お客さんがスカダンスをしてるのがうれしい

──スカのリズムを取り入れた表題曲の「ハートに火をつけて」はどんな形から生まれたんですか？

滝　この曲は4月くらいにネタ出しをして、6月の終わりに歌詞が付いて、7月の頭からライブでやり始めました。最初にギターリフとその裏で鳴るスカっぽいリズムのギターを思い付いて。

──スカっぽさは自然に出てきたの？

滝　自然に出てきましたね。意識して出した感じではないです。で、卓郎にスカっぽいギターを弾いてもらって、僕が弾くリフと合わせた音をみんなに聴いてもらったら、すごく盛り上がったんです。そのあとにオケもメロも歌詞も順調にできて。

菅原　この曲も1回作った後にちょっと長く感じた部分があって。そこをカットしたんですけど。

滝　その結果、よりスカっぽいニュアンスが前に出るアレンジになりました。

──ライブでもかなり手応えがあったでしょう？

滝　うん、気持ち良かったです。最初にやった時からかなり盛り上がったので、ビックリもしました。予想以上でしたね。

菅原　スタッフからスカダンスをしているお客さんがいるという報告が入って。それもうれしかったです。

「ハートに火をつけて」は優等生な曲

──リズム隊はこの曲にどんなポイントを置きましたか？

かみじょう　リフが強烈なので、それを活かすドラムを心がけました。4曲の中では一番壁にぶつからずに仕上げることができましたね。

──スカテイストという意味ではどんなことを意識しましたか？

かみじょう　スカということで、歯切れのいい音を意識して、スネアを1つにして。でも、それをずっとやっているのも飽きるので、サビでは従来どおり2つ使ってます（笑）。

中村　スカの曲調がすごく新鮮だったんですけど、フレーズのイメージもすぐに浮かんで。最初からやることがハッキリしていたので、スムーズにそこに向かっていく感じでした。「こういう曲調をやっちゃうよ！」って開き直って楽しめました（笑）。

──曲ができて、すぐにこれはシングルにしようってなったんですか？

滝　メロと歌詞が付く前からシングルにしたいねという話になって。そういう意味では、かなり優等生的な曲ですね。

──裏を返せば、メロと歌詞のハードルも自ら上げたことにもなる。

滝　そうですね。でも、ちゃんとシングルのリード曲らしく聴こえるように追い込んでいけば、メロも歌詞も正解にたどり着ける確信がありました。

──歌謡曲的なキャッチーさと躍動感に満ちたメロディも9mmの独自性が押し出されてますね。

滝　メロは気持ち良い流れで聴けることを意識しながら、セクションごとの個性も付けていって。良いメロディを付けることができたと思います。

メロディの原点はハイスタ、イースタン、相川七瀬

──この曲を聴いて改めて思ったけど、滝くんはもう自分のメロディを確立してますよね。

滝　そうですね。ある程度のひな形はできたような気がします。

──自分のメロディのポイントはどんなところにあると思いますか？

滝　声を張って歌えること、ですかね。声を張って楽しくなる感じと言いますか。卓郎くんにはかなり無理をさせていると思います。

菅原　あはははは（笑）。

──その感覚の原点になっているのは？

滝　Hi-STANDARD、eastern youth、相川七瀬さんとかですね。

──Hi-STANDARDとeastern youthに相川七瀬さんが連なっていることに全く違和感がないよね。

滝　そうなんです。メロのエモさが実は同じラインだと思っていて。

菅原　全部同じ時期に聴いていたんだよね？

滝　そう。どれも最高です。

最初はメロディがしょんぼりしてたんです（笑）

──卓郎くんは「ハートに火をつけて」のメロディをどう捉えましたか？

菅原　最初に滝が付けたメロディはもっと寂しげな感じだったんですよ。それを1回書き直したことで、かなり情熱的になって。

滝　そう、最初はしょんぼりしてたんです（笑）。

──情熱的になったのもシングルを意識してですか？

滝　そうですね。この曲は情熱的なほうが良いだろうということで。

菅原　歌はいつもどおり難しいんですけど、それ以上に楽しいです。ライブでお客さんも楽しそうにしてくれるし。

──卓郎くんのボーカルスキルもどんどん向上していますよね。

菅原　ありがとうございます。歌録りのスピードも上がってきてるし。常に前の作品より成長したいと思ってますね。

滝　今回もかなり早く終わったよね。

──ライブでも歌詞がハッキリ聴こえるのが素晴らしいなと。

菅原　ライブを観に来て、歌が聴こえないともったいないと思うから。ただでさえ、9mmはサウンドが豪快なので、歌も強くなければいけないと思うし。そこはすごく意識してますね。