音楽ナタリー Power Push - AL
バンドになった理由と8年間を総括した13曲
壮平からもらった手紙
──2014年にandymoriが解散します。それがあって、小山田さんにはALを本腰を入れてやろうという考えがあった?
小山田 そうですね。
──その時点で、ソロとしてやっていくとか、新しいバンドを始めるとか、いろんな選択肢があったと思うんです。でも、ALをやろうと思ったのは、どういう確信があったんでしょうか?
小山田 確信があったというか……一緒にやらないほうがおかしかった。自分1人じゃできないことができると思ったし、自分1人で書いた曲も、なんだか知之と一緒に作ってるような感じがしていて。共有する時間の中で自然とそうなっていったんです。
──長澤さんはどうですか? 先ほど言った遊びの延長、プライベートなものからALの位置付けが切り替わったタイミングはありました?
長澤 ちょくちょくあったんですけど、はっきりと切り替わったのは壮平から手紙をもらったときですね。andymoriの活動を止めたときのことで。そこに「ALをやりたい。素晴らしい音楽を作りたい」ってことが書かれてたんですね。それがきっかけになったというか。最初は楽しんでいる時間を大切にしたかったし、責任も負いたくなかったし、そういう感じで続けていこうと思ったんですけれど、そこからは変わってきましたね。
──長澤さんはソロアーティストとしてずっと活動してきたわけですが、ALに本腰を入れてやるようになったわけですよね。
長澤 ソロでやってきたことを否定するつもりはまったくないんですけれど、やっぱり自分1人で背負うものが多いんで、その重圧がキツいときもたくさんあったんです。でも壮平と一緒にやっている時間はいつも幸せだったんですね。
高校生活はしんどかった
──アルバムに入っている中で、最初にできた曲は?
小山田 「心の中の色紙」ですね。それが、最初に出会って飲んだ日にできた。
長澤 たしかandymoriのデビュー前だったんですよ。
小山田 最初のEPが出る直前だから、2008年頃だったかな。
──本当に出会ってすぐにできた曲だったんですね。福岡の地名が歌詞には出てきているわけですけど、お2人にとっても思い出の場所なんですか?
小山田 そうですね。2人とも地元が福岡だったんで。
長澤 壮平が通っていた高校が俺の家の近くだったんですよ。だから、生活圏が似てるところもあって。そういう話をしていたときにできた曲じゃないかな。
小山田 そうだ、初めて会ったときって、そういうことを話すもんね。
──アルバムには「15の夏」という曲もありますけれど、15歳の頃のお2人はどんな感じでしたか?
小山田 高校1年の頃か……。俺は飯塚市という田舎町から福岡市内の学校に2時間くらいかけて通っていて。演劇をやったり、楽しいこともあったけど、高校3年間はしんどい時期でした。
長澤 俺も似たような状況でした。周囲と全然合わなかった。バンドを組んでみたりもしたけれど、うまくいかなくて。友達もできなかったし、同じように悶々としていた時期でした。
──長澤さんがバンドをやってもうまくいかなかったというのは?
長澤 俺が行っていた高校が、テストにアルファベットを書いたら受かるような高校だったんですよ。虚勢を張る感じの人が多くて、そういう雰囲気がキツかった。軽音楽部に入ったんですけど、人格も音楽性もまったく合わない人と「なんだこれ」って思いながらバンドやってたんですね。「The Beatlesやりたい」って言ったら「英語わからんけんね!」って言われたり(笑)。「地獄だ!」って。だから高校行く意味もないなって思って、親に頼んで高校を辞めさせてもらいました。
──小山田さんが最初にバンドをやろうと思ったのは?
小山田 高校生のときですね。スタジオに入ってみたんですけど。Bon Joviのカバーをして。「She Don't Know Me」という曲を歌って、それで終わりました(笑)。
集まった友達が結局バンドになってた
──andymoriを結成したときって、どんなところで意気投合したんでしょう?
小山田 寛とは大学時代からバンドを組んでたんです。寛の家に遊びに行ったときに、RadioheadとRed Hot Chili Peppersのビデオを観ながらずっとベースを弾いてるのを見て「こんな変な人がいるんだな」って(笑)。
藤原 そこまで自己中心的じゃなかったけど(笑)。
小山田 それで、俺も自分のバンドをやろうと思ったときに誘ったんです。そのバンドが卒業すると同時に就活でメンバーが半分になっちゃって。ドラマーが欲しいと思ったときに、2つ年下の後輩だった(後藤)大樹を誘ったんですね。そのときに大樹がやってたバンドのライブを高円寺のライブハウスに観に行って「これだ」って思って。
──小山田さんと長澤さんはミュージシャンとして長く活動してきたわけなので、ベースやドラムを弾ける知り合いはたくさんいると思うんです。でも、結果的にこの4人になった。そこにはどういう理由があったんでしょう?
小山田 結局、音楽だけじゃなくて、人生観だったり、そういう芯の部分で共感し合える仲間だったってことなんです。
長澤 壮平とは同い年で福岡出身で、共通の話題も多かった。友達から始まって、その上で音楽で遊んでいるという感覚だったんです。で、そういうふうに同じように音楽を楽しめたのが2人だった。バンドを組みたいと思って組んだというよりは、集まった友達が結局バンドになってたという感覚です。
小山田 みんながそういうものを求めた結果、そうなったんじゃないかと思います。
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収録曲
- 北極大陸
- HAPPY BIRTHDAY
- シャッター
- メアリージェーン
- 風のない明日
- 15の夏
- あのウミネコ
- ハートの破り方
- 心の中の色紙
- ランタナ
- Mt. ABURA BLUES
- さよならジージョ
- 花束
ツアー情報
AL 1st Tour 2016
- 2016年4月18日(月)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2016年4月20日(水)福岡県 DRUM LOGOS
- 2016年4月25日(月)大阪府 BIGCAT
- 2016年5月6日(金)東京都 赤坂BLITZ
AL(アル)
2008年頃から楽曲制作やライブを行っていた小山田壮平(Vo, G)と長澤知之(Vo, G)によるプライベートプロジェクトに藤原寛(B, Cho)と後藤大樹(Dr, Cho)が加入し、2015年7月にバンド編成で正式に活動をスタートさせる。2016年4月13日に自主レーベル・Revival Recordsから1stアルバム「心の中の色紙」をリリースした。4月から5月にかけて全国4カ所でツアー「AL 1st Tour 2016」を開催する。