上川隆也 インタビュー
クリエイターの方が作られた世界をできる限り享受したい
──今回「人喰いの大鷲トリコ」をプレイしていただいたのですが、すごく慣れているなと。すでにクリアされてるんですよね。
はい。1周は終了しています。
──1周は(笑)。ゲームは何周もプレイするほうですか?
ものによりますが、「トリコ」の場合はクリア後にコスチュームチェンジができるようになるそうなんです。ある条件に応じてコスチュームなどが手に入るという特典があると。まだ見られていませんし、作品の魅力を楽しむにも1周ではとても物足りないので。これからもまだまだこの世界に浸っていたいですし、楽しみたいと思っています。
──ただストーリーをクリアするだけではなくて、やり込むってことですね。
やり込むとはちょっと違って、世界観をできるだけ味わいたいという感じでしょうか。例えば柱1本1本の彫刻にも目がいってしまうんですよ。その表現には多大な労力がかかっただろうと想像すると、あっさり通過してしまうのが惜しくなる。先ほどのプレイではそういった部分を端折って進みましたけど、実際はなるべく隅々まで歩き回ります。どこにどんなものが設えられていて、それがどのように造形されているのかを見るのが楽しい。余すところなくとは言いませんが、クリエイターの方が作られた世界をできる限り享受したいと思ってます。だから少々時間はかかります(笑)。
──PS4®はグラフィックがすごくきれいなので、そういう意味で楽しめる要素も増えたんじゃないですか?
だからこそ見入ってしまう部分がとても多い。うちには愛犬がいるんですが、トリコの一挙手一投足を見ていても、「動物って確かにこう動くよな」って納得させられるんです。羽毛の1本1本が動く描写なども、本当にたまらないです。ゲームの変遷を黎明期から見てきただけに、隔世の感があると言いますか、新しいゲームが出るたびにそういう感慨を覚えます。クリエイターの方たちに対して「ありがとうございます」という気持ちでいっぱいです(笑)。
やるべきことをやらないと、ちゃんと走ってくれない車がそこにある
──PS4®で最初にプレイしたソフトって覚えてますか?
最初はなんだろう……難しいですね。うちにはPS3®とPS4®が並列していつでも起動できるように置いてあるので、そのへんの境が曖昧なんです。ここ半年間では「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」をやりました。「アンチャーテッド」も本当に映像がきれいで、まさに「PLAYする映画」(「アンチャーテッド」シリーズのキャッチコピー)というのがぴったり。「ライズ オブ ザ トゥームレイダー」もその後に遊びましたが、ストーリー運びも含めて没入感が半端じゃなかった。この2つの作品ってコンセプトは似ているんですけど、見せ方は全然違うので楽しみ方もそれぞれで味わい深い。
──見せ方の違いと言いますと。
「アンチャーテッド」は現場にあるものを武器として活用していく一方、「トゥームレイダー」はもともと持っている武器をバージョンアップさせていくんです。サバイバルに対する考え方が異なっているというか。そしてどちらの主人公を見ていても、それが適切なサバイブの仕方だと思わせてくれるんですよね。キャラクターの成り立ちがしっかりと表現できているからだと思います。
──なるほど。
あと「メタルギア5(METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN)」はいろいろな形で攻略を楽しみました。あれはプレイヤーが成長するゲームだと感じます。フリーな戦況が用意されていて「あなたはどう攻めますか」って。王道の進み方はもちろんあるでしょうが、スキルが上がって敵の行動予測やアイテムの使い方の練度を上げていけば別ルートも見えてきますし、本当によくできてると思いました。
──そういった分析からもゲーム好きなことが伝わってきます。
いや、振っていただいたから今考えただけで、本来何も考えていません(笑)。例えば「塊魂」みたいなソフトも大好きで、なんにも考えずにオブジェクトをくっつけて遊ぶシステムには中毒性すら感じます。たぶん気分に合わせて無意識にそのときプレイするゲームを選んでるんです。車が好きなので「グランツーリスモ」シリーズもやります。錯覚なんでしょうけど、遊んだあとは運転がうまくなったような気がして「ちゃんとブレーキングできてるか」などと考えてる自分がいたりする(笑)。実に繊細に作られているから、ちょっとしたタイミングや舵角の違いでコースを外れるしタイムにも響く。やるべきことをやらないと、ちゃんと走ってくれない車がそこにあるんです。そんなリアルな部分にいつも感動させられます。
──幅広くゲームをプレイされているようですが、好きなジャンルはありますか?
このジャンルが好きというのはあまり考えないです。ただ、反射神経が要求されるようなゲームだけはどうしても続かないんですよ。傾向としてはじっくり腰を据えて画面と相対して臨むような作品が多いです。
次のページ » 命を懸ける思いで復活の呪文を書き写してた