ナタリー PowerPush - 9mm Parabellum Bullet

ライブで磨き上げた強力シングル「ハートに火をつけて」

気分が良かったので曲がたくさん書けた

──新曲の制作を始めたのはいつ頃だったんですか?

菅原 年明けすぐにプリプロを始めたんだったけ?

 そうだね。年頭に集まって、いきなり録音を始めました。最初に「ラストラウンド」から手を付けたんです。まずは「ラストラウンド」をどうにか形にして、ライブでやりたいと思って。その時点では、シングルリリースの予定も立ってなかったんですけど。

──「ラストラウンド」はどういう流れでできた曲ですか?

 この曲は実は「Movement」に入れようと思っていたんです。「新しい光」とかよりも前にできていて。アレンジもほぼ固まっていて。

菅原 「Movement」のプリプロで1回みんなで演奏したね。

──なんで「Movement」から外したんですか?

 「新しい光」とサウンドの傾向が少し似ていたのと、「カモメ」や「Monday」のように優しい曲がある中で全体のバランスを考えて。この曲が入るとアルバムのキャラが変わっちゃうかなという気持ちがあったんです。でも、お気に入りの曲ではあったので、今回のタイミングで最初に手を付けようと思って。今回のプリプロではアレンジも変えました。間奏部分がプログレッシブになって……。で、その後に詳しい数は忘れましたけど、何曲か一気に手を付けて。「ラストラウンド」以外にも昔の曲のリアレンジをしたり。

──デモ曲もたくさんあったんだ。

 「Movement」のツアーが終わって、今年に入ってからすごい勢いで作って、みんなに聴かせたんです。

菅原 デモが十何曲入ったCD-Rを滝が持ってきて。その中に「MTV Unplugged」でやった「フライデーナイト・ファンタジー」とかも入っていたんですけど。

──ああ、前回のインタビューでも話が出たあのデモ集だ。

 そうです。とりあえず曲はいっぱい作ったほうがいいだろうということで。断片的なものも含めて、14、5曲くらいそのCD-Rに入れました。

──アイデアもどんどん出てきた?

 はい。ガスガス出ましたね(笑)。最大で1日4曲くらい作ったりしました。歴代では一番早いペースで曲を書けたと思います。

──そこまで早いペースで書けた要因は?

 たまたまですかねえ(笑)。気分ですね。

──気分が良かった、と。

 あと元気だったということですね(笑)。

超絶ドラムのおかげで9mmらしさが出た

──「ラストラウンド」以外の3曲もそのデモ集の中に入っていたんですか?

 いや、確か入ってなかったと思います。

菅原 そもそも「R.I.N.O.」は、かなり前からあって。

──この曲もそうなんだ。

 いつ頃からあったかハッキリしてないんですけど……。

菅原 「Revolutionary」を出す前に学園祭のライブがあって、そこでやった記憶がある。

 そうだね。曲自体は「VAMPIRE」の前にあった気がする。この曲も「ラストラウンド」と同じ理由で、似たようなリズムの曲が先にあったりしてリリースを先延ばしにしていて。あとはずっとアレンジに悩んでいたんですよね。今回、かみじょうくんのドラムが超絶難しくなることで、9mmらしさを一気に出せて、これはいけるぞってなりました(笑)。

──この曲のドラムはすさまじいですよね。

かみじょう ふふふふふ(笑)。がんばりました。

──そうやってお蔵入りになってる曲ってあるんですか?

 いっぱいあります(笑)。

菅原 できたときが旬じゃない曲って結構あって。

中村 時間が経つと曲を客観的に見れるから、そこで今ならいけるってなることも多いですね。

キレを活かしたら1分40秒の曲に

──1曲目を飾ってるショートチューン「Scream For The Future」はいつ作られたんですか?

 これは5月くらいに作りました。最初にみんなにデモを聴かせたときは、4分近くあったんです。「でも、ちょっと長く感じるんだよね」って言ってたら、バッサリ切ることになって(笑)。

──その結果、1分40秒になったと(笑)。

 はい(笑)。イントロやサビのキレを活かすために、ちょっとダラダラしてると感じたセクションは全部切り落として。「キレ」を最大の個性にする曲に仕上げました。

──バッサリ切ろうという判断を下せるのも今だからこそでは?

菅原 それはあるかもしれない。今までだったら「いや、このまま活かそうよ」って言っていたかもしれない。

──1分40秒の中に9mmの王道的なサウンドが炸裂しているし。

菅原 そう。レコーディングしているときにバンドの魅力がとてもよく出ているなと思いました。バッサリ切ったセクションがあるのに、ちゃんとポップスのひな形にのっとった2コーラス構成になっているのも良いなと。

──そう、1分40秒で完結してるんだよね。

 そうなんです。2コーラスと間奏がちゃんとあるのがポイントですね。

──スリリングな間奏も凝縮されている。

菅原 ここも、かみじょうくんのドラムが超絶ですね。

かみじょう がんばりましたよ(笑)。

──ライブでやってみてどうですか?

 ライブでやるとそんなに短く感じないんですよ。

菅原 まだこの曲の全貌を知らない人が多いから、演奏終わりで俺たちが「どうだ!」って感じになっていても、「え? もう終わり?」みたいなリアクションもあるんですけど(笑)。すぐに次の曲に行っちゃうっていう。その感じが楽しいです。

CD収録曲
  1. Scream For The Future
  2. ハートに火をつけて
  3. R.I.N.O.
  4. ラストラウンド
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9mm Parabellum Bullet(きゅーみりぱらべらむばれっと)

プロフィール画像

2004年3月横浜にて結成。2枚のミニアルバムを残響レコードよりリリースした後、2007年10月10日に「Discommunication e.p.」で鮮烈なメジャーデビューを飾る。パンク、メタル、エモ、ハードコア、J-POPなどさまざまなジャンルを飲み込んだ音楽性と、激しいライブパフォーマンスで人気を博し、現在の音楽シーンを牽引するロックバンドの1組として支持されている。2009年9月9日には初の日本武道館公演「999(アット ブドウカン)」を開催し、1万1000人の観客を動員した。2011年6月には4thアルバム「Movement」を発表し、同月に横浜アリーナにてワンマンライブ「Movement YOKOHAMA」を開催。同公演の模様は、2012年4月に「actIV」としてDVDおよびBlu-rayでリリースされている。2012年6月にはMTVの人気企画「MTV Unplugged」に初出演。アコースティックによるステージの模様は、同年8月にDVD+CD作品として発表され話題を集めた。