amazarashi「地方都市のメメント・モリ」 PR

amazarashi|秋田ひろむの言葉から紐解く“リスナーが共感する理由”

amazarashiがニューアルバム「地方都市のメメント・モリ」をリリースした。2009年2月のデビュー以降、amazarashiはメッセージ性の強い楽曲を次々と世に送り出し、激しさと繊細さをあわせ持つ表現力でリスナーを増やし続けてきた。

彼らが支持される理由はどこにあるのか? その答えを導き出すため、音楽ナタリーでは、デビュー9周年を目前にして改めてamazarashiの魅力に迫るべく、秋田ひろむ(Vo, G)にメールインタビューを実施。その発言を交えながら、amazarashiおよび最新作「地方都市のメメント・モリ」の世界をじっくりと紐解いた。

取材・文 / もりひでゆき

多くのリスナーを魅了する歌詞が生まれる背景

秋田ひろむ(撮影:木村篤史)

amazarashiがリスナーから支持される理由を語るうえで欠かせない大きな要素は、秋田ひろむが吐露する言葉、すなわち歌詞である。美しいものも汚いものも、真実も嘘も、生と死も包み隠さず、赤裸々に言葉として吐き出していく。だからこそamazarashiの音楽は常にリアルであり、聞き手の胸に鋭く突き刺さってくるのだ。日常の中で心の奥底に沈めておくしかなかった感情を音楽としてすくい上げてくれるamazarashiは、彼らを支持するリスナーにとってのかけがえのない代弁者とも言えるだろう。秋田自身は自らの言葉へのこだわりをこう語る。

「言葉として直接的に表現しにくい事柄を言葉に例えるのが詩だと思うんです。そして僕は音楽と歌詞でもそれをやりたいと思っていて、できるだけ自分だけの表現で比喩したいなと思っています。今、日本語の音楽でよく歌われる常套句とかあるじゃないですか。そういうものは昔、誰かが独自に開発した表現で、それがあまりにも心に響くから常套句になって、今現在誰もが使う言葉になったんだと思うんです。そういうことをやりたいなと思っています」

「自分自身に向けて曲を書くことは変わらない」。秋田はデビュー以来、一貫してそう言い続けてきている。だが、活動を続けていく中でamazarashiの音楽が多くの人のもとへと届き、共感を与えていくことで、“伝える”という新たな感情が芽生えてもいった。その発端となったのが2013年リリースのアルバムの表題曲「あんたへ」。聴き手の顔を意識したうえで放たれたそのメッセージソングをきっかけに、彼の表現は徐々に変化し、外へと開かれた部分もあるような気がするのだが……そんな印象について秋田はこのように述べている。

「変化って言うほどのことを感じてないんですよ。僕自身は。次はこうしようとかあまり考えてないですし、特定のリスナー層を狙おうとかもないですし。聴き手は変わったと感じるかもしれないですけど、作り手にとって変化したかどうかは重要なことではない気がします」

ニューアルバム「地方都市のメメント・モリ」に収録されている「フィロソフィー」や「空に歌えば」「悲しみ一つも残さないで」といった楽曲には、聴き手にとって生きていくうえでの糧になるような道しるべとも言えるメッセージが込められている。それがリスナーに向けて書かれたものかという問いかけに対して、秋田は「大抵は友達か自分自身に歌ってることです。自分のネガティブを言い負かすために曲を書いてるっていう部分は今もあります。『フィロソフィー』とか『空に歌えば』はそうですね」と否定した。しかしながら、アルバムの1曲目を飾る「ワードプロセッサー」には“僕の言葉の死に場所ならここだ”“十年後、百年後 何かしら芽吹く種子だと確信している”という力強いフレーズが踊っている。そこにはシーンの中で自らの思いを発信し続けることへの覚悟と、それを受け取る人たちへの願いが込められているのではないだろうか。

「ここ最近、いろんな現場で『amazarashiを聴いてました』って言う若い人と仕事することがちょくちょくあって、僕らも多少なりとも人の人生に影響を与えてるのかなあと感じることがありました。僕らはやりたいことをやってただけなんですけど、知らずに種を蒔いててそれがどっかで芽吹いてて、ってことを肌で感じたので、そういうことを歌詞にしました。『ワードプロセッサー』は今の僕らの自己紹介的な曲なので、僕自身の動機とか覚悟とか、伝えられたらなと思いながら作りました」

amazarashiの創作の源は、聴き手にどう受け取られるか以前に、自らが言いたいこと、自らがやりたいことをまっとうすることにある。だが、聴き手を一切無視し、排除しているかと言えばそうではない。自らの生み出す音楽が受け入れられている状況や、そこへの感謝をしっかりと感じつつ、バンドとしての信念を貫いているということ。だからこそ彼らのメッセージにはエゴイスティックな押しつけがましさが皆無であり、その存在には大きな信頼感が伴っているのだろう。

amazarashi Live Tour 2017「メッセージボトル」中野サンプラザホール公演の様子。(撮影:木村篤史)

歌詞についてもう1つ。amazarashiにとって“死生観”は重要なテーマとなっている。死にたいくらいに絶望的な状況を描くことで、逆説的に“生”を浮かび上がらせる楽曲が非常に多い。誰しもに訪れる“死”から目を背けず、それを歌詞に落とし込むのはなぜなのか? 秋田にとって“死”とはどのようなものなのだろうか?

「残り時間。最終期限。みたいなものです。それまでに何をするか、何ができるかということを最近はよく考えます。死にたいと考えたことがある生きてる人間にとっては、その考えに至ったところがスタートラインのような気がします。生きると死ぬについては。だからそういう歌詞が多いんだと思います」

歌詞をより劇的に伝えるメロディ、歌声の妙

秋田の歌詞をより鋭く、よりダイレクトに響かせるサウンドは、過剰な装飾に頼ることなく繊細かつエモーショナルな音像を描き出してamazarashiの世界観をよりふくよかなものとする。デビュー以来、たくさんの楽曲を生み出してきた彼らだが、作品ごとに新たな表情をしっかり感じさせてくれるところも楽しい。「地方都市のメメント・モリ」にも「空洞空洞」や「ハルキオンザロード」「バケモノ」など、新鮮なトライを感じさせる楽曲が目白押しだ。

「(今回のアルバムには)僕が好きだったロックバンドの影響を潜ませようという裏テーマがありました。あとは、今回のアルバムは僕の生活と近いところを歌っているので、歌詞で畳みかけるというよりは、情景を想像させる歌、メロディというのは意識しました」

amazarashiの楽曲はそのメロディの素晴らしさも外せないファクターと言える。歌詞にはらんだ闇や痛みを、時に増長させて、時に浄化させてもみせるメロディの妙。そこには多くの人の耳を捉えて離さないポピュラリティも感じることができる。これは大きな強みだろう。

「メロディなんてなくていいと思ってた時期もあるんですけど、やっぱりメロディと歌詞が両立してこその歌だと思うので、今はそこで感動してほしいなという気持ちが強いです」

amazarashi Live Tour 2017「メッセージボトル」中野サンプラザホール公演の様子。(撮影:木村篤史)

そして秋田ひろむの歌もまた圧倒的な力を秘めている。激情をほとばしらせる叫びにも似た歌唱もあれば、とつとつと思いの丈をその声に乗せるポエトリーリーディング的な手法も織り交ぜていく。そこにもまた彼なりの流儀があり、同時にボーカリストとしての強い自信を感じ始めているようだ。

「歌に関しては自然が一番だと思います。長く歌っているとニュアンスとか付けたくなりますけど、意図してやるとわざとらしさが見えてしまいます」

「アマチュア時代は全力で叫んで歌って、30分のライブで声がガラガラでした。デビューしてから力を抜くことを教えられて、まったくやり方が変わってしまって歌が安定しない時期がけっこう続きました。最近は力を抜くことを覚えたので、自分のペース配分の中で全力を出すことができるようになったと思います。この先もたくさん歌ってたらうまくなるだろうと思います」

amazarashi「地方都市のメメント・モリ」
2017年12月13日発売
Sony Music Associated Records
amazarashi「地方都市のメメント・モリ」初回限定盤A

初回限定盤A
[CD+DVD+グッズ]
4860円 / AICL-3462~4

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amazarashi「地方都市のメメント・モリ」初回限定盤B

初回限定盤B
[CD2枚組+DVD]
4212円 / AICL-3465~7

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amazarashi「地方都市のメメント・モリ」通常盤

通常盤
[CD]
3240円 / AICL-3468

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CD収録曲(全盤共通)
  1. ワードプロセッサー
  2. 空洞空洞
  3. フィロソフィー
  4. 水槽
  5. 空に歌えば
  6. ハルキオンザロード
  7. 悲しみ一つも残さないで
  8. バケモノ
  9. リタ
  10. たられば
  11. 命にふさわしい
  12. ぼくら対せかい
初回限定盤A DVD収録内容

amazarashi Live Tour 2017「メッセージボトル」at Nakano Sunplaza 10.19

  • ポエジー
  • ヒーロー
  • ヨクト
  • 隅田川
  • ワンルーム叙事詩
  • 奇跡
  • メーデーメーデー
  • ピアノ泥棒
  • つじつま合わせに生まれた僕等
  • 少年少女
  • 後期衝動
  • フィロソフィー
  • 空に歌えば
  • ひろ
  • しらふ
  • 美しき思い出
  • MC
  • たられば
  • 命にふさわしい
  • スターライト
初回限定盤B CD収録曲 -弾き語り-
  1. 夏を待っていました
  2. ヒーロー
  3. 穴を掘っている
  4. ジュブナイル
  5. 隅田川
初回限定盤B DVD収録内容 -Music Video-
  • 命にふさわしい
  • ヒーロー
  • 空に歌えば
  • Making of amazarashi「フィロソフィー」

ツアー情報

amazarashi × Aimer Asia Tour 2018
  • 2018年3月3日(土)中国 上海 Bandai Namco Shanghai Base(DREAM HALL)
  • 2018年3月4日(日)中国 上海 Bandai Namco Shanghai Base(DREAM HALL)
  • 2018年3月24日(土)台湾 台北 Legacy MaX
  • 2018年3月31日(土)シンガポール Zepp@BIGBOX Singapore
amazarashi Live Tour 2018
「地方都市のメメント・モリ」
  • 2018年4月20日(金)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
  • 2018年4月28日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2018年4月30日(月・祝)福岡県 福岡市民会館
  • 2018年5月4日(金・祝)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2018年5月6日(日)広島県 JMSアステールプラザ 大ホール
  • 2018年5月12日(土)宮城県 SENDAI GIGS
  • 2018年5月19日(土)新潟県 新潟県民会館
  • 2018年5月20日(日)石川県 本多の森ホール
  • 2018年5月26日(土)東京都 チームスマイル・豊洲PIT
  • 2018年6月3日(日)北海道 Zepp Sapporo
amazarashi(アマザラシ)
青森県むつ市在住の秋田ひろむを中心としたバンド。2009年12月に青森県内500枚限定の詩集付きミニアルバム「0.」を、翌2010年2月にその全国盤となる「0.6」をリリースした。その後2010年6月に「爆弾の作り方」をSony Music Associated Recordsから発表。アーティスト本人の露出がないまま、口コミを中心に話題を集めていき、2011年11月には初のフルアルバム「千年幸福論」を発表した。2015年2月に発表した1stシングル「季節は次々死んでいく」の表題曲がアニメ「東京喰種トーキョーグール√A(ルートエー)」の主題歌となり、3月には台湾にて初の海外ライブを実施。8月には東京・豊洲PITにて3D映像を駆使したアニバーサリーライブを行った。2016年2月にアルバム「世界収束二一一六」をリリース。10月にはミニアルバム「虚無病」を発表し、千葉・幕張イベントホールにて360°全方位から映像を投影するという自身初の試みとなるワンマンライブ「amazarashi LIVE 360°」を開催した。2017年3月に初のベストアルバム「メッセージボトル」を発表。12月には秋田が千葉・舞浜アンフィシアターにて弾き語りライブ「理論武装解除」を2日間行った。同月にはPlayStation 4用ソフト「ニーア オートマタ」とのコラボレーション楽曲「命にふさわしい」、テレビアニメ「僕のヒーローアカデミア」のオープニングテーマ「空に歌えば」、「ダイドーブレンド」のCMタイアップ曲「フィロソフィー」を含む4thアルバム「地方都市のメメント・モリ」をリリース。2018年4月からは今作を携え、全10公演のライブツアーを実施する。