Netflixオリジナルシリーズ「13の理由」のシーズン1および2が、現在配信中。シーズン3の製作が決定している同シリーズは、ジェイ・アッシャーの同名小説を原作とするミステリードラマ。歌手で女優のセレーナ・ゴメスが原作と出会ってから6年以上の歳月をかけ、自らが製作総指揮の1人として映像化した。
女子高生のハンナ・ベイカーが自殺を選んだ“13の理由”が録音された7本のカセットテープが、同級生クレイ・ジェンセンのもとに届いたことから物語が展開していく本作。映画ナタリーではシーズン1を視聴済みの最上もがにインタビューを行い、印象的なエピソードについて学生時代の経験を交えながら語ってもらった。
取材・文 / 秋葉萌実 撮影 / 佐藤類
ヘコむけど観てよかった
──「13の理由」についてTwitterで言及されているのを拝見しました。最上さんはシーズン1を鑑賞済みとのことですが、そもそもこの作品を観ようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。
中学時代の同級生から薦められました。映画がすごく好きな子が、面白いものを「今はこれがオススメだよ」と教えてくれるので、薦められた作品を観ることが多いですね。
──ご覧になってみて、いかがでした?
けっこうヘコみました。物語に気持ちがかなり引っ張られて、途中から観れなくなった時期があって。でもシーズン2が配信されると聞いて、「1は全部観ておこう」と薦めてくれた同級生に言われたので「そうだね!」と残りのエピソードを観て。衝撃的なシーンが多かったので、その日は落ち込んでいましたね。
──一度中断したのはなぜでしょうか。
「13の理由」に描かれているような学生時代は、自分も人間関係がつらかったことが多かったので。確か7、8話あたりで、クレイが思い悩んで病んでいくのがつらくなって止めてしまいました。ただ最後まで観ると彼が前向きになっていくのがわかったので、観てよかったなと。
──冒頭に相談窓口に関するアナウンスがありますが、あれにはどういう印象を受けましたか?
あれって海外専用なんですかね?
──日本にもありますね。
相談が殺到しないかな? どこに相談したらいいのかわからなくて、自分で溜め込むか友達を相手に発散して喧嘩する人もいると思うので、本当に解決できる窓口であればぜひ利用してほしいなと思いました。
──作品の話に戻りますが、本作にはいわゆる“人気俳優”が出ていないですよね。スタッフのブライアン・ヨーキーは、キャスティングにあたっては“リアルさ”を追求したそうです。
確かハンナ役のキャサリン・ラングフォードはこれで本格デビューを果たしたんですよね。クレイ役の俳優さんはほかの作品でも見かけていて、味があるところが好きだなと思っていました。
──クレイを演じたディラン・ミネットは「ドント・ブリーズ」にも出演していました。劇中で特に気になったキャラクターはいましたか?
最初は(ブランドン・フリン演じる)ジャスティンがカッコいい!から入りました(笑)。でも話が進むに連れて、彼の本性が出てくるじゃないですか。そこからはちょっと微妙だなと、心変わりがありましたね。それで(ロス・バトラー扮する)ザックに気持ちが向くけど、ザックもやらかすので「はあ……ダメだな」みたいな。(マイルズ・ハイザー演じる)アレックスもすごく気になる存在だし、(クリスチャン・ナヴァッロ扮する)トニーはミステリアス。主人公のよき友だけど、隠し事がありそうな雰囲気に「あれっ?」となって。みんなタイプが全然違うので、面白かったですね。
学生時代にこんな子いた!
──舞台がアメリカの高校なので、日本人にとっては非現実的な世界に感じられる瞬間もあったかと思うのですが、劇中の描写で共感できた部分はありますか?
校舎や授業の雰囲気は日本と全然違いましたね。それに、日本ではパーティでお酒を飲まない! ぼくが通ってた学校ではそういうことが一切なくてみんないい子だったので、「あれ、高校生だよね? 普通にお酒飲むんだな」とびっくりしました。そもそも日本の高校生はあまりパーティをしないです(笑)。やったとしてもコンビニで買ったお菓子を持ち寄ってちまっとしたところで楽しむみたいな。でも、それぞれのキャラクターを見ていくと「学生時代にこんな子いた!」という感覚になりました。
──そうなんですね。
(ジャスティン・プレンティス扮する)スポーツ万能でリーダー格のブライスは、性格を知るとなんで人気があるの!?と思ってしまいますが、こういうタイプの子は実際にもいますよね。やっぱり学生時代って、男の子の中では「スポーツができるやつがえらい」というような格差ができるじゃないですか。それでちょっと意地悪でわがままな人のほうが、周りからは「あいつすごいじゃん」と見られがちだなって。あと、ちょっと地味めな……この作品だとタイラーみたいな子も、いる!って感じました。
──女性キャラクターに関してはどうでしたか?
ジェシカやハンナみたいな“2大人気のある女子”はよくいるタイプですね。途中でお互いが勘違いして、仲違いしちゃうのもわかる。人気者同士だと噂を流されやすいし、意地を張って喧嘩しちゃう。そういうのはだいたいチアリーダーっていう(笑)。
──(笑)。ハンナは劇中で「勇敢」「嘘つき」などいろいろな言われ方をしますよね。最上さんにとって彼女はどんな人物に映りましたか。
親友がハンナに「男を見る目がない」と言っていましたが、それはぼくもすごく感じました。ジャスティンにもひょいひょい会いに行っちゃうし……。若いなと(笑)。多分あまり深いことを考えていなくて、単に人を見る目があんまりないんだなとも思って。ああいうタイプの子って、真面目で一途なタイプの男の子には惹かれないんですよね。
──クレイのような男子ですよね。
そうです! ハンナはクレイを話しやすくていい友達って思ってるけど、クレイは異性として好きだったというのは、典型的な関係だと思って。ハンナは、悪い子ではないけど不器用なんですよね。
──もしハンナが同じ高校にいたら、親しくなれるタイプだと思いますか?
ぼくはたぶん仲良くなれると思います。でも、何かきっかけがないと難しそう。転校生だし、美人でおしゃれだから最初は話しかけるのに抵抗あるかな。しかも、最初のほうでジャスティンが撮った写真が晒されちゃうじゃないですか。それが自分に送られてきたら、やっぱり偏見を持って見てしまう可能性もありますし。でも話してみたらいい子だと気付くはずです。
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心の逃げ場所を作るのは大事
- 「13の理由」シーズン1、2
- Netflixで独占配信中(各13話)
- ストーリー
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リバティ高校に通う少女ハンナ・ベイカーが自ら命を絶った。ほどなくして、ハンナに恋心を抱いていた同級生クレイ・ジェンセンのもとに7本のカセットテープが届く。そこにはハンナ自身の声で彼女が死を選んだ“13の理由”が吹き込まれており、クレイはテープを通して彼女が生前に体験したさまざまな出来事を知っていく。そんな折、ハンナの両親は学校を相手に裁判を進めるように。するとクレイは、ハンナの死に関する真実を隠そうとする人物の気配を感じて……。
- スタッフ
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製作総指揮:セレーナ・ゴメス、マンディ・ディーフェイ
脚本:ブライアン・ヨーキー
原作:ジェイ・アッシャー「13の理由」(講談社)
- キャスト
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- クレイ:ディラン・ミネット
- ハンナ:キャサリン・ラングフォード
- ジェシカ:アリーシャ・ボー
- ジャスティン:ブランドン・フリン
- アレックス:マイルズ・ハイザー
- タイラー:デヴィン・ドルイド
- コートニー:ミシェル・セリーン・アン
- マーカス:スティーヴン・シルヴァー
- ザック:ロス・バトラー
- ライアン:トミー・ドルフマン
- ブライス:ジャスティン・プレンティス
- ポーター:デレク・ルーク
- トニー:クリスチャン・ナヴァッロ
- 関連番組
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「『13の理由』現代が抱える社会の闇を考える」Netflixで配信中
- 最上もが(モガミモガ)
- 2月25日生まれ、東京都出身。グラビア、ドラマ、映画などで活躍中。主な出演作にはドラマ「ウルトラマンギンガS」「重版出来!」、映画「闇金ウシジマくん Part3」「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」など。2月には2nd写真集「MOGAMI」も発売された。
- ヘアメイク / 澤西由美花(クララシステム)
スタイリスト / ヨシダミホ - ワンピース 2万520円 / manon(M・K SQUARE)
ネックレス 2740円、ピアス 2160円 / ROOM(サードオフィス)
サンダル 1万3500円 / ダイアナ 銀座本店
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