黄皓が語る「おとなの事情 スマホをのぞいたら」|スマホの着信音にハラハラ、秘密と愛が詰まったリアルなコメディ

東山紀之が主演を務めるコメディ「おとなの事情 スマホをのぞいたら」が、1月8日に全国公開される。

本作は2016年にイタリアでオリジナル版が製作され、中国、韓国、フランス、ドイツ、ロシアなど18カ国でリメイクが決定している「おとなの事情」の日本版。ある出来事をきっかけに親しくなった7人が、パーティで“お互いのスマホの中身をさらし合う”ゲームをする姿がユーモラスに描かれる。脚本は「ちゅらさん」「ひよっこ」などで知られる岡田惠和が手がけ、東山のほかには鈴木保奈美、常盤貴子、益岡徹、田口浩正、木南晴夏、淵上泰史がキャストに名を連ねた。

映画ナタリーではAmazon Prime Videoの婚活サバイバル番組「バチェロレッテ・ジャパン」シーズン1で大きな話題を呼んだ黄皓(こう・こう)に、本作をひと足早く鑑賞してもらった。16人の男性と1人の女性を奪い合った彼は、「おとなの事情 スマホをのぞいたら」で描かれる7人が起こす修羅場と、彼らのスマホの中の秘密をどう見た?

取材・文 / 秋葉萌実 撮影 / 曽我美芽

キャラクター紹介

東山紀之演じる小山三平。
小山三平(東山紀之)
48歳、元教員の塾講師。グループ内では唯一の独身。
鈴木保奈美演じる六甲絵里。
六甲絵里(鈴木保奈美)
50歳、精神科医。売れっ子でメディアにもたびたび出演している。
益岡徹演じる六甲隆。
六甲隆(益岡徹)
60歳、美容外科医。絵里との間に16歳の娘がいる。
常盤貴子演じる園山薫。
園山薫(常盤貴子)
45歳、主婦。パート勤務で家計を支える3児の母。
田口浩正演じる園山零士。
園山零士(田口浩正)
50歳、法律事務所で働くパラリーガル。妻の薫との仲は倦怠期に突入している。
木南晴夏演じる向井杏。
向井杏(木南晴夏)
29歳、動物病院勤務の獣医。2年前に幸治と結婚した。
淵上泰史演じる向井幸治。
向井幸治(淵上泰史)
35歳、カフェレストランの雇われ店長。

楽しみながらもハラハラ

──「おとなの事情 スマホをのぞいたら」のオリジナルは2016年製作のイタリア映画です。その後各国でリメイクされ、このたび新たに日本版が公開されることになりました。本国版はご存知でしたか?

知っていました! 本編を拝見したことはなかったのですが、予告編を観て「面白そうな映画があるな」と感じて。今回のお話をいただいて「1つの場に集まった男女の秘密が、スマホによって次から次へと暴かれていく」というあらすじを読んだときに、なんか知ってるな? あ、あれか!と思い出しました。

──そうなんですね。この作品のようなワンシチュエーションの会話劇ものを観ることはありますか。

会話劇ものはあまり観る機会がないですが、ハラハラできる映画は好きです。自分史上一番没入したのは「search/サーチ」という、父親が娘の行方を探す姿がすべてパソコンの画面上で描かれる映画。「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」「あと1センチの恋」みたいなラブコメディも観ますし、ジャンルで一番好きなのはアクションで「007」や「ミッション:インポッシブル」シリーズは公開されたらすぐ観に行きます。

──では今回の作品は、黄さんにとっては比較的なじみがないテイストなんですね。ご覧になった率直な感想から聞かせてください。

「おとなの事情 スマホをのぞいたら」

スマホには個人しか知り得ない情報が入っているし、本人にとってはなんてことないけれど人に見られたら誤解を招きそうな情報や表現がたくさん詰まっているツールですよね。そこから得られる情報で人間関係がどんどんギスギスしていく様子を想像していたんですが、思ったよりコメディ要素が強かった。登場人物それぞれのキャラクターも明確だったので、楽しみながらもハラハラしました。会話劇の面白さもあるし、ウィットに富んだBGMが流れたりすると「あ、ここは楽しんで観られる場面なんだな」と思えてとても観やすかったです。

──個性的な人物ぞろいで共感するのは難しいかもしれませんが、魅力的に感じられたキャラはいますか?

(淵上泰史扮する)向井幸治の「人生楽しんだ者勝ちじゃん」という楽天的な感じが個人的には共感できました。彼がこの中で一番ギスギス感を緩和させてくれる役割だったかなと思います。彼と田口浩正さん演じる園山零士さんがいてくれたことですごくポップに観られました。

──劇中には男性同士の友情が感じられるシーンもありましたね。

あの関係性は「バチェロレッテ・ジャパン」で言うと、僕と(當間)ローズだなと(笑)。お互いにかばえるところはかばうけど「ごめん、もうフォローできなくなっちゃった」となる感じがすごく想像できました。その後の展開も僕がローズをいじっているときの雰囲気に近いし、「僕もこういうことを言っちゃいそうだな」という気持ちになりました。

まずはどうにかしてゲームを回避

──映画の中盤にはちょっとした勘違いが生む修羅場がユーモラスに描かれます。

スマホを見せ合うことになった場面で、最後まで出したがらなかった零士さんの気持ちはよくわかります! かわいそう……と思わず同情しました。一番はじめにドキッとしたのは最初の着信音が鳴ったとき。登場人物がある疑惑をかけられるところも印象深いです。あの否定しても肯定しても地獄の状態は、観ていてすごく楽しかったです。

──もしご自身があの場にいたら、どう振る舞うと思いますか?

黄皓

僕が三平みたいな独身男性のポジションだったら恐れることはないんですよ。ただ、そこに自分の奥さんがいたらと思うと……まずはどうにかしてゲームを回避しますね。論破します! 「人にはそれぞれプライバシーがあるし、相手の何もかもを知ることが信頼関係ではないよ。そんなことやめよう」と謎の正論を振りかざしながら、スマホを出すのをなんとか拒もうとします。でもおそらく無理なので……。

──ちなみに黄さんのスマホには秘密がたくさん入っているのでしょうか。

週刊誌に見られたら終わりです。……というのは冗談です(笑)。文字面だけ見ると誤解をされるような言葉がたくさんあるし、コミュニケーションってすごく難しい。スマホでのやり取りはその最たる例ですよね。僕は普通に冗談を言うキャラクターなので、女友達への「昨日楽しかったね」というメッセージの最後にハートマークを付けることもありますが、その2人の関係性を知らない人が見ると「このハートは何?」と誤解を招くでしょうし。