10月からテレビアニメがスタートする「ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。」は、ゆるふわ悪魔のベルゼブブと近侍・ミュリンとの不器用な恋模様を中心に、個性豊かな悪魔たちの日常を描いたラブコメディ。ナタリーでは全3回にわたる連載を展開しており、第1回の原作者・matobaに続いて、第2回では和ト湊(わとみなと)監督、中山信宏プロデューサー、そしてベルゼブブ役の大西沙織、ミュリン役の安田陸矢の4名に集まってもらった。作品の見どころはもちろん、和気あいあいとした現場の雰囲気も感じてほしい。
取材・文 / 柳川春香 撮影 / 田村与
1回もブレることなく、ずっと閣下推しです(安田)
──まずは、原作を読まれたときの皆さんのご感想からお聞かせいただけますか。
和ト湊 私は最初、「ベルまま。」の原作をWebでお見かけしたんですね。仕事で疲れて帰ってきてネットサーフィンをしていたら、ふと目に留まって、「なんだこのゆるふわなマンガは!」って。すごく癒されて、その晩はよく眠れたんです。
──原作者のmatoba先生が「疲れて帰ってきた人がなんとなく見られて、癒されるようなアニメになれば」とおっしゃっていたんですが(参照:アニメ「ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。」特集 第1回 原作者・matobaインタビュー)、監督の作品との出会い方はまさにその通りですね。
和ト湊 そうなんです。まずはmatoba先生のかわいらしい絵に惹かれて。ベルゼブブやベルフェゴールといった女の子はもちろん、ミュリンやアザゼルのような男性キャラも、凛々しくありつつもかわいい。内容もゆるっとしていて、読んでいて穏やかな気持ちになるいいマンガだなって思っていたら、お仕事の話をいただいたんです。
中山信宏 制作を担当してくれているライデンフィルムさんに「ベルまま。」のアニメ化をご相談したときに、和ト湊監督が原作をご存じだと聞いて。「合うと思いますよ」って薦めていただいたんですよ。そういう縁はやっぱり大事にしたいと思って、そのまま監督をお願いすることにしました。
大西沙織 私はベルゼブブ役をいただいてすぐ、まずは3巻までを買って読んだのですが、普段少女マンガを全く読まないので、こういったラブストーリーに耐性がなくて、キュンキュンしすぎてしまいました(笑)。
──「ベルまま。」は月刊少年ガンガン(スクウェア・エニックス)の連載作品ですが、ベルゼブブとミュリン、アザゼルとベルフェゴール……と、キュンとするやり取りがたくさんありますもんね。
大西 すごく面白かったので、すぐ本屋に走って残りを全巻買いました。コメディ要素も多くあるので、ラブストーリーに慣れてない自分でも入りやすかったのかもしれないです。
安田陸矢 逆に、僕はもともとピュアピュアな恋愛ものが好きなので、「ベルまま。」は好みにどストライクでした。女の子キャラの中でも、特に(ベルゼブブ)閣下が本当にかわいくて大好きなんです。
和ト湊 最初にお会いしたときからずっと言ってますよね。ブレてない。
安田 1回もブレることなく、ずっと閣下推しです。
和ト湊 素晴らしいミュリンっぷりです(笑)。
“ミュリンが好き”って気持ちで演じると、ベルではなくなってしまう(大西)
──PVでキャラクターボイスを聞きましたが、大西さんと安田さんの声も、ベルゼブブとミュリンのイメージにぴったりだと感じました。
和ト湊 今も横で聞いてて「ベルとミュリンがいるなあ」ってほっこりしました(笑)。大西さんは声の質が純粋なベルにすごく合っていて、それでいてコミカルな、デフォルメしたお芝居もイメージ通りだったので、すんなり「閣下がいる」って。ささやいている感じの雰囲気もいいなあと。……大西さん、なんで笑ってるんですか?(笑)
大西 隣でお話を聞くことはなかなかないので、恥ずかしくて(笑)。
和ト湊 じゃあもう閣下の話はいいです。
大西 ひどいです、急におざなりになった!
和ト湊 (笑)。ミュリン役の安田さんは、ベルにツッコミを入れるときの演技が、「閣下!」って前のめりにツッコむんじゃなくて、「閣下あぁ…!」って(両手で顔を覆うポーズ)少し後ろに下がってくれるんですよ。そこが「あ、純情乙女男子だ」って。
──なるほど。ベルは悪魔たちの中でも権威ある存在ですし、ミュリンは真面目でピュアな子ですから、“少し後ろに下がる”っていうのはその通りですね。
安田 目上の方にツッコミを入れるのってどんな気持ちなんだろう?っていうのはすごく考えました(笑)。距離が近づきすぎないというか、立場が上の人に向けてしゃべってるってことは意識していますね。
大西 私が演じるベルゼブブの難しいところは、“好き”という感情に気付いてはいけないんです。ミュリンに対して“好き”と思いながら演技をすると、ベルが“恋愛幼稚園児”ではなくなってしまうんです。
中山 なるほど。
大西 なので、「これがどういう感情なのかわからなくてどぎまぎしてる」という印象になるように気を付けていますね。それと、かわいく演じようとして「今のはちょっとあざといです」と言われたことはあります(笑)。
中山 「あざと過ぎでーす」ってね(笑)。
大西 あざとくなった瞬間に言われましたね(笑)。
中山 絵もそうなんですけど、狙いすぎると「サービスです」って感じになって、その瞬間に興ざめしてしまうなと思ってて。作中の世界観ともズレが出てしまうので、わかりやすくしすぎないっていうのは、監督にも気を付けていただいています。ミュリンは演じていて、照れたりすることはないですか?
安田 照れはないですね。僕はミュリンくんのそういうピュアなところが、本当に好きなんですよ。なので、ミュリンくんのいいところを自分ができるだけ表現したいから、すごく真剣にやらせていただいています。
中山 そうですね。安田さんは本当に真面目で一生懸命なので、そこがミュリンの初々しさに、すごくつながっていると思います。
安田 ありがとうございます。
──安田さんはまだ声優を始めて2年目でいらっしゃるそうですが、メインキャラを演じるプレッシャーもありましたか?
安田 そうですね。最初はドキドキする気持ちと、不安も少しあったんですが、matoba先生も「ちゃんとミュリンでしたよ」って言ってくださったり、アフレコ現場の空気もすごくあったかくて、毎週楽しく演じさせていただいています。
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ケサパサのかわいさの秘密は“モフみ処理”!?
- アニメ「ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。」
- 放送情報
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ABC テレビ2018年10月10日(水)より毎週水曜26:50~
Abema TV2018年10月10日(水)より毎週水曜26:50~
TOKYO MX、群馬テレビ、とちぎテレビ、BS112018年10月13日(土)より毎週土曜24:30~
テレビ愛知2018年10月13日(土)より毎週土曜25:50~
- ストーリー
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数十万の悪魔を統べる万魔殿(パンデモニウム)の主・大悪魔ベルゼブブ。その近侍として仕えることになった新人職員・ミュリンは知的でクールな彼女に憧れていたが、ベルゼブブの実態は、モフモフ大好きゆるふわ少女だった!?
不器用ながら徐々に距離を縮めていくベルとミュリン、そして2人を取り巻くこれまた不器用でユニークな悪魔たち。このお話は、悪魔たちが“ある気持ち”に名前をつけるまでのお話……かもしれない。 - スタッフ
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原作:matoba(掲載 月刊「少年ガンガン」スクウェア・エニックス刊)
監督:和ト湊
シリーズ構成・脚本:冨田頼子
キャラクターデザイン:住本悦子
総作画監督:住本悦子、伊藤大翼、依田正彦
プロップデザイン:住本悦子、依田正彦
美術監督:本田光平
美術設定:綱頭瑛子
色彩設計:木村聡子
撮影監督:小畑芳樹
編集:長谷川舞
音楽:分島花音、千葉"naotyu-"直樹
音響監督:本山哲
アニメーション制作:ライデンフィルム
製作:「ベルまま。」製作委員会
- キャスト
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ベルゼブブ:大西沙織
ミュリン:安田陸矢
ベルフェゴール:久野美咲
アザゼル:日野聡
サルガタナス:加隈亜衣
アスタロト:松岡禎丞
エウリノーム:赤﨑千夏
ダンタリオン:悠木碧
モレク:興津和幸
ナレーション:井上喜久子
ほか
©matoba/SQUARE ENIX・「ベルまま。」製作委員会
- 大西沙織(オオニシサオリ)
- 8月6日生まれ、千葉県出身。主な出演作は「刀使の巫女」(十条姫和役)、「ブギーポップは笑わない」(霧間凪役)、「こみっくがーるず」(色川琉姫役)など。
- 安田陸矢(ヤスダリクヤ)
- 8月19日生まれ。奈良県出身。主な出演作品は「美男高校地球防衛部HAPPY KISS!」(万座太子役)、「ベイブレードバースト 超ゼツ」(墨江フブキ役)、「夢王国と眠れる100人の王子様」(フセ役)など。
2018年11月6日更新