映画「レディ・プレイヤー1」 PR

樋口真嗣が語る「レディ・プレイヤー1」|俺たちのスピルバーグが帰って来た!難解さゼロの体感型アドベンチャー

スティーヴン・スピルバーグの監督最新作「レディ・プレイヤー1」が4月20日に全国で公開される。本作は誰でもなりたいものになれる場所「オアシス」(VRワールド)を舞台に、仕掛けられた3つの謎と56兆円の財産を巡り、世界中の人間が参加する壮大な争奪戦を圧倒的な映像で描いたアドベンチャーだ。全米ではすでに公開されており、過去10年のスピルバーグ監督作史上No.1のオープニング記録で初登場1位を獲得。世界各国でも大ヒットを記録し、熱狂の渦を巻き起こしている。

映画ナタリーでは、全3回にわたる特集を展開。ラストとなる今回は「シン・ゴジラ」で監督を務めた樋口真嗣に「レディ・プレイヤー1」を鑑賞してもらった。「ジョーズ」「未知との遭遇」といった初期スピルバーグ監督作のファンであり、本作を観た感想を「俺たちのスピルバーグが帰って来た!」と語る樋口。お気に入りのシーンやキャラクターとあわせて、その真意について話を聞いた。

取材・文 / 小澤康平 撮影 / ツダ商会

まさに体感型の映画!動体視力が付いていかないほど

──VR世界にのめり込む主人公たちの感覚を疑似体験できるという意味で、本作は体感型映画と言えると思うのですが、いかがでしたか?

樋口真嗣

うん、まさに体感型。これって3Dとかでやるんですか?

──3Dもやりますし、4Dでも上映されます。

間違いなく4D向きだよなー。

──これまでもアルフォンソ・キュアロンの「ゼロ・グラビティ」やクリストファー・ノーランの「ダンケルク」といった体感型の映画はありましたが、それらと比べてみていかがでしょう?

でも、その2本って実は観客に体感させるというアプローチでなくても成立はするじゃないですか。宇宙ものや戦争ものの映画がすべて体感型である必要はないですよね? でも「レディ・プレイヤー1」は主人公たちが仮想現実に入り込んでいるわけだから、そうじゃないと成立しない。だから一言“体感”と言っても、表現の方向性が違うと思うんです。

──体感は前提ってことですね。VR世界にいる感覚をもっとも味わったシーンはどこですか?

やっぱりまずは前半のレースシーンじゃないですかね。「おお、『AKIRA』に出てくる金田のバイクだ!」みたいな。ほかにもキャラクターがたくさん出ているから、それを見逃さないように集中して観てしまったせいで、動体視力が付いていかなくて、ちょっとした老いを感じることにもなったけど(笑)。

──ちなみにお気に入りのキャラクターは?

戦っているガンダムがよかったです。明らかにスピルバーグがここを見せたいんだなっていうのがわかる場面なんだけど、どう考えてもスピルバーグがガンダムを観てるはずがない。なのにけっこうガンダムらしくて。「スーパーロボット大戦」っぽいけど(笑)。で、ガンダムの対戦相手は……うん、それは俺の口からは言えない(笑)。

──樋口さんから見てもディテールは気にならなかったでしょうか。

そりゃあビームサーベルの持ち方が逆手とか細かい部分はありますよ。でもあのシチュエーションでガンダムが出てるんだから全部許す!(笑) しかも雑魚じゃない、ちゃんといい役いただいてますよスピルバーグ先生から。うちのガンダムが先生の指導のもと、立派にならはって(笑)。

意外さがうれしい。いずれアトラクションになりそうな作品

──スピルバーグの監督作という視点からはどう思いました?

いやあ……スピルバーグってもう71歳なのに。若い!

「レディ・プレイヤー1」メイキング写真

──若いと言いますと?

この手のアドベンチャー作品って本当はもっと若い監督が作るもの。一時期はスピルバーグも製作に回って若い監督に撮らせてたのに、なんて大人げない! 俺が子供の頃から映画を撮っている人が、こういう映画をまだ撮っていることがすごいな、素晴らしいなと。

──なるほど。スピルバーグは「シンドラーのリスト」「ブリッジ・オブ・スパイ」などのシリアスな作品を撮っていますが、「ジュラシック・パーク」「インディ・ジョーンズ」シリーズといった冒険要素の強い映画も手がけてます。

うん、それで言うと「レディ・プレイヤー1」は完全に後者。難しく考えなくても理解できるし、いずれアトラクションになりそうなところも。

──これまでのスピルバーグ作品は一通りご覧になってますか?

まあスピルバーグの映画と一緒に育ってきた年代なので。「ジョーズ」「未知との遭遇」など初期の作品から好きですね。

「レディ・プレイヤー1」

──これまでのスピルバーグ作品と比べて、進化を感じた部分はありました?

2011年の「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」は、スピルバーグがフルCGの映画を作ったらどうなるのかなと思って興味深く観てたんですよ。そのとき通常の撮影だと絶対に不可能な演出を率先してやりまくって、今作もその延長線上にある気がします。つまりカメラで被写体を撮るという行為では実現できないことをやっている。例えば、あるカメラワークにおけるキャラクターの動きに注目してみればわかるんじゃないかな。

──そういった試みがある一方で、ストーリーは主人公たちが悪に立ち向かっていく王道の展開になっています。

共感しやすいシンプルなストーリーも含めて、スピルバーグがまだこういう映画を撮りたいと思ってたことが意外でした。そしてそれがうれしいですね。

「レディ・プレイヤー1」
2018年4月20日(金)全国公開
「レディ・プレイヤー1」
ストーリー

今から27年後。人類はゴーグル1つですべての夢が実現するVRワールド「オアシス」に生きていた。そこは、なりたいものになれる場所。ある日オアシスの天才創設者から、全世界に向けて遺言が発表される。オアシスに眠る3つの謎を解いたものは、56兆円とオアシスを継承できるというのだ。今、全世界を巻き込んだ史上最大の争奪戦の幕が開ける!

スタッフ / キャスト
  • 監督:スティーヴン・スピルバーグ
  • 原作:アーネスト・クライン「ゲームウォーズ」(SB文庫)
  • 脚本:ザック・ペン、アーネスト・クライン
  • 美術:アダム・ストックハウゼン
  • 音楽:アラン・シルヴェストリ
  • 出演:タイ・シェリダン、オリヴィア・クック、マーク・ライランス、サイモン・ペッグ、T.J.ミラー、ベン・メンデルソーン、森崎ウィン
樋口真嗣(ヒグチシンジ)
1965年9月22日生まれ、東京都出身。1984年「ゴジラ」に造形助手として参加し、映画界入り。「ガメラ 大怪獣空中決戦」「ガメラ2 レギオン襲来」「ガメラ3 邪神<イリス>覚醒」などで特撮監督を担当したあと、「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」2部作や「シン・ゴジラ」といった作品で監督を務めた。また、岡田麿里とタッグを組んだオリジナルアニメ「ひそねとまそたん」が4月12日よりTOKYO MX、BSフジほかにて放送される。