「“撮れるわけないじゃん”を撮っちゃってる」伊藤英明が“らしさ”全開の「トップガン マーヴェリック」に興奮

トム・クルーズの主演作「トップガン マーヴェリック」が全国で公開中。ナタリーではジャンルを横断した特集を展開しており、コミックナタリーの第1回では「映像研には手を出すな!」のマンガ家・大童澄瞳、音楽ナタリーの第2回ではロックバンド・THE ORAL CIGARETTESの山中拓也に映画の魅力を語ってもらった。

第3回となる映画ナタリーの特集には、初めて自分のお金で観た映画が「トップガン」だという伊藤英明が登場。続編を「すべてがパーフェクトでした」と語る伊藤に、グッと来た場面や戦闘機のシーンについて話を聞いた。またクルーズと共演する機会があったとして、伊藤が彼に伝える言葉とは?

取材・文 / 小澤康平 撮影 / 清水純一

小学生のときに観た思い出深い「トップガン」

──小学5年生のとき、初めて自分のお小遣いで観た映画が「トップガン」だと伺いました。観ようと思ったきっかけはなんだったんですか?

当時は「東映まんがまつり」しか行ったことがなく、洋画の実写映画を映画館で観たのは「トップガン」が初めてでした。父親が自衛隊員だったこともあって、かっこいい男たちが1つのミッションに立ち向かっていくような内容に惹かれたんだと思います。ものすごく思い出深い映画ですね。

──実際に観て、どういった部分に魅力を感じましたか?

反発し合いながらも、やがて友情が芽生えていって、困難を乗り越えていくところです。僕の父親はパイロットを目指していたんですが、その影響で僕も戦闘機やバイクが好きで。「Top Gun Anthem」やケニー・ロギンスの「Danger Zone」といった音楽もかっこよくて、観た瞬間からドハマリしました。それからはトム・クルーズが大好きになって、出演作のほとんどを映画館で観ていると思います。トム・クルーズって本当にオンリーワンの役者で、カリスマ性とスター性を持ち続けていますし、若々しくてエネルギッシュ。アクション俳優のイメージがあると思うんですが、実は人間ドラマを演じても素晴らしくて、キューバ・グッディング・Jr.と共演した1996年の「ザ・エージェント」も大好きです。

伊藤英明

伊藤英明

──先日アメリカに行った際、「トップガン」のロケ地であるサンディエゴを訪れたと聞きました。

行ってきました! ミッドウェイという空母があって、そこが博物館になっているんです。「トップガン マーヴェリック」の冒頭は今の映像技術で前作を再現したシーンになっていますが、まさにああいうフライトデッキを実際に見ることができますし、空母の上で写真撮影ができ、「トップガン」のグッズも売っているので、ファンとしてはたまらなかったです。

「撮れるわけないじゃん」というシーンを撮っちゃってる

──「トップガン」が上映されたのは1986年なので、公開年で言うと36年ぶりの新作となります。2017年に製作が発表されて、コロナ禍による公開延期を経ていよいよ封切られましたが、映画はいかがでしたか?

すべてがパーフェクトでした。映画がすごすぎて、何をどこから切り取って話せばいいのかちょっとわからない(笑)。前作を超えているのはもちろんなんですが、気になっていたことのすべてを回収してくれました。「トップガン」はすっきりと終わっていましたが、マーヴェリックたちがその後どんな人生を歩んでいるのかはずっと気になっていたんです。冒頭のシーンから鳥肌が立ちましたし、マーヴェリックの佇まいからは彼が歩んできた長い時間を感じ取ることができて、一気に引き込まれました。36年前のキャラクターを再び演じるってものすごくエネルギーが必要だと思うんですが、あれだけ色褪せることなくマーヴェリックになりきることができるって、トム・クルーズはやっぱりすげえなあと。

「トップガン マーヴェリック」より、トム・クルーズ演じる“マーヴェリック”。

「トップガン マーヴェリック」より、トム・クルーズ演じる“マーヴェリック”。

──ファンとしてグッと来たシーンはありましたか?

全部なんですが、一番はグースの息子ルースターとマーヴェリックの出会いですかね。マイルズ・テラー演じるルースターがグースにそっくりで、前作を観たことがある人はそのときの記憶がよみがえってくると思います。あとはバサッとシートを取るとカワサキのNinjaが出てくる場面も最高でした。おそらく「トップガン」ファンの中には、続編を観たくないと感じていた人もいると思うんです。続編の出来が1作目とかけ離れていてがっかり……というパターンは少なくないので。ただ今作はファンが喜ぶシーンをしっかり押さえているので、要素は多いのにまったく押し付けがましくない。映画の構造はいい意味で前作とあまり変わっておらず、マーヴェリックというとがった海軍のパイロットがいて、対立していた仲間たちとの間にやがて友情が芽生え、困難なミッションに立ち向かっていくという内容。“トップガンらしさ”が全開で、それを今の映像技術とリアルな演技で見せてくれました。

「トップガン マーヴェリック」より、マイルズ・テラー演じる“ルースター”。

「トップガン マーヴェリック」より、マイルズ・テラー演じる“ルースター”。

「トップガン マーヴェリック」

「トップガン マーヴェリック」

──海外の映画レビューサイト・ロッテントマトでは97%フレッシュという高評価となっており(※2022年6月2日時点)、ファンの期待を裏切らない続編であることがわかります。リアルという部分で言うと、戦闘機にIMAXカメラを6台乗せ、実際にキャストが搭乗して撮影を行っています。

あんな映像観たことないですよ。自分が戦闘機に乗っているかのような錯覚を起こして、一瞬も気が抜けなかった。戦闘機を操縦するゲームをやっていると、「この映像すごい臨場感だけど実写で撮影するのは無理だな」みたいに映画に置き換えて考えることがあるんですが、今作では「撮れるわけないじゃん」というシーンを撮っちゃってるんですよね。自分も含めてですが足に力が入っていて、戦闘シーンでは前の列に座っている方たちの座席が一斉にちょっと後ろに倒れるという(笑)。

「トップガン マーヴェリック」より、トム・クルーズ演じる“マーヴェリック”。

「トップガン マーヴェリック」より、トム・クルーズ演じる“マーヴェリック”。

──家で観ていたら味わえない体験ですね。

絶対大きなスクリーンで観たほうがいいです。僕もあと何回観るかな……リピートは間違いないですね。座席の場所によって感じ方が違うと思うので、いろんな位置から体験してみたいです。