気付いたら息をのんでいました（名塚）

──皆さん一緒に収録をされたそうですね。アフレコ時の思い出深いエピソードはありますか。

名塚　ルフィとシャンクスのシーンを後ろで見させていただいたのですが、お二人の勢いと強さ、かっこよさが本当にすごくて気付いたら息をのんでいました。あれを生で聴けたのはぜいたくな経験ですよね。劇場の大音量で聴くのが楽しみですし、皆様にも早く熱いお芝居を観ていただきたいです。

田中　監督に「自由にやっていいです」とアドバイスをもらえたことがうれしかったです。普通は絵に合わせて演じる必要があるけど、「あとから合わせます」と言っていただきました。

池田　お仕事をするのは初めてだったけど、とても素敵な監督でした。役者にとっては禁じ手なのですが、あるセリフを録って監督のOKが出たあと「採用されなくてもいいんですが、こういうやり方もあると思うので試しに聴いてもらえますか」ともう一度演じたことがありまして。大変失礼なことをしたので、ごめんなさいという気持ちになりました。今謝ってもしょうがないけれど（笑）。

田中　そういうことってありますよね。

池田　相手がいると迷惑が掛かるからやりませんが、1人のセリフだったのでお願いしました。監督は「撮り直したほうをいただきました」と言ってくれましたね。

──脚本を読んだときやアフレコ時に、感動した場面はありましたか？

田中　ウタが登場するシーンは、今までの「ONE PIECE」にはなかった要素がたくさん詰め込まれていたので感動しましたね。作家さんやいろんな方たちがあの手この手を使って総合芸術に仕上げてくださった感じがしたんです。

名塚　私は、ルフィが言ってくれるあるセリフに、ウタとして気持ちが揺さぶられました。あの場面のルフィの声を聴いたとき、脚本の印象とはまったく違う感覚がして。もしかしたら観てくださる皆さんにも何かが刺さるシーンになっているんじゃないかなと思います。

──劇中では、ルフィとウタの幼少期も描かれますね。

名塚　ルフィとの幼少期のエピソードはとてもかわいらしくて、演じていて楽しかったです（笑）。短い場面ですが、2人の間にあった“友情”がすごく伝わってきました。ずっと会ってなくても再会したときにあの瞬間をパッと思い出せるくらい濃厚な時間だったんだろうな。

田中　ルフィが幼い頃、一緒に遊んでいた女の子がいたっていうことにはびっくりした！ 本当に、ええ？って思いましたよ。

「ONE PIECE」は笑いと泣きのバランスがいい（田中）

──見どころが多い作品ですが、印象的なシーンがあれば教えてください。

名塚　ウタはやはり歌唱シーンですね。アニメーション作品では珍しいくらいの長さを歌っていて、パフォーマンス中にいろんな表情を見せてくれるので、ライブのような感覚で楽しんでいただけると思います。

池田　とてもいい作品だと思います。1回じゃよさが伝わりきらないんですよね。何回も観ればいろんなことがわかるんじゃないかな。

田中　ルフィの見せどころは、寝息を立てているシーンと、気持ち悪くてゲロゲロしている場面（笑）。「ONE PIECE」は笑いと泣きのバランスがいい作品なんですよね。

──最後に公開を楽しみにしているファンへそれぞれメッセージをお願いします。

名塚　「ONE PIECE」の新たなピースとして、このエピソードを皆さんに受け取ってもらえたらすごくうれしいです。シリーズならではの魅力もふんだんに盛り込まれているので、ずっと追いかけてくださった方はもちろん、今まで触れたことがなかった方にも楽しんでいただけるエピソードになっていると思います。ぜひ期待して待っていてください。

池田　ずっと劇場版を観てくださっている方たちには、もしかしたら今までとちょっと違う色合いの作品に映るかもしれません。「こういうのもあるんですけど、どうですか？」という気持ちですね。受け入れてくださったら幸せです。

田中　私もそうですが、シャンクスが出てくるだけでファンの皆さんに喜んでいただけると思います。ルフィとウタの関係性を通して、今までとは違う印象の物語が紡がれているのでぜひお楽しみください！