ディズニー&ピクサーの最新作「2分の1の魔法」が、8月21日に公開される。“魔法が消えかけた世界”を舞台にしたこの映画は、亡くなった父親に会いたいと願う少年イアンと、兄バーリーの冒険と絆を描く感動作。24時間だけよみがえらせることのできる魔法に失敗し“半分”の足だけの姿で復活させてしまった父親を、完全によみがえらせて思いを伝えるため、2人は冒険に繰り出すこととなる。
ナタリーでは、本作の公開を記念した特集を3ジャンルにわたって展開。映画ナタリーには、女優の平祐奈が登場する。同じく女優の平愛梨をはじめ、5人の兄姉と仲がいいことでも知られる彼女は、本作を観て家族の大切さを改めて感じられたと話す。インタビューでは、“ド天然”だという父親の爆笑エピソードも披露してくれた。
取材・文 / 浅見みなほ 撮影 / 佐藤早苗
口を閉じたままでは観られない映画でした!
──「2分の1の魔法」は、ディズニー&ピクサーの最新作です。まず、これまでに観たディズニーやピクサーの作品に関する思い出を教えていただけますか。
ちっちゃい頃から「トイ・ストーリー」が好きでした! 姉(平愛梨)が「20世紀少年」シリーズで唐沢寿明さんとご一緒してから、家族みんながケンヂおじちゃん(同作での唐沢の役名)を大好きになったんです。唐沢さんが日本語版のウッディ役ということで「トイ・ストーリー」を観てみたら「なんていいお話なんだ!」と感動しました。あとディズニー映画なら、「アナと雪の女王」が好きですね! お姉ちゃんがいる分、すごく感情移入できて。姉妹でカラオケに行ったら、いつも「アナ雪」の曲を歌います。
──性別は違いますが、この「2分の1の魔法」も兄弟の絆を描く物語です。先ほど鑑賞していただいたばかりですが、まず率直な感想としてはいかがでしょう?
口を閉じたままでは観られない映画だと思いました!(笑) 入り込みすぎてポカーンとした表情で観てしまうところもありましたし、クスっと笑えるところもあれば、感動するシーンもたくさんあって……1本でいろいろな感情が芽生える映画だなと思いました。
──末っ子の平さんは、弟イアンの目線でご覧になったのでしょうか。
はい! 私は兄が4人、姉が1人いるので、イアンを自分に置き換えて観ましたね。お兄さんのバーリーは、私の一番上のお兄ちゃんに見えてきました(笑)。
──バーリーは魔法オタクの青年で、生まれる前に亡くなった父親に会いたいと願うイアンに協力してくれる好奇心旺盛な性格でした。
いつでも協力してくれるところが兄と重なりました。私が16歳の頃、アメリカに住んでいた兄のところへ、夏休みに1カ月短期留学に行ったんですよ。そのときは兄が毎回送り迎えしてくれて、勉強も熱心に教えてくれて……。兄とは約20歳離れているし、兄の娘が私の1つ歳下なんです。だから若いお父さんみたいな感覚もあります。
──平さんはお兄さん、お姉さんとすごく仲良しですよね。
兄たちはみんな、それぞれ穏やかさの度合いが違います。一番上の兄は、私が一番甘えられる存在で、上から目線のことも言えちゃう(笑)。3番目のお兄ちゃん(政治家の平慶翔)は、ものをハッキリ言うので、いっぱい泣かされた思い出もありますね(笑)。昔から「ゆうちゃん、本を読みなさい。読んだら感想文を書きなさい」と言われていました。姉は、唯一の姉妹なのでなんでも話せる相手です。母とはまた違ったアドバイスをくれるし、本当にポジティブで、器が大きい人だなって思います。兄姉とは歳が離れているので、私はすごく甘やかしてもらいました。困ったときには絶対に誰かが隣にいてくれたんです。恥ずかしいから直接は言えないけど、この映画を観て「私も、気付かないところでいつも支えてもらっていたんだな」と思えました。
ちょっとしたシーンでも涙腺がやられちゃいました
──本作は16歳の誕生日を迎えたイアンが悩みを抱えているところから物語が展開していきますが、平さんが16歳の頃はどんな悩みがありましたか?
私は中学校2年生、3年生の頃におはガールちゅ!ちゅ!ちゅ!としてアイドル活動をさせてもらって、歌って踊る楽しさを知りました。ダンスも歌もお芝居も、全部やりたい!と思っていたんですが、高校生になった頃に、女優という夢を追っていきたいと決断したのを覚えています。おはガールを卒業したらもう自分はアイドルじゃない。女優という仕事なら歌ったり踊ったりする機会も持てるので、お芝居を通していろんなことにチャレンジしたいと思ったんです。
──実はおはガールのライブは客席から拝見していたのですが、その卒業ライブでも号泣されていたり、映画の舞台挨拶で高校卒業をお祝いされて感涙してしまったりと、平さんは涙もろい一面をお持ちなのかなと……。
えー! ありがとうございます! そうなんですよね、涙もろい(照笑)。よくご存知ですねえ!
──(笑)。映画を観て、一番泣けると思ったのはどんなシーンでしたか?
まず最初のほうの、イアンがカセットテープに録音されたお父さんの声に合わせて疑似会話をしているところでうるっと来ちゃいましたね。寂しいんだろうなあと思って感情移入しちゃいました。イアンの表情がすごく繊細に描かれていて、愛おしくなるんです。
──本当に冒頭部分ですね。あそこで泣いてしまうと、その後のもっと感動的な展開で耐えられなかったのでは……?
そうなんです(笑)。ちょっとしたシーンでも涙腺がやられちゃいました。冒険中にお巡りさんに質問されたとき、イアンがお兄ちゃんのことを「厄介」って言っちゃうシーンがありましたよね。そんなふうに言いたくないのに、誤解を招いちゃうところです。そこはお兄ちゃんの気持ちになって、切なくなりました。
──兄弟のすれ違いもリアルに描かれていますよね。
はい。でも、2人はすごくバランスのいい兄弟だと思いました。お兄ちゃんはポジティブで寛大なところがあって、気弱なイアンを助ける存在。でも後半はイアンがどんどん成長して強くなって、お兄ちゃんを助けてあげるんです。
──イアンは冒険の中で、これまで「できない」と思っていたことを克服していきました。
イアンは最初は気が弱い男の子で、「駄目、僕にはできない!」と言っていましたけど、橋のない崖の向こうへ行かないといけないとき、お兄ちゃんに「行ける!」と言ってもらえて、勇気を出しますよね。いつのまにか、イアンが成長してる!と思いました。魔法でかけた橋は透明で見えないけど、勇気を出して足を踏み出したらそこに橋があって、渡ることができる。そのゾクゾク感とワクワク感がすごかったですし、 自分だったらどうするかな?って考えたんです。突然魔法が使えるようになって、お兄ちゃんに「渡れるよ!」って言われたときに、それを信じられるのかなって。お兄ちゃんに応援してもらうことで、勇気を出せるというのも印象的でした。
──イアンはバーリーに応援してもらうことで勇気を出せるようになりますが、そんなイアンを観ることで観客も勇気をもらえますよね。
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「ちゃんと“お父さん”でいてくれるんだな」と気付けたんです