15周年「WIRE」は「Olympic」でお・も・て・な・し

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9月14日に神奈川・横浜アリーナにて石野卓球がオーガナイザーを務めるテクノフェスティバル「WIRE13」が行われた。

石野卓球(Photo by 成瀬正規)

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ジョルジオ・モロダーとサポートDJのクリス・コックス。(Photo by 成瀬正規)

ジョルジオ・モロダーとサポートDJのクリス・コックス。(Photo by 成瀬正規)

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「WIRE13」会場の様子。(Photo by 成瀬正規)

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マティアス・アグアーヨ(Photo by 北岡一浩)

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田中フミヤ(Photo by 北岡一浩)

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今回は第1回開催の「WIRE99」から数えて15周年にあたるアニバーサリーパーティで、思い出深いアーティストを出演者にキャスティング。中でもメインフロアのライブパフォーマンス1番手を務めたマイク・ヴァン・ダイクは、「WIRE99」以来の登場。1曲目からMijk's Magic Marblebox名義で発表した「Gamer's Night」をプレイし、往年のテクノファンたちを狂喜させた。続いてメインフロアを盛り上げたのはKEN ISHII。彼自身の初期代表曲である「EXTRA」やYMO「テクノポリス」などでアニバーサリーパーティに華を添えた。

Westbamは「WIRE」の常連と言っても過言ではないDJだ。KEN ISHIIのクールなプレイから一転して、彼らしいハッピーな選曲でダンスフロアを狂乱へと導く。テクノにカテゴライズするには自由すぎるビートでパーティピープルの足をパンパンにすると、今夜のスペシャルゲストであるジョルジオ・モロダーがサポートDJのクリス・コックスとともにステージに現れる。

昨今のディスコミュージックリバイバルの影響から“ディスコの父”として再評価されている彼は、キレのあるシンセサウンドで「WIRE」の時計の針を1980年代前半まで一気に巻き戻す。「コンニチハ、コンニチハー。ジョルジオ・モロダーデース」とボコーダーを通したロボ声で挨拶すると、観客から一層大きな声援が上がり、ジョルジオ最初の大ヒット曲ドナ・サマー「Love to Love You Baby」でアリーナ全体を大きく横に揺らした。さらに「ネバーエンディング・ストーリーのテーマ」「ホット・スタッフ」では大合唱が、映画「フラッシュダンス」のテーマや映画「トップガン」主題歌であるBerlin「Take My Breath Away」ではハンドクラップが、それぞれ会場一体となって巻き起こった。クライマックスのドナ・サマー「I Feel Love」がフロアに鳴り響くと、VJのDEVICEGIRLSがロボットダンスをするドナ・サマーの映像を曲とシンクロさせるという「WIRE」ならではのユーモアある演出も飛び出した。そして自身の再評価機運を決定付けたDaft Punk「Giorgio by Moroder」をプレイしたあと、Blondie「Call Me」でバトンをイベントオーガナイザーへとつないだ。

石野卓球がDJブースに登場すると、この瞬間を待っていたダンサーたちがメインフロアになだれ込む。卓球はジョルジオが作り出した80'sテイストを引き継ぎ、黒いグルーヴのテクノからプレイをスタートさせる。コミカルなウワモノを使ったトリッキーな選曲で観客の度肝を抜いたかと思えば、美しいシンセが印象的なテックハウスで感動を誘うなど、あの手この手で客の足を止めさせない。そしてDEVICEGIRLSは歴代「WIRE」のロゴや“ふきの塔”なる謎の映像を使って、卓球のプレイに彩りを添えた。中盤で、いま話題の2020年東京オリンピックなぞらえ808 State「Olympic」から怒髪天「ニッポン・ワッショイ(Takkyu Ishino Remix)」をドロップすると会場は大爆発。さらにハウスクラシックスとしても知られるSteve "Silk" Hurley & The Voices Of Life「The Word Is Love (Say The Word) Feat. Sharon Pass」 のリミックスバージョンなどでピークタイムに向けてクラウドたちのテンションを上げていった。

そのピークタイムを今回任されたのは、Hellとレン・ファキというドイツ・ベルリンのトップDJ。拠点を同じくする両者だが2人のスタイルは好対照だった。卓球のあとに登場したHellはエレクトロ~ニューウエーブの影響を感じさせるロマンティックなテクノからスタートし、徐々にデトロイトテクノなどメロディックなサウンドにシフトしていった。一方のレン・ファキは“現代のパラダイス・ガラージ”との異名を欲しいままにしているベルリンの人気クラブ「ベルグハイン」でレジデントを務める実力派。彼は音数の少ないミニマルテクノを駆使して、徐々に現場を空気感を作っていく。短いフレーズやビートが繰り返すトラックをプレイすることで、ダンサーたちのテンションは少しずつ高められていった。そしてレン・ファキは終盤の10分間でアンセム曲を畳かけると、アリーナは再び大きな興奮に包まれる。レン・ファキのDJプレイは、日本では体験できない「ベルグハイン」の躍動感を感じさせるプレイ内容であった。

またセカンドフロアではハードテクノからブラジリアンハウスまで多種多様なサウンドとビートが展開された。RYUKYUDISKOが民謡的なテクノで盛り上げたら、A.Mochiが純テクノをプレイする。さらにSlamのハードテクノやマティアス・アグアーヨのワールドミュージックのようなテクノなど、メインフロアとはひと味違った世界中のエレクトロニックミュージックの最前線を楽しむことができた。

終盤はジョシュ・ウィンクやスヴェン・フェイトといったエレクトロニックシーンの重鎮たちがメインフロアに登場。セカンドフロアでは「WIRE」皆勤賞の田中フミヤがトリを務めた。スヴェン・フェイトはベルリンの野外ダンスフェスティバル「Love Parade」でのプレイでも知られる名DJで、今回は15周年の幕を下ろすのにふさわしいプレシャスな空間を作り出した。そしてラストには「THANK YOU! 15TH ANNIVERSARY」という映像が映し出され、記念すべきアニバーサリーパーティを終えた。

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