「アウトレイジ」は何かに例えられない究極の形
──「アウトレイジ 最終章」の登場人物たちの関係を例えるとしたらなんと言いますか?
みんなが勝手にめちゃくちゃやる、アウト・オブ・コントロールなものの代名詞、シンボルとして「アウトレイジ」ができあがっていると思うんです。だから何かを「アウトレイジ」に例えることはできるけど、「アウトレイジ」をほかのものに例えるというのはまったく思い浮かばない。「◯◯のアウトレイジ状態」とかは言えるけど、「アウトレイジの◯◯状態」は言えない。その意味でこのシリーズは究極の形をしている。
──「ENGEIグランドスラム」で「テラスハウス」を題材にしたネタを発表されていましたね。「アウトレイジ」はネタにしやすいですか?
「アウトレイジ」を題材に漫才を作ろうとしたらどんどん人が出てどんどん殺していかなきゃいけないから難しそう(笑)。
──それは作るのも見せるのも大変(笑)。
「ドリフ大爆笑」の「もしもシリーズ」のような枠組みでコントなどは作れそうですね。「もしもアウトレイジなファミレスがあったら」とか。変なタイミングで店員に怒られたり、温厚な店長さんかなと思って強気で行ったらすげえ怖いとか、作品のエッセンスを設定にちりばめて。
──確かに「アウトレイジ」で「もしもシリーズ」のようなことをやったら面白そうですね。
ヤクザものってお客さんの範囲が狭いのかなと思っていたけど「アウトレイジ」はみんな知っている。そして共通認識があるものはネタにしやすいんです。それがフリになっているので説明を省けるし、観客を裏切りやすい。そう考えると「アウトレイジ」はネタにしやすいのかもしれないですね。
たけしさんの漫才のエッセンスがいたるところにある
──北野監督は「アウトレイジ」のセリフの掛け合いが漫才の作り方と似ていると言っているんですが、それは感じますか?
確かにそうですね! 大友と市川の掛け合いとかは漫才としても楽しめる。たけしさんが漫才を隠しアイテムに入れてくれてると思って観るとまた楽しめそう。
──冒頭の海辺のシーンはまさにって感じですよね。
あと中田と花田の掛け合いも漫才って考えるのもありなんですかね? そうやって考えていいならボーナストラックではないけど、たけしさんの漫才のエッセンスがいたるところにある。しかもいろんな俳優さんとのコラボ漫才という豪華さ。大森さんや白竜さんといった人たちとの掛け合いがあっていろんなツービートが勝手に楽しめる。
──バラエティ番組で共演するときのたけしさんはどんな印象ですか?
ベタな表現ですけど本当にいるんだ!って思います。あとご本人が放送にならないとわかりながらしゃべってくれる話が死ぬほど面白いんですよ。めちゃくちゃ面白くてその話で笑っていたら収録が終わってたこともありました。
──放送に乗らない話聞いてみたいです。
ツービートが本当に大好きなので、たけしさんの漫談を目の前で楽しめるというだけで幸せです。今でもツービートの漫才を動画などでよく観るんですけど、本当に面白いんですよね。
──テレビで頂点を取った方が映画でも世界的に評価を受けていることをどう感じていますか?
格の違いを感じるしかないですね。これが天才という存在で、自分が一生手の届かないものなんだなあと。一度でいいからこの天才に認められたいという憧れの対象で、勝ちたいというより「あんちゃん面白いね」って一言言ってもらいたい。これは僕のというより芸人全員の夢。たけしさんはそういうふうに思わせるすごい方です。
──たけしさんの存在の大きさがよくわかりました。
「あんちゃんたち面白いね」と言われただけで、例えば引退しようとしたときとかにものすごいブレーキになると思う。華大(華丸大吉)さんが褒められているのとか、本当にめちゃくちゃうらやましいです。
──たけしさんと彼が演じる大友に類似性を感じますか?
仲間思いというか自分の子分たちを守っていく感じはまさにたけしさんなんじゃないですか。張会長(金田時男)といった上の人に対する義理立てもカッコいいし、たけしさんらしいと思います。
目つき悪いと言われる人に観てほしい
──「アウトレイジ 最終章」をどんな人に観てもらいたいですか。
「僕、目つきが悪いとか言われるんですー」とか言っているような人ですね。大画面でこの作品観たら自分の目つきなんてつぶらな瞳に感じると思うので(笑)。どのアップも怖かった。
──(笑)。
「これは男の人が観るヤクザ映画」と割り切らずに観に行くと、すげーカッコいい男の姿が観れて、かつ面白い。「キャー」って言える人は出ていないと思うんですけど、「キャー」を卒業して本当の男の渋みとかカッコよさを知りたいと思っている女子は観に行ってみるといいんじゃないかな。あとはやっぱりストレス抱えている人はスッキリできます。
──「アウトレイジ 最終章」を観てもらいたい芸人仲間は誰かいますか。
「キングオブコント2017」で殺したいやつがたくさんできたGAG少年楽団とかかな(笑)。にゃんこスターを誰かに当てはめて観たらいいかと。まあ芸人は言われずともみんな観に行くと思いますけど。
──では最後に「アウトレイジ 最終章」をこれから観る人に一言お願いします。
瞬きしてるとすごいタイミングでまさかの人の死がやってきます。集中して「アウトレイジ 最終章」の世界に溶け込んでください! そうすれば最高のアトラクションに乗ったような、高揚感を味わえると思います。四の五の言いましたが、面白いです! 映画館でお楽しみください。
- 「アウトレイジ 最終章」
- 2017年10月7日(土)全国ロードショー
- ストーリー
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元はヤクザの組長だった大友は、日本東西の二大勢力であった山王会と花菱会の巨大抗争のあと韓国に渡り、歓楽街を裏で仕切っていた。日本と韓国を股にかけるフィクサー張のもとで働き、部下の市川らとともに海辺で釣りをするなど、のんびりとした時を過ごしている大友。そんなある日、取引のため韓国に滞在していた花菱会の幹部・花田から、買った女が気に入らないとクレームが舞い込む。女を殴ったことで逆に大友から脅され大金を請求された花田は、事態を軽く見て側近たちに後始末を任せて帰国する。しかし花田の部下は金を払わず、大友が身を寄せる張会長のところの若い衆を殺害。激怒した大友は日本に戻ろうとするが、張の制止もあり、どうするか悩んでいた。一方、日本では過去の抗争で山王会を実質配下に収めた花菱会の中で権力闘争が密かに進行。前会長の娘婿で元証券マンの新会長・野村と、古参の幹部で若頭の西野が敵意を向け合い、それぞれに策略を巡らせていた。西野は張グループを敵に回した花田を利用し、覇権争いは張の襲撃にまで発展していく。危険が及ぶ張の身を案じた大友は、張への恩義に報いるため、そして山王会と花菱会の抗争の余波で殺された弟分・木村の仇を取るため日本に戻ることを決めるが……。
- スタッフ
監督・脚本・編集:北野武
音楽:鈴木慶一- キャスト
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大友:ビートたけし
西野:西田敏行
市川:大森南朋
花田:ピエール瀧
繁田:松重豊
野村:大杉漣
中田:塩見三省
李:白竜 -
白山:名高達男
五味:光石研
丸山:原田泰造
吉岡:池内博之
崔:津田寛治
張:金田時男
平山:中村育二
森島:岸部一徳 ※「アウトレイジ 最終章」はR15+作品
©2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会
- 山里亮太(ヤマサトリョウタ)
- 1977年4月14日生まれ、千葉県出身。しずちゃんとのコンビ・南海キャンディーズでツッコミを担当。南海キャンディーズとして第25回ABCお笑い新人グランプリや第40回上方漫才大賞で優秀新人賞を獲得するなど高く評価されているほか、2004年、2005年に出演したオートバックスM-1グランプリで知名度を上げる。ソロ活動では「たまむすび」「山里亮太の不毛な議論」といったラジオ番組、「スッキリ!!」「ヒルナンデス!」「アウトデラックス」「東大王」といったテレビ番組にレビュラー出演中。また「手裏剣戦隊ニンニンジャーVSトッキュウジャー THE MOVIE 忍者・イン・ワンダーランド」に出演したほか、「映画プリキュアドリームスターズ!」「パワーレンジャー」では声優に挑戦している。