
テレビ愛知:毎週土曜25:50~
AT-X:毎週火曜22:00~
- ストーリー
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数十万の悪魔を統べる万魔殿(パンデモニウム)の主・大悪魔ベルゼブブ。その近侍として仕えることになった新人職員・ミュリンは知的でクールな彼女に憧れていたが、ベルゼブブの実態は、モフモフ大好きゆるふわ少女だった!?
不器用ながら徐々に距離を縮めていくベルとミュリン、そして2人を取り巻くこれまた不器用でユニークな悪魔たち。このお話は、悪魔たちが“ある気持ち”に名前をつけるまでのお話……かもしれない。 - スタッフ
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原作:matoba(掲載 月刊「少年ガンガン」スクウェア・エニックス刊)
監督:和ト湊
シリーズ構成・脚本:冨田頼子
キャラクターデザイン:住本悦子
総作画監督:住本悦子、伊藤大翼、依田正彦
プロップデザイン:住本悦子、依田正彦
美術監督:本田光平
美術設定:綱頭瑛子
色彩設計:木村聡子
撮影監督:小畑芳樹
編集:長谷川舞
音楽:分島花音、千葉"naotyu-"直樹
音響監督:本山哲
アニメーション制作:ライデンフィルム
製作:「ベルまま。」製作委員会
- キャスト
-
ベルゼブブ:大西沙織
ミュリン:安田陸矢
ベルフェゴール:久野美咲
アザゼル:日野聡
サルガタナス:加隈亜衣
アスタロト:松岡禎丞
エウリノーム:赤﨑千夏
ダンタリオン:悠木碧
モレク:興津和幸
ナレーション:井上喜久子
ほか
©matoba/SQUARE ENIX・「ベルまま。」製作委員会
- 三月のパンタシア「ピンクレモネード」
- 2018年11月21日発売 / SACRA MUSIC
-
初回限定盤 [CD+DVD]
2376円 / VVCL-1355~6 -
通常盤 [CD]
1296円 / VVCL-1357 -
期間生産限定盤 [CD+DVD]
1728円 / VVCL-1358~9
- 初回限定盤、通常盤CD収録曲
-
- ピンクレモネード
- 恋を落とす
- サイレン
- ピンクレモネード -Instrumental-
- 期間生産限定盤CD収録曲
-
- ピンクレモネード
- 恋を落とす
- サイレン
- ピンクレモネード -TV size-
- 初回限定盤DVD収録内容
-
- 「ピンクレモネード」 -Lyric Video-
- 期間生産限定盤DVD収録内容
-
- TVアニメ「ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。」ノンクレジットオープニング
- ベルゼブブ(CV.大西沙織)&ベルフェゴール(CV.久野美咲)&サルガタナス(CV.加隈亜衣)「あくまで恋煩い」
- 発売中 / アニプレックス
-
ベルゼブブ [CD]
1296円 / SVWC-70376 -
ベルフェゴール [CD]
1296円 / SVWC-70377 -
サルガタナス [CD]
1296円 / SVWC-70378
- ベルゼブブ収録曲
-
- あくまで恋煩い
- あくまで恋煩い<ベルゼブブver.>
- もふもふファジーハート
- あくまで恋煩い<Instrumental>
- もふもふファジーハート<Instrumental>
- ベルフェゴール収録曲
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- あくまで恋煩い
- あくまで恋煩い<ベルフェゴールver.>
- らぶるブーケ
- あくまで恋煩い<Instrumental>
- らぶるブーケ<Instrumental>
- サルガタナス収録曲
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- あくまで恋煩い
- あくまで恋煩い<サルガタナスver.>
- 可愛い♡らんでぶー
- あくまで恋煩い<Instrumental>
- 可愛い♡らんでぶー<Instrumental>
- 「ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。1」
- 2018年12月26日発売 / アニプレックス
-
完全生産限定盤 [Blu-ray2枚組]
7560円 / ANZX-13021 -
完全生産限定盤 [DVD2枚組]
6480円 / ANZB-13021
- 収録話数
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- 第1話「ボーイ・ミーツ・モフみガール。 / 近侍の心、 閣下知らず。」
- 第2話「兄貴はメルヘンなお味。 / 登場、 バイブレーションガール。」
- 完全生産限定盤Blu-ray / DVD特典
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- matoba描き下ろし全巻収納BOX
- 住本悦子描き下ろしデジジャケット
- オリジナル・サウンドトラックCD 1
- カラーブックレット
- 応援イラストカード
- オーディオコメンタリー(第1話)
- 特典映像(キャラクターミニPV&本PV)
- イベントチケット優先販売申込券
- 分島花音(ワケシマカノン)
- 東京都出身の女性シンガーソングライター、チェリスト、作詞家、イラストレーター。3歳からチェロを始め、クラシック音楽と共に育つ。2008年に1stシングル「still doll」でメジャーデビューし、2011年にはヨーロッパ10都市でツアーを行った。以降も精力的に活動を行い、2018年にアニメ「ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。」で初めて劇伴を手がけた。
- 千葉"naotyu-"直樹(チバナオチュウナオキ)
- ソニー・ミュージックパブリッシング所属の作曲家。2000年代初頭に各Webサイトで楽曲を発表し、若手作曲家・トラックメイカーとして注目を集める。以降ももいろクローバーZや三澤紗千香といったさまざまなアーティストに楽曲提供するほか、アニメ「ニセコイ」「ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。」などの音楽を手がけている。
- 三月のパンタシア(サンガツノパンタシア)
- 「終わりと始まりの物語を空想する」をコンセプトに、ボーカルのみあを中心に結成されたプロジェクト。コンポーザーとしてすこっぷ、n-buna、ゆうゆ、40mP、buzzG、イラストレーターとして浅見なつ、loundraw、bob、ノベリストとしてみのりが名を連ねる。2015年8月に活動を開始し、2016年6月にテレビアニメ「キズナイーバー」エンディングテーマであるシングル「はじまりの速度」でメジャーデビュー。2018年8月にはみあが書き下ろした小説とイラストレーターのダイスケリチャードが手がけたイラスト、楽曲を連動させて展開するプロジェクト「ガールズブルー」が始動した。11月21日にアニメ「ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。」のオープニングテーマを表題曲としたシングル「ピンクレモネード」をリリースする。