あえて自分の嫌いな声で歌ってみた
──「Ref:rain」のレコーディングはいかがでした?
この曲は、キーがやや低めなこともあって、ひさしぶりにちょっと余裕を持って歌える感じだったんです。その中で、私の声には自分の好きな成分と嫌いな成分があるんですけど、あえて嫌いな成分も入れて歌ってみました。たぶん、そうすることによってより感情が伝わりやすくなるんじゃないかと思って。
──その嫌いな成分って、教えてもらうことはできますか?
例えば「花の唄」の、ラスサビの頭の自分の声が……(すごく小声で)嫌い……。
──めっちゃ声小さくなってますけど(笑)。でもそれはリスナーにはわからない部分でしょうね。
うーん、鼻に空気が入りすぎているみたいな……そういう声の表現なんですけど、ちょうど今、ツアーを回りながらいろいろな表現を試していて。やっぱりライブでは自分の生身の声は隠せないし、それと向き合っていく中で、デビューから7年くらい悩んでいたことに解決の糸口が見えてきたと言うか、ようやく霧が晴れてきた感じがあるんです。
──なるほど。
なので今回のシングルは、曲ごとに試行錯誤を重ねて、自分の声というものを見つめ直しながら作っていて。この「Ref:rain」は自分がずっと隠したがっていた声を意図的に出したっていう。特に、張ったときの声にそれが見え隠れしてるかなと自分では思うんですけど、おっしゃる通り聴いてくださる方はなんのことか全然わからないですよね(笑)。
──ネガティブな印象を持たれる方はいないと思われます(笑)。個人的には、バラードでありながら非常に大胆な歌声に聞こえました。
ありがとうございます。本当に、エモーショナルになるべきところをためらわずに、自由に、全力で歌いました。この曲はサビとそれ以外のパートの落差が激しい曲でもあるので、ミックスでもそれをすごく大事にして音を作りましたし、歌でもそれを自然に表現できているかなと思います。
Coccoらしさにあふれた「眩いばかり」
──続く「眩いばかり」は、Coccoさんの作詞・作曲のミディアムバラードです。正直、Coccoさんからの楽曲提供にはびっくりしました。
過去に、カバーアルバム「Bitter & Sweet」(2012年発売)でCoccoさんの「強く儚い者たち」をカバーさせていただいたり、昔から私はCoccoさんの歌が大好きで、憧れていて。一度だけある音楽番組の収録でご一緒する機会があって、そのときにご挨拶して少しおしゃべりをさせていただいたんですけど、それ以来約1年ぶりの巡り会いが今回の楽曲提供のお話だったんです。だから本当にただただ光栄で、うれしくて。実はもともと4曲目に入っているCoccoさんの「Raining」をカバーさせていただくことを先に考えていたんですけれど。
──あ、そちらが先だったんですね。“雨”つながりで?
そうなんです。「Ref:rain」のカップリングとして、雨にまつわる曲をカバーしたいと思っていて。「Raining」も大好きな曲だしぴったりだという話をしていたら、ご本人が曲を書き下ろしてくださることになりまして、繰り返しになりますけど、ただただ光栄でした。いただいた楽曲も実にCoccoさんらしくて。
──具体的には?
歌詞に関しては、これは私の個人的な解釈ですけど、ある意味で自分自身をちょっとあざけっているような感じがあって。要するに、うまく生きられなかったり、思い通りにならなかったり、理想と現実、あるいは歌詞から言葉を引けば「今日」と「明日」の狭間にいる自分を客観視していて、そこがCoccoさんらしいなと思いました。
──過去のインタビューで、Aimerさんは「対極にある要素が1つの曲の中に入っているのが、Coccoさんの書く歌詞の魅力的なところ」だとおっしゃっていました(参照:Aimer「Bitter & Sweet」インタビュー)。それはAimerさんが作詞面で大事にしていることでもありますよね。
確かにそうですね。この曲にもそれを感じたんです。しかもCoccoさんは、「なんて世界」と呆れながら、だからといってこの世界を否定するでもなく、最後には「光が」とすら言っています。で、タイトルが「眩いばかり」。その真意はわからないけれど、世界も、自分の中にある相反する感情も、あるがままに受け入れているような気がして。それでいて歌はすごくまっすぐなところもCoccoさんらしいと思いますし。最初にピアノと歌だけのデモをいただいたんです。
──仮歌もCoccoさんが?
はい。おまけに直筆の歌詞までいただいたので、すごくうれしくて、何回も何回も聴いて「じゃあ私は、どうやって歌おう?」と研究して挑みました。
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Aimerの考える、もっとも美しい声とは?
- Aimer「Ref:rain / 眩いばかり」
- 2018年2月21日発売 / SME Records
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初回限定盤 [CD+DVD]
1620円 / SECL-2252~3 -
通常盤 [CD]
1350円 / SECL-2254 -
期間生産限定盤 [CD+DVD]
1620円 / SECL-2255~6
- 初回限定盤CD収録曲
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- Ref:rain
- 眩いばかり
- After Rain -Scarlet ver.-
- Raining
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 「花の唄」MUSIC VIDEO
- 「ONE」MUSIC VIDEO
- 通常盤CD収録曲
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- Ref:rain
- 眩いばかり
- After Rain -Scarlet ver.-
- Raining
- 期間生産限定盤CD収録曲
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- Ref:rain
- 眩いばかり
- After Rain -Scarlet ver.-
- Raining
- Ref:rain(TV size)
- 期間生産限定盤DVD収録内容
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- 「恋は雨上がりのように」ノンクレジットエンディングムービー
- amazarashi × Aimer Asia Tour 2018
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- 2018年3月3日(土)中国 上海 Bandai Namco Shanghai Base(DREAM HALL)
- 2018年3月4日(日)中国 上海 Bandai Namco Shanghai Base(DREAM HALL)
- 2018年3月24日(土)台湾 台北 Legacy MaX
- 2018年3月31日(土)シンガポール Zepp@BIGBOX Singapore
- 2018年4月5日(木)東京都 チームスマイル・豊洲PIT
- FM802 SPECIAL LIVE 紀陽銀行 presents REQUESTAGE 2018
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2018年4月28日(土)大阪府 大阪城ホール
出演者ASIAN KUNG-FU GENERATION / [Alexandros] / Aimer / クリープハイプ / THE ORAL CIGARETTES
- マチ★アソビ presents「唄の降る夜」コンサート~第二夜~
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2018年5月3日(木・祝)徳島県 徳島県文化の森総合公園内野外劇場
出演者LiSA / Aimer
- Aimer(エメ)
- 女性シンガーソングライター。幼少期よりピアノやギターでの作曲や英語での作詞を始め、15歳のとき声が一切出なくなるというアクシデントを経験し、それがきっかけとなり独特の歌声を獲得する。2011年から音楽活動を本格化させ、同年9月にシングル「六等星の夜 / 悲しみはオーロラに / TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR」でメジャーデビューを果たした。以降、「夏雪ランデブー」「機動戦士ガンダムUC」といったアニメ作品のテーマソングを担当。2014年6月に2ndアルバム「Midnight Sun」と、澤野弘之とのコラボレーションアルバム「UnChild」を同時発売し、同年9月には菅野よう子、青葉市子らが参加する新作「誰か、海を。」を発表した。2015年7月に3rdフルアルバム「DAWN」をリリース。2016年7月にONE OK ROCKのTaka(Vo)と凛として時雨のTK(Vo, G)が提供およびプロデュースした楽曲を収めた両A面シングル「insane dream / us」、8月にRADWIMPSの野田洋次郎(Vo, G)制作の「蝶々結び」を収めたシングルをリリース。9月にTaka、野田のほか、andropの内澤崇仁(Vo, G)、スキマスイッチが楽曲提供およびプロデュースをした新曲を含むアルバム「daydream」を発表し話題を集める。2017年5月にベストアルバム「BEST SELECTION "blanc"」と「BEST SELECTION "noir"」を同時リリース。8月に初の東京・日本武道館単独公演を行い、1万3000人を動員した。10月にトリプルA面シングル「ONE / 花の唄 / 六等星の夜 Magic Blue ver.」を発表。2018年2月にCocco提供の「眩いばかり」を含むニューシングル「Ref:rain / 眩いばかり」をリリースした。