a flood of circleデビュー15周年記念ライブ特集|佐々木亮介×山中さわお×菅原卓郎×飯田瑞規が大放談

8月12日に10年ぶり、2度目となる東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)公演を開催するa flood of circle。彼らは今、「a flood of circleデビュー15周年記念公演 “LIVE AT 日比谷野外大音楽堂”」と銘打たれたこのライブの成功を目指して全国ツアー「CANDLE SONGS -日比谷野外大音楽堂への道-」を各地で展開している。なお、このツアーの終盤3公演には、バンドと縁の深いthe pillows、9mm Parabellum Bullet、cinema staffが対バン相手として出演し、野音公演に向けて邁進するa flood of circleを盛り上げていく。

音楽ナタリーではツアーおよび野音公演の成功を後押しすべく、a flood of circle、the pillows、9mm Parabellum Bullet、cinema staffのフロントマン4人による座談会を企画。a flood of circleとの出会い、佐々木亮介(Vo, G)とのエピソードを自由に語ってもらった。

取材・文 / 森朋之撮影 / YOSHIHITO KOBA

ライブ情報

a flood of circle「CANDLE SONGS -日比谷野外大音楽堂への道-」

ワンマンライブ

  • 2024年4月12日(金)宮城県 仙台MACANA
  • 2024年4月14日(日)北海道 cube garden
  • 2024年4月18日(木)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
  • 2024年4月25日(木)京都県 磔磔
  • 2024年4月26日(金)広島県 SIX ONE Live STAR
  • 2024年5月10日(金)長野県 LIVE HOUSE J
  • 2024年5月11日(土)石川県 vanvanV4
  • 2024年5月23日(木)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2024年6月5日(水)香川県 DIME
  • 2024年6月7日(金)福岡県 LIVEHOUSE OP's
  • 2024年6月9日(日)大阪府 umeda TRAD
  • 2024年6月13日(木)東京都 LIQUIDROOM

対バンライブ

  • 2024年7月11日(木)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
    <出演者>
    a flood of circle / the pillows
  • 2024年7月18日(木)愛知県 THE BOTTOM LINE
    <出演者>
    a flood of circle / cinema staff
  • 2024年7月21日(日)神奈川県 Yokohama Bay Hall
    <出演者>
    a flood of circle / 9mm Parabellum Bullet

a flood of circleデビュー15周年記念公演 “LIVE AT 日比谷野外大音楽堂”

2024年8月12日(月・祝)東京都 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)


チケット完売につき、機材席・後方立ち見チケットの販売を調整中(7月2日現在)。
追加チケットの詳細は、a flood of circleホームページ・SNSで後日発表。

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山中さわお、a flood of circleに好感を抱く

山中さわお(the pillows) フラッドと出会ったのはちょうど10年前だったっけ?

佐々木亮介(a flood of circle) そうですね。ピロウズのトリビュートアルバム(「ROCK AND SYMPATHY」)に参加させてもらって。

山中 ピロウズが25周年のときに、2回目のトリビュートアルバムを出してもらえることになって。1作目(2004年リリースの「SYNCHRONIZED ROCKERS」)は旧知のバンドに頼んだんだけど、2作目は知ってる人もいれば、会ったこともない人たちも参加してるんだよね。俺、フラッドのことは当時知らなくて。

佐々木 若手のバンドがいっぱい参加してたんですよね。当時はWHITE ASHが同じ事務所だったんですけど、彼らはバンド名をピロウズの曲名から取っていて、彼らのほうが先にさわおさんと知り合っていて。俺もピロウズが大好きだったから、「うらやましいな」って言ってたら、「じゃあフラッドもトライしてみる?」という話になり。何曲か選んでカバーさせてもらって、そのうちの1曲(「Blues Drive Monster」)をトリビュートに入れてもらったんです。

左から佐々木亮介(a flood of circle)、山中さわお(the pillows)、菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)、飯田瑞規(cinema staff)。

左から佐々木亮介(a flood of circle)、山中さわお(the pillows)、菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)、飯田瑞規(cinema staff)。

山中 その流れで俺たち主催の対バンツアー(2014年開催の「the pillows 25th Anniversary NEVER ENDING STORY "ROCK AND SYMPATHY TOUR"」)に出てくれたんだよね。

佐々木 仙台Rensaですね。Scars Boroughも一緒でした。

山中 そうか。9mmもあのツアーに出てくれたよね?

菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet) Zepp Nagoyaですね。俺らも「インスタント ミュージック」でトリビュートアルバムに参加して。

山中 うん。亮介とはトリビュートアルバムきっかけで出会って、すぐ仲よくなった。

佐々木 受け入れてもらいました。

──フラッドのライブを初めて観たのも、2014年の対バンのときですか?

山中 たぶんそうかな。その頃に野音のライブDVD(「I'M FREE The Movie-形ないものを爆破する映像集- 2014.04.12 Live at 日比谷野外大音楽堂」)を送ってくれたんだよ。それを観て「好きな曲がいっぱいあるバンドだな」と認識して。

佐々木 その話は初めて聞きました。俺もピロウズは10代のときから聴いてて。さわおさんと共通の友達に田淵さん(UNISON SQUARE GARDENの田淵智也)がいるんですけど、自分たちの世代のロックバンド好き、ロックミュージック好きはみんなピロウズを聴いてたと思います。

左から佐々木亮介(a flood of circle)、山中さわお(the pillows)。

左から佐々木亮介(a flood of circle)、山中さわお(the pillows)。

しっかり仕事する佐々木亮介

──9mmとフラッドが出会ったのは?

菅原 2007年ですね。自分たちの対バンツアーだったんですけど、新宿LOFT公演にトップバッターとしてフラッドが出てくれて。ただ、そのあとはそんなに会ってないよね。どっから仲よくなったんだろ?

佐々木 自分の中では2015年にZepp DiverCityでツーマンをやったのが大きくて。俺らの主催だったんですけど、ちょうどメンバーが変わったりしていて、“勝負時のツーマン”みたいな感じだったので覚えてます。

菅原 そうか。最近だとウチのトリビュートにも参加してくれて(9mmのトリビュートアルバム「CHAOSMOLOGY」で「Black Market Blues」をカバー)。あとは「SHIKABANE」かな。THE BACK HORNの(山田)将司さん、Nothing's Carved In Stoneの(村松)拓ちゃん、俺と亮介の4人で弾き語りをするというユニットなんですけど。

佐々木 SHIKABANEで卓郎さんとの心の距離がグッと近くなったような気がします。

菅原 亮介はSHIKABANEの中でしっかり仕事をするんですよ。将司さんと拓ちゃんは冗談ばっかり言ってて楽しそうな中、亮介がグイグイと引っ張ってくれて。

佐々木 4人の中では一番年下なので、ちょっと「カマすぞ」という気持ちもあって(笑)。

菅原 亮介が音楽的に推進してくれて、俺がまとめるという感じなんだけど、すごく頼りになりますね。誰も頼んでないのにギターソロを弾き始めたり。

佐々木 SHIKABANEで出演した2017年の「MONSTER baSH」もよく覚えてますね。ライブも打ち上げも楽しくて。俺はどうしても人前でカッコつけちゃうんですけど、そのときはお互いの弱みもちょっとずつ見せられた気がしました。

菅原 そんな話をしたあとに拓ちゃんが「商店街で指輪を落とした」って言い出して、みんなで探しに行って。

佐々木 青春の思い出です(笑)。

──シネマとフラッドはほぼ同世代ですか?

佐々木 そうですね。関係はかなり古くて、最初に会ったのは俺が20歳のときだったんですよ。そのとき瑞規は19歳?

飯田瑞規(cinema staff) そうです。最初に対バンしたときは、お互いデビュー前で。名古屋のUPSETだったんですけど、やぶ屋(居酒屋)で打ち上げをしました。

佐々木 ハハハ。

左から佐々木亮介(a flood of circle)、飯田瑞規(cinema staff)。

左から佐々木亮介(a flood of circle)、飯田瑞規(cinema staff)。

飯田 亮介くんと初めて話をしたのもそのときですね。僕、岡庭(匡志 / G)さんや石井(康崇 / B)さんもそうなんですけど、フラッドの今までのメンバーには全員お会いしていて。石井さんがバンドを離れる直前の対バンが名古屋のCLUB ROCK'N'ROLLだったんですけど、アンコールで「石井さんに捧げます」と言って演奏しました。

佐々木 そのときはまだ脱退を発表してなかったから、「バレちゃう!」って(笑)。

菅原 エモ走ることってあるからね(笑)。

佐々木 9mmとシネマは世代はわりと近いんですけど、ずっと近くにいた感じはなくて。そもそもフラッドにはずっと並走していたバンドがいなくて、どこかのシーンの中にいる感覚もないんですよ。そんな中でも大事な出会いがいくつかあった。15周年のタイミングで尊敬しているバンド、好きなバンドに自分たちのツアーに出てほしかったし、この3バンドと一緒にやれるのはすごくうれしいですね。

亮介には品格がある

──山中さんが感じるフラッドのよさ、佐々木さんの魅力とは?

山中 いつも思うんだけど、亮介には品格があるんだよね。ロックンロールが好きで、ステージでめちゃくちゃ暴れてても、なんか下品じゃないし、優雅な感じがする。それはとっても大事じゃない? 卓郎くんもそうなんだよね。やってる音楽は無茶苦茶なんだけど、優雅さがあって(笑)。

飯田 ……実は俺もそうなんですよ(笑)。

佐々木菅原 ハハハハハ!

山中 ごめんごめん(笑)。品格って持って生まれたものなんだよね。にじみ出るものだし、作り込んでも表現できないことだから、それは素敵な武器だと思うよ。あとバンドに関しては、いい曲を書いて、いい歌詞を書いて、いい演奏するしかない。それを考えるとフラッドはいいバンドなんじゃない?

佐々木 うれしいです。自分のいいところや悪いところはよくわからないんだけど、さわおさんが言ってくれるんだったら、「俺はそういう人間なんだろうな」と思えるというか。それはたぶんピロウズから学んでることでもあるんですよね。自分のロックンロールをやるってことが大事で。言葉にするとチープだけど、その姿勢がカッコイイと思ってピロウズを聴いてきました。

菅原 いろんなバンドの曲を聴く中で、好きな歌詞や苦手な歌詞というのがあるんですけど、亮介が書く歌詞は「全部大丈夫」って思えるんですよ。どの歌詞を見ても「わかる。そうだよな」と。自分が同じような歌詞を書くわけじゃないんだけど、どういう狙いで、何を伝えようとして書いているのかがわかる。去年出たアルバム(「花降る空に不滅の歌を」)に入ってる佐々木亮介が丸出しの楽曲(「月夜の道を俺が行く」)もブレーキをかけないで作ったんだろうなと。単純に「いいバンドだな」とか「好きな曲がある」というのを超えて「俺がこんなに理解してるんだから、亮介は俺のこともわかってくれるはずだ」っていう思いもあるんですけど(笑)。

──普段から歌詞の話とかもするんですか?

佐々木 技術的な話とかはしないですけど(笑)、もちろん9mmの新作が出るたびに聴いていて。俺らにとって9mmは見上げる存在というか、目の上のタンコブ的な……。

飯田 ハハハ。

佐々木 先にデビューして、どんどん上に行って。もちろん好きなバンドなんだけど、微妙にジェラシーや憧れが混ざってるんですよね。「歌詞が好き」っていうのも生意気なのかなと思ったり。

菅原 全然だよ。

佐々木 バンドマンとしての戦い方というか、卓郎さんが背負ってきたものが歌詞に入っていると思っていて、そこにグッとくるんですよね。1つのストーリーとして描いている歌詞もあるんだけど、そこにも卓郎さんの背中に刻まれた傷跡が見える。それは共感というよりも「ヤバい!」という感じなんですけどね。

左から佐々木亮介(a flood of circle)、菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)。

左から佐々木亮介(a flood of circle)、菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)。

──そこには悔しさも混ざってるんですか?

佐々木 それもあります。ただ、先輩に対しても同じロックミュージック好きという気持ちがデカいんですよね。ジョン・レノンに対する気持ちと一緒なんですけど(笑)、ロックミュージックが好きってだけで友達みたいな感じがするんです。さわおさんもそうで、話すときは敬語だし、尊敬してるだけど“魂の友達”みたいな。

山中 俺、見た目は55歳だけど、心は14歳だから。すげえ後輩だよ。

菅原 (笑)。亮介のほうが精神年齢が高い可能性が。

佐々木 確かに14歳同士が集まってる瞬間がありますからね。

菅原 あるね(笑)。ピロウズもフラッドもシネマもそうなんですけど、ロック好き、音楽好きという感じでつながってる感覚がいまだにあるので。もう1つ思うのは、俺も亮介も「黙って俺について来い」というタイプじゃないんですよ。亮介がライブでワーッとやってる姿を見ると「黙って俺について来いって感じなのかな」と思う人もいるかもしれないけど、実はそうじゃなくて。どっちかと言うとメンバーに対して「ガヤガヤ言いながら、側にいろ」と思ってるんじゃないかな。

佐々木 そうかも(笑)。

菅原 もちろんファンの人たちには伝わってると思うんだけど。俺や亮介にとってバンドって、たぶん心をひとつにするためのものではないんですよ。ステージの袖で円陣組んだりすることもあるけど、大事なのはそこじゃなくて。音を一緒に鳴らした瞬間に、曲がバーッと立ち上がればいいんだよね。