「“撮れるわけないじゃん”を撮っちゃってる」伊藤英明が“らしさ”全開の「トップガン マーヴェリック」に興奮 (2/2)

トム・クルーズは僕にとっての夢

──プロデューサーも兼ねるトム・クルーズは、撮影のためのトレーニングを自ら考案したそうです。

そこからもリアルへのこだわりが伝わってきますし、「ミッション:インポッシブル」シリーズなどで何度も過酷な撮影に挑んできているトム・クルーズだからこそ、どういう訓練が必要かを判断できる。例えば戦闘機に乗っているときのG(重力加速度)に対する筋肉の動きは演技で表現できないので、体験するしかないんですよね。役者は衣装やメイク、照明などたくさんの力を借りて撮影に臨みますが、説得力を出すうえで経験に勝るものはないと思います。トム・クルーズに憧れて俳優になった身としては、彼のもとで撮影に必要なことを体験できるのがうらやましいですし、今後そういう環境で仕事をしてみたいです。また1つ夢を抱かせてくれた映画でもありました。

「トップガン マーヴェリック」より、トム・クルーズ演じる“マーヴェリック”。

「トップガン マーヴェリック」より、トム・クルーズ演じる“マーヴェリック”。

「トップガン マーヴェリック」より、トム・クルーズ演じる“マーヴェリック”。

「トップガン マーヴェリック」より、トム・クルーズ演じる“マーヴェリック”。

──伊藤さんが主演した映画・ドラマ「海猿」シリーズの撮影は相当過酷なものだったとお聞きしました。そういった現場をいとわないのは、トム・クルーズのようにリアルを追求したいという考えがあるからですか?

それはずっとあります。「海猿」では潜水士の役だったのでスキューバを体験しましたし、キアヌ・リーヴスがFBI捜査官を演じた「ハートブルー」という映画の中にスカイダイビングのシーンがあるんですが、それを観てスカイダイビングのライセンスを取りました。役が決まっていなかったとしても、こういう役がやりたい、こういう映画に出たいという思いから、それに合った体験をしたり資格を取ったりすることがあります。

──なるほど。

大先輩の津川雅彦さんから教わったこととして、生きていればつらいことはあるけれど、その経験を演技に生かすことで誰かを救えることがあると。トム・クルーズもきっと自身のつらい経験をマーヴェリックに反映させていますし、映画作りに命を懸けているからこそあれだけ過酷な撮影にも挑むことができるんだと思います。来年は確か宇宙で撮影するんですよね?(笑) トム・クルーズは僕にとっての教科書、もっと言うと夢で、俳優として大事なことを改めて教えられた気がします。

「トップガン マーヴェリック」より、トム・クルーズ演じる“マーヴェリック”。

「トップガン マーヴェリック」より、トム・クルーズ演じる“マーヴェリック”。

トム・クルーズと共演するとしたら……

──伊藤さんの近作には、マイケル・マンらが監督を務めたドラマ「TOKYO VICE」があります。それを踏まえると、今後トム・クルーズと共演する可能性もあるのではないかと。

……「ミッション:インポッシブル」ですかね(笑)。

──やはり共演してみたいという思いはありますか?

そりゃあそうですよ。

──共演することになったらなんと伝えますか?

なんだろう……“お父さん”かな(笑)。

──トム・クルーズは撮影を乗り越えたチームを家族同然に考えるって言いますもんね(笑)。それでは最後に「トップガン マーヴェリック」の魅力を改めて教えてください。36年ぶりの新作ということで、前作になじみがない世代にも魅力を伝えるとしたら?

僕、テーマパークの乗り物が大好きで。ただ数時間並んでも5分くらいで終わっちゃうじゃないですか。もっと長時間アトラクションを楽しみたいという僕の願いを、この映画が叶えてくれました。体感型のアトラクションが好きな人は映画館のなるべく大きなスクリーンで観てみてください。僕はまたサンディエゴに行って、盛り上がりながら息子と観たいです。

プロフィール

伊藤英明(イトウヒデアキ)

1975年8月3日生まれ、岐阜県出身。1993年、第6回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで準グランプリを受賞する。2000年に「ブリスター!」で映画初主演。海上保安官の活躍を描いた「海猿」シリーズで劇場版・ドラマ版ともに主演を務め、劇場版第2作「LIMIT OF LOVE 海猿」は2006年の邦画実写作品で興行収入第1位を記録した。主な主演映画に「悪の教典」「テラフォーマーズ」「22年目の告白 ―私が殺人犯です―」「KAPPEI カッペイ」があり、マイケル・マンらが監督した2022年のドラマ「TOKYO VICE」にも出演している。