6秒の映像を作るのに1日掛けるなんて…
──今回は深川さんに、本作の感想をイラストで表現していただきました。高校時代はデザインを専攻されていたということですが、キャラクターデザインという面から見たとき、ショーンが誰からも愛される理由はどんなところにあると思いますか?
おなかと頭がモコモコしているフォルムがかわいくて、表情豊かなところが愛される理由かなと思います。上下のまぶたのちょっとした動きによって、うれしい顔や悲しい顔にコロコロ変化するんですよね。笑うときに口が横に出るのもすごくチャーミングです。
──口が輪郭の外で動くのは大きな特徴ですよね。
面白いですよね。今回気になって、「ひつじのショーン」シリーズを作るのにどれくらい時間が掛かっているのか調べてみたんです。6秒の映像を撮影するのに1日掛かると知ってびっくりしました。さらに映画になったこの作品を作るのには、4年弱も掛かっているなんて! 私がこれまで出演させていただいた実写映画の撮影期間と比較して、6秒に1日掛ける……と考えるとちょっと想像がつかないです。少しずつ少しずつ動かしてキャラクターの滑らかな動作を作っているスタッフの方々は、本当にプロフェッショナルだと思います。イギリスのスタジオでは今この瞬間も次の作品が作られているのかなと思うとワクワクしてきますし、制作現場をのぞいてみたいです。
──深川さんのイラストには、オリジナルキャラクターの“もちうさ”が頻繁に登場しますよね。例えばもちうさでクレイアニメを作ってみるとしたら……(参照:深川麻衣 (@fukagawamai.official) | Instagram)。
機会があるならば作ってみたいです。実は最初に「ウォレスとグルミット」を観て、両親に「これは粘土でできているんだよ」と教えてもらったとき、自分でもやってみたいなと興味が湧いたんです。粘土で作ったことはないですが、簡単な絵をパソコンでつなげて動画を作ったことがあって。すごく興味があります。
CG技術が進化した今だからこそ観てほしい
──今回の映画は「ひつじのショーン」シリーズで初めてのSF作品でもありました。大人になった今だからこそわかるストーリーの面白さや、好きな描写があったら教えてください。
今の時代、CG技術で風景や動物の毛の1本まで細かく表現できますよね。でもそんな中、昔から同じやり方を引き継いで、人の手でいちから作っているという部分がすごく魅力的です。手作りの温かみと、SF作品としての近未来的な描写が合わさっているのがすごく面白くて。あとショーンたちキャラクターの表面に、人の指紋がついているのがわかる瞬間もあるんです。きれいに消すのではなく、あえてそういった部分を残しているから、この温かい雰囲気が出るのだろうなと思いました。
──では最後に、深川さんの同世代の方々にこの作品をお薦めするとしたら、どうアピールしますか?
「ひつじのショーン」シリーズのファンには、実は20代の方々も多いそうなんです。私のように、小さい頃から観ていた方がたくさんいらっしゃるのだと思います。これから先もCGなどの映像技術は進歩していくと思いますが、「ひつじのショーン」のような作品をブレずに作り続けるのはすごいことですし、作り手の方々の愛情を感じます。小さい子が観てももちろん楽しめる作品ですが、今だからこそ、この作品を幅広い層の方々に観てほしいです。
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アードマン・アニメーションズ スタジオレポート&作品解説