音楽ナタリー Power Push - back number
15thシングルに詰め込んだ“らしさ”
back numberがニューシングル「僕の名前を」を5月25日にリリースする。映画「オオカミ少女と黒王子」の主題歌である表題曲は、骨太のバンドサウンドとエモーショナルなメロディ、「僕の全ては君のものだ」という歌詞が印象的なロックバラードに仕上がっている。
2015年12月に発売されたアルバム「シャンデリア」がオリコン週間アルバムランキングで2週連続1位を獲得。1月から7月にかけて行われている全国ツアー「back number tour 2016 “ミラーボールとシャンデリア”」も全公演ソールドアウトを記録するなど、さらに人気を高めているback number。現在のバンドの状況とシングル「僕の名前を」について、メンバー3人に語ってもらった。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 後藤倫人
ライブの楽しみ方が変わってきてる
──アルバム「シャンデリア」がヒットを記録したことで、back numberの存在が全国に浸透したという実感はありますか?(参照:back number「シャンデリア」インタビュー)
清水依与吏(Vo, G) 浸透したという感覚はゼロなんですよね。上の世代の方などは、まだまだ僕らのことを知らないと思うので。ただ、back numberは知らなくても「曲は聴いたことがある」くらいの状況にはなってきているんじゃないかと思います。
──アルバムを引っさげたツアーにはどのような気持ちで挑んでいますか?
小島和也(B) いい意味で今までと変わらない部分もあるんですけど、個人的にはさらに真剣にと言うか、しっかりやらなくちゃいけないという気持ちが出てきてますね。
栗原寿(Dr) 1月から4月にかけて行われたホールツアーでは、気付かされることが多かったですね。初めて行く場所もいくつかあったんですけど、「待ってました!」という熱量をすごく感じたし。あとツアーの中盤で腰を痛めて「自分の状態が100%じゃないと、楽曲のよさは100%伝えられない」ということも痛感しました。今回は今までで一番長いツアーですからね。
清水 僕も途中で喉を壊して「今まで通りじゃダメなんだな」と思い知りました。自分は身体が強いと思い込んでたところがあるんですけど、年齢的にもその意識を切り替えるタイミングなんだなって。スケジュールのことも、みんなで改めて見つめ直したんですよ。
──フィジカル面でもタフなツアーだったわけですね。ラクな気持ちでライブがやれることは、この先……。
清水 一生ないでしょうね。インディーズの頃みたいな楽しみ方でやれるツアーは、もうないと思います。ちょっと寂しいですけどね。毎晩お酒を飲んで、朝までみんなでしゃべってというのがツアーのだいご味だと思っちゃってたから。
小島 もう無理ですね、それは。年齢も重ねてるわけだし。
清水 責任もあるからね。今ライブに対して思うのは、自分らが作った曲に対して、どう責任を取るか?ということなんです。ライブに来てくれる人の人数も多くなってるし、楽しみにしてくれてる気持ちも大きくなってると思うんですよ。そこに対して、できる限り真摯に向き合いたいので。楽しみ方が変わってきてるんでしょうね、たぶん。
メロディと歌詞、ギターとベースとドラム、Tシャツとデニム。以上です。
──シングル「僕の名前を」からも、back numberの新しい変化を感じました。アルバム「シャンデリア」に比べるとサウンドの感触が違いますよね。ノイジーなギターなども取り入れて、オルタナ的なバンド感が増しているというか。
清水 そうですね。まず、ガシャっとした音にしたいという気持ちがあったんですよ。「シャンデリア」はバンドサウンドにこだわらず、「曲としていちばんカッコいい状態になっていればいい」という時期のアルバムだと思うんですよね。でも今回はもう少し、ギターだったり、バンドの質感を出したいなと。メンバーとしてはやっぱりバンドが好きだから、そこに立ち返るというか。それを今回楽曲をプロデュースしてくれた蔦谷(好位置)さんと話して、いろいろとやりとりしたんです。たとえばストリングスにしても、壮大なイメージではなく、骨太な感じにアレンジしてもらったり。
栗原 蔦谷さんから「ここはもっと思い切ってやっていいよ」と言われることもありましたね。バラードなんだけど、ドラムもギターもベースもすごく強い音になってるし、それがバンド感につながったんじゃないかな、と。
──今のback numberにはJ-POPとしての側面も強いと思うのですが、根本はやはりロックバンドなんですね。
清水 自分たちで「俺らはロックバンドだ」と思ったことはないんですけど、「メロディと歌詞、ギターとベースとドラム、Tシャツとデニム。以上です」というライブをやっていると思うし、僕らもそういうほうが好きなので。そう考えると、たぶんロックバンドなんだろうなって。
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- ニューシングル「僕の名前を」 / 2016年5月25日発売 / UNIVERSAL SIGMA
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1620円 / UMCK-9837
- 通常盤 [CD] 1080円 / UMCK-5599
CD収録曲
- 僕の名前を
- パレード
- ひとくいにんげん
- 僕の名前を(instrumental)
- パレード(instrumental)
- ひとくいにんげん(instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
- 「僕の名前を」music video
- 「僕の名前を」making of studio recording & music video & photo session
- 映画「オオカミ少女と黒王子」5月28日(土)より全国公開
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恋愛経験ゼロだが見栄っ張りの篠原エリカ(二階堂ふみ)は、友達に架空の彼氏との恋愛話を語って聞かせる“オオカミ少女”。ある日エリカは街で見かけたイケメンを盗撮し、自分の彼氏として友達に紹介する。ところがその彼は同じ学校に通う佐田恭也(山﨑賢人)だったことが発覚。事情を打ち明けると彼氏のふりをしてくれるという優しい恭也に、エリカは「王子様みたい……!」と大感激。しかし実はドSな面を持つ恭也は、彼氏のふりをする条件としてエリカに絶対服従を命じる。
スタッフ
原作:八田鮎子 / 監督:廣木隆一 / 脚本:まなべゆきこ / 音楽:世良裕子
キャスト
二階堂ふみ / 山﨑賢人 / 鈴木伸之 / 門脇麦 / 横浜流星 / 池田エライザ / 玉城ティナ / 吉沢亮 / 菜々緒
- ©八田鮎子 / 集英社 ©2016 映画「オオカミ少女と黒王子」製作委員会
back number(バックナンバー)
2004年に清水依与吏(Vo, G)を中心に群馬県で結成。幾度かのメンバーチェンジを経て、2007年に小島和也(B, Cho)と栗原寿(Dr)を加えた現在の編成に。2009年に発売した初のミニアルバム「逃した魚」は大手レコード店で絶賛され、全国的に話題となる。2010年にフルアルバム「あとのまつり」を発表し、美しいメロディに切ない歌詞を乗せるというスタイルを確立。2011年4月にシングル「はなびら」でメジャーデビューした。2013年には東京・日本武道館でワンマンライブを成功させ、その後もコンスタントに作品を発表。2015年12月に5thアルバム「シャンデリア」をリリースしたのち、2016年1月からアリーナ公演を含む32カ所39公演という自身最大規模のツアーを実施中。2016年5月にはニューシングル「僕の名前を」を発売する。