OASISはワクワクする究極のおもちゃ箱のようなもの
──森崎さんはこれまでに「闇金ウシジマくん」「シェリー」といった邦画に出演していますが、ハリウッド映画の撮影は日本映画と違いましたか?
森崎 何よりもびっくりしたことがあって、土日は絶対に休みなんです。朝は早いけど夕方5時前には撮影が終わりますし。日本で忙しいときって寝る時間も少なくなったりするじゃないですか。なのでこんなゆったりでいいのかなと、正直最初は思いましたね。
──なるほど(笑)。
森崎 スタッフさんたちの徹底ぶりを感じたのはバーミンガムにロケに行ったときで。封鎖された道路で撮影をしていた際、小さなゴミが落ちていたので拾ったんですね。そしたらスタッフさんから「それ小道具だから!」と言われて、「あ、ごめんなさい!」みたいな。本当に小さなゴミまでセットとして配置されていることに、これがハリウッドかと。
クライン スティーヴンは細部までこだわり抜いていましたね。小説でも細かい部分を書いていますが、視覚化される以上、映像ではすべてを描写しないといけないですから。
──映画化にあたって、アーネストさんからスピルバーグ監督に何かリクエストはしたんでしょうか。
クライン そんなことおこがましくてできないですよ。それってピカソに「この絵の具がいいんじゃない?」と薦めるようなものなので。OASISというなんでもありの仮想現実、究極のおもちゃ箱のようなものをスティーヴンに与えたらどうなるのかという思いで、とにかくワクワクしてました。
デ・ライン 「ジョーズ」「ジュラシック・パーク」「マイノリティ・リポート」などの監督作にも言えることですが、スティーヴンは常に原作を尊重します。OASISの見え方はアダム・ストックハウゼンと何カ月もかけて考え、緻密に作り上げていったんです。
現在続編の小説を執筆中、ドラえもんも登場!?
──劇中にはデロリアンやハローキティ、RX-78-2 ガンダム、テレビアニメ「カウボーイビバップ」のソードフィッシュIIなどが登場しますが、皆さんお気に入りのキャラクターはいますか?
森崎 僕はやっぱりガンダムですねえ。
クライン&デ・ライン 賛成!
森崎 すべてのキャラクターがそうなんですが、ガンダムは特に「アニメのキャラクターが現実に出てきた感覚」が強くて。
クライン それはこの映画の一番の見どころと言えると思います。今までアニメの中でしか観ることができなかったものを、まるで写真のように観ることができる。ガンダムはもちろん、アイアン・ジャイアントやマンガ「AKIRA」に登場する金田のバイクまで。原作が自分の小説というのも理由の1つですが、あまりにも圧倒されすぎて最初に観たときはいろいろなところを見逃してしまって。だから2回続けて観ました(笑)。
──森崎さん演じるダイトウの顔は三船敏郎がモチーフになっているとのことですが、それはどういった経緯で?
デ・ライン それはスティーヴンの功績ですね。彼は「1941」という約40年前の映画で三船さんと仕事をしていて、友人関係にあったんです。そのつながりがあったから三船さんの家族に許可をいただくことができた。
クライン 三船さんをモチーフにできるとわかったときは最高の気分でした。そしてそのダイトウが変身して……これ以上はネタバレになるから言えない(笑)。
──わかりました(笑)。ちなみに続編小説を執筆中とのことですが、新たに登場させたいキャラクターはお考えでしょうか。
クライン 好きなキャラクターは「レディ・プレイヤー1」の原作小説ですべて出し切ってしまったんです。なので今は思い浮かばないけど……ウィン、何かアイデアない?
森崎 ええ、なんだろ……ドラえもんとか……?
デ・ライン ははははは! いいね!
クライン なんでもできるVR世界OASISに、なんでも取り出せるポケットを持ったキャラクター。最高だね! 採用!
冒険と感動!最先端の映像で描かれる、世代を超えたポジティブ映画
──先日「レディ・プレイヤー1」のUS版ポスターが公開されましたが、80年代の映画を意識したものになっているなと。
クライン そうですね。「レディ・プレイヤー1」に80年代から90年初頭の映画で感じられるような、冒険的楽しさが含まれているのは間違いありません。なぜならスティーヴンが私に「この映画は80年代のスピリットで作った」と言っていたので。
デ・ライン 若いヒーローたちが力を合わせて悪と戦う。それはつまり成長の物語でもあるんですよね。お金も何も持っていない主人公が自分で人生をコントロールし始めて、ヒーローになっていく。世の中にはたくさん不公平なことがあるけれど、自分のしたことに責任を取り信じるものに向かって突き進んでいけば報われるという、非常にポジティブなメッセージが込められている。
クライン それこそ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズや「グーニーズ」と同じように楽しむことができると感じます。
──森崎さんはどうお考えですか?
森崎 僕は1990年生まれなので1980年代の映画をリアルタイムで観ていたわけではないです。でも劇中に登場するさまざまなキャラクターを見れば、これまでに積み上げられてきたカルチャーの歴史を感じることができるというか。当時「ガンダム」シリーズなどのアニメを観ていた人は懐かしむのもよし、それを知らない人たちは最先端の映像クオリティで描かれるキャラクターたちに感動するのもよし。2世代で楽しめる映画だと思いますね。
- 「レディ・プレイヤー1」
- 2018年4月20日(金)全国公開
- ストーリー
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そう遠くない未来。環境汚染やエネルギー危機により人類はスラム街での暮らしを余儀なくされ、人々の唯一の希望は超リアルな理想郷・VRワールド[OASIS(オアシス)]だった。ある日OASISの創設者から、全世界に向けてメッセージが発信される。この広大な世界に隠されたイースターエッグを最初に見つけた者はOASISを継承できるというのだ。今、全人類による史上最大の宝探しアドベンチャーの幕が開ける!
- スタッフ / キャスト
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- 監督:スティーヴン・スピルバーグ
- 原作:アーネスト・クライン「ゲームウォーズ」(SB文庫)
- 脚本:ザック・ペン、アーネスト・クライン
- 美術:アダム・ストックハウゼン
- 音楽:アラン・シルヴェストリ
- 出演:タイ・シェリダン、オリヴィア・クック、マーク・ライランス、サイモン・ペッグ、T.J.ミラー、ベン・メンデルソーン、森崎ウィン
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- 森崎ウィン(モリサキウィン)
- 1990年8月20日生まれ。「天国からのエール」「闇金ウシジマくん」などの作品に参加し、尾崎豊にオマージュを捧げた映画「シェリー」で初主演を果たした。監督のスティーヴン・スピルバーグ自らが審査員を務めたオーディションで勝ち抜き、「レディ・プレイヤー1」でハリウッドデビュー。2018年5月には大野いととの共演作「クジラの島の忘れもの」の公開を控える。また音楽ユニットPrizmaXのメンバーとしても活動中だ。
- アーネスト・クライン
- 1972年3月29日生まれ。小説家。2011年にアメリカで発表されたデビュー作「Ready Player One」がベストセラーとなり、その後「ゲームウォーズ」のタイトルで日本でも出版される。映画「レディ・プレイヤー1」ではザック・ペンとともに脚本を担当。スター・ウォーズのファンを主軸にしたコメディ「ファンボーイズ」や、ドラマ「Red vs. Blue(原題)」といった作品にも携わってきた。
- ドナルド・デ・ライン
- マーク・ウォールバーグやシャーリーズ・セロンが出演した「ミニミニ大作戦」、リドリー・スコットの監督作「ワールド・オブ・ライズ」などにプロデューサーとして参加。ザック・スナイダーが手がけたファンタジーアニメ「ガフールの伝説」では製作総指揮を執った。
2018年4月6日更新