音楽ナタリー Power Push - back number

15thシングルに詰め込んだ“らしさ”

個の力を強めていく

──3曲目の「ひとくいにんげん」は、生々しいバンド感が前面に押し出されたロックチューンです。攻撃的なベースソロも印象的でした。

小島 それ、いきなり言われたんですよ。

清水 「ここでベースソロだ!」って(笑)。

小島 「え? 普通はギターソロじゃないの?」って言ったんだけど、「いや、ベースソロをやれ」って。

back number

清水 いやいや、(栗原に向かって)「やれ」なんて言ってないよね?

栗原 うん(笑)。「こういう曲はイキ切らないとダメだから、やっぱりベースソロでしょ」って。

清水 和也、最初は細かいフレーズを弾こうとしてたんですよ。だから「小賢しいことやらなくていいから、もっとシンプルにバシバシやってよ!」って言ってたら、寿も「まだ弱いな」って口を出し始めて。

栗原 「そうじゃないんだよな」とか。

小島 ハハハハハ!(笑)

清水 あのやり取りはすごく面白かった。そういうムチャぶりをたまにやってないと、腑抜けになっちゃいますから。俺もプロデューサーの方々にギターソロをムチャぶりされながら育ってるところもあるし、ドラムに関しても「ここはもうちょっとがんばろうか」ということもあって。やっぱりバンドとしては、個の力を、個の力を、個の力を強めていかないと。

栗原 何で3回言うんだ?(笑)

小島 大事なことだからでしょ?

清水 そう! サッカーの日本代表じゃないけど、個の力を上げていかないとダメなので。そういう意味でも有意義でしたね、「ひとくいにんげん」は。

周りの人たちの感性を“食べている”んだろうな

──「もっと僕にちょうだいよ 研ぎ澄まされた感性を」という歌詞も強烈でした。この歌詞はどんなテーマで書かれたんですか?

清水 最近、いろいろな先輩方と話をさせてもらってるんですけど、ずっと第一線で活躍されている方々を見ていると「もともとの自分よりも、現在の自分のほうが優れていると思っているんだろうな」と感じることが多くて。それってどこから来る自信なんだろう?と考えてみると「1人の人間として成長していく以上に、周りの人たちの感性を“食べている”んだろうな」と思ったんです。自分もいろんな人との出会いの中で「あの人の感性は自分よりもさらに大きい気がする。何日か一緒にいてみたい」と思うことがあるんですよ。そうやって他人の感性みたいなものを取り込んでいくと、何かテーマを与えられたとき、自分の中で複数の精鋭たちが会議して、それを自分の意見としてバン!と出せるようになるっていう。

──複数の感性を自分の中で統合して、1つの楽曲につなげるというか。

清水 そう考えると、みんな“人食い人間”だなって思うんですよ。「ひとくいにんげん」はその感覚を実際に体験したことがある人じゃないとわからない言葉で表現してみたかったんですよね。

──確かに10年、20年と優れた曲を作り続けるには、自分だけの感性では足りないかもしれないですね。

清水 もともと持っているものもすごいのに、それをアップデートさせる精度も高いんですよね。長い期間に渡って活躍しているってことは、ずっと好かれまくって、モテ続けているわけですから。「モテる」っていう言い方が適しているかわからないですけど(笑)、そのアーティストをずっと好きっていう人が何万人、何十万人いるって、普通じゃないですから。

back number

──back numberもその入り口に立ってると思いますが。

清水 いや、どうですかね……。でも、そういう気持ちをここで歌えたことはよかったと思います。

──6月から7月にかけては全国ツアーのアリーナ公演が開催されますね。

清水 会場がデカいと緊張感もあるし、物理的にお客さんとの距離も広がったりするけど、なるべく近くに感じてもらえるようにやりたいですね。さっきの「自分たちのことをロックバンドだと思う」という話にもつながってくるんですけど、今って、会場が大きくなるにつれて演出にこだわるのが主流な気がするんですよ。でも、僕らは楽曲が一番よく聞こえること、楽曲に浸ってもらえることが一番の演出だと思ってるんですね。

小島 うん。

清水 いい音響、シンプルでカッコいい照明、メンバーが一生懸命に演奏すること。あとお客さんが「これは自分の曲だ」と感じてくれれば十分じゃないかな、と。これほどの規模のアリーナ公演をやるのは初めてですけど、そういうライブができれば「いいツアーができた」って言えると思いますね。

ツアー情報

back number tour 2016 “ミラーボールとシャンデリア”(※アリーナ公演)

  • 2016年6月4日(土)愛知県 日本ガイシホール
  • 2016年6月5日(日)愛知県 日本ガイシホール
  • 2016年6月18日(土)千葉県 幕張メッセ国際展示場9~11ホール
  • 2016年6月19日(日)千葉県 幕張メッセ国際展示場9~11ホール
  • 2016年6月29日(水)大阪府 大阪城ホール
  • 2016年6月30日(木)大阪府 大阪城ホール
  • 2016年7月9日(土)福岡県 マリンメッセ福岡
  • 2016年7月10日(日)福岡県 マリンメッセ福岡
  • 2016年7月14日(木)東京都 日本武道館
  • 2016年7月15日(金)東京都 日本武道館
  • 2016年7月23日(土)群馬県 ヤマダグリーンドーム前橋
  • 2016年7月24日(日)群馬県 ヤマダグリーンドーム前橋

※全公演ソールドアウト

one room party vol.3(※ファンクラブ限定ツアー)

  • 2016年9月29日(木)宮城県 仙台PIT
  • 2016年10月1日(土)東京都 新木場STUDIO COAST
  • 2016年10月3日(月)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2016年10月6日(木)大阪府 なんばHatch
  • 2016年10月8日(土)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
  • 2016年10月13日(木)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2016年10月15日(土)香川県 高松festhalle
  • 2016年10月20日(木)東京都 豊洲PIT
  • 2016年10月24日(月)新潟県 新潟LOTS
  • 2016年10月27日(木)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2016年10月28日(金)北海道 札幌PENNY LANE24
ニューシングル「僕の名前を」 / 2016年5月25日発売 / UNIVERSAL SIGMA
初回限定盤 [CD+DVD] 1620円 / UMCK-9837
通常盤 [CD] 1080円 / UMCK-5599
CD収録曲
  1. 僕の名前を
  2. パレード
  3. ひとくいにんげん
  4. 僕の名前を(instrumental)
  5. パレード(instrumental)
  6. ひとくいにんげん(instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
  • 「僕の名前を」music video
  • 「僕の名前を」making of studio recording & music video & photo session
映画「オオカミ少女と黒王子」5月28日(土)より全国公開
「オオカミ少女と黒王子」

恋愛経験ゼロだが見栄っ張りの篠原エリカ(二階堂ふみ)は、友達に架空の彼氏との恋愛話を語って聞かせる“オオカミ少女”。ある日エリカは街で見かけたイケメンを盗撮し、自分の彼氏として友達に紹介する。ところがその彼は同じ学校に通う佐田恭也(山﨑賢人)だったことが発覚。事情を打ち明けると彼氏のふりをしてくれるという優しい恭也に、エリカは「王子様みたい……!」と大感激。しかし実はドSな面を持つ恭也は、彼氏のふりをする条件としてエリカに絶対服従を命じる。

スタッフ

原作:八田鮎子 / 監督:廣木隆一 / 脚本:まなべゆきこ / 音楽:世良裕子

キャスト

二階堂ふみ / 山﨑賢人 / 鈴木伸之 / 門脇麦 / 横浜流星 / 池田エライザ / 玉城ティナ / 吉沢亮 / 菜々緒

back number(バックナンバー)
back number

2004年に清水依与吏(Vo, G)を中心に群馬県で結成。幾度かのメンバーチェンジを経て、2007年に小島和也(B, Cho)と栗原寿(Dr)を加えた現在の編成に。2009年に発売した初のミニアルバム「逃した魚」は大手レコード店で絶賛され、全国的に話題となる。2010年にフルアルバム「あとのまつり」を発表し、美しいメロディに切ない歌詞を乗せるというスタイルを確立。2011年4月にシングル「はなびら」でメジャーデビューした。2013年には東京・日本武道館でワンマンライブを成功させ、その後もコンスタントに作品を発表。2015年12月に5thアルバム「シャンデリア」をリリースしたのち、2016年1月からアリーナ公演を含む32カ所39公演という自身最大規模のツアーを実施中。2016年5月にはニューシングル「僕の名前を」を発売する。