最上もがが語るNetflixオリジナルシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」|みんな集まれば最強!全世界大ヒットドラマの魅力は友情、努力、勝利

2016年のシーズン1配信以来、全世界で社会現象と呼べる大ヒットを巻き起こしているNetflixオリジナルシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」。1980年代の小さな町で起こる少年の失踪事件を巡り、友人や家族たちがさまざまな不可解な出来事に立ち向かうスペクタクルアドベンチャーだ。

2017年のシーズン2配信後には、「もっともツイートされたストリーミングドラマ」や「世界でもっともGoogle検索されたテレビ番組」に輝いた本作のシーズン3が、いよいよ7月4日に配信開始! 映画ナタリーでは、作品の大ファンという最上もがにインタビューを行い、シリーズの面白さ、そして物語の中心となる少年少女たちの魅力を熱く語ってもらった。

取材・文 / 清本千尋(インタビュー)、山里夏生(コラム) 撮影 / 後藤壮太郎

ぼくも近所の小さい山を探検していました

──最上もがさんは「ストレンジャー・シングス」の大ファンとのことですが、この作品を知ったきっかけを教えてください。

2年前くらいに映画好きの友達から「一緒に観よう」って誘ってもらって知ったんです。その子はドラマはあまり観るタイプじゃなかったんですが、ふとしたきっかけでNetflixで「ストレンジャー・シングス」を知ったみたいで。友達は怖いのが苦手なんですけど、ホラー好きのぼくとだったら一緒に観られるなと思ったようです。

最上もが

──2年前だとシーズン2の配信が始まった頃ですか?

ちょうどぼくがシーズン1を観始めた頃にシーズン2の配信が始まりました。

──友達に誘われて観始めた「ストレンジャー・シングス」ですが、もがさんにはどんなところが刺さりましたか?

観始めたら一気に観てしまって、何に惹かれたかと一言で表すのは難しいんですよね……。最初の印象は出演している子供たちに癒やされる作品だなって。「ストレンジャー・シングス」を観ていない人に「どういうところが面白いですか?」と聞かれて、ぼくは「なんとなく『スタンド・バイ・ミー』を彷彿とさせる感じですかね」と答えました。その人は「スタンド・バイ・ミー」も観ていなかったので、理解してもらえなかったんですが(笑)。まだ成長しきっていない子供たちの心の葛藤だとか、怖いけどそれよりも仲間を守ろうというまっすぐな気持ちが描かれている作品だと思うんですよね。

──純真さゆえのまっすぐさみたいなところは「スタンド・バイ・ミー」と共通するところですね。線路を歩くオマージュシーンもありますしね(シーズン1第5章「ノミと曲芸師」)。

「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン1第5章「ノミと曲芸師」より。

そうなんですよ。ぼくは主人公の少年であるマイクたちと同世代ではないけど、すごく彼らの気持ちがわかるんです。子供の頃は自分たちのテリトリーや秘密基地みたいなものへの憧れがあったし、みんなで怖い話をして、肝試しに行ったりするのも青春だったと思うんです。自分は友達があまりいなかったので、夜に近所の小さい山を1人で登って探検していました(笑)。本当は行っちゃいけないところや危ないところに大人には内緒で子供たちだけで出かけて、ちょっと怖い目に遭って帰ってくるみたいな、誰もが経験したことのある要素がちりばめられているなと思いました。

とりあえず第1話を観てみて!

──「ストレンジャー・シングス」は日常のシーンと、スリリングなシーンのバランスも魅力だと思います。

最上もが

そうなんですよね。ミステリーで謎が解けていくときの気持ちよさもあるし、ラブストーリーやコメディ要素もあって、ある種ヒューマンドラマでもあるというか。誰が観ても刺さる要素が多いはずなのに、意外とみんなこの作品を知らないんですよ。ぼくがSNSやブログで「ストレンジャー・シングス」の話をしてもあまり反応がなかったし。まず海外ドラマを人に薦めると「でも長いんでしょ?」って言われがちなんです。日本の連ドラは30~40分くらいで1話分のものも多いですからね。だけど「ストレンジャー・シングス」は観始めたら止まらなくなるので、全然大丈夫。「とりあえず第1話を観てみて!」って思います。だってうちのお母さんも観てるんですよ?(笑)

──親子2世代で楽しんでいるんですね。

妹が観ていて、それでお母さんも観始めたみたいです。「ストレンジャー・シングス」は全世代に刺さる作品だと思うんですよね。いろんなジャンルのいいとこ取りをしたドラマですし、10代の若い子たちから親世代まで共感できるところがすごく多いはず。世代的にも中学生、高校生、親世代と大きく分けて3つの視点で描かれています。観ていて一番心が苦しかったのは失踪したウィルのお母さんでウィノナ・ライダーさんが演じるジョイスなんですけど、きっと世の中のお母さん、お父さんたちはジョイスにすごく共感できると思うんですよ。何があっても息子を助け出したい、守りたい、母親からしたら当たり前だと思います。

最初はウィルが気になってましたが、いつの間にかマイク派に……

──この物語の根幹になるキャラクターである少年4人組のマイク、ダスティン、ルーカス、ウィルの魅力をお伺いできればと思います。

この4人はものすごくバランスがいいパーティなんですよね。ウィルは失踪してしまったこともあってシーズン1では出番が少ないんですけど……とにかく美少年で観ているだけで癒やされます(笑)。ぼく、最初はウィルがめっちゃかわいくて気になったんです。でも失踪して出てない間にマイクをずっと観ていたら、いつの間にかマイク派になってしまいました。マイクは「なんでもまずは受け入れてみよう」みたいなところがあって、ウィルと入れ替えに突然現れた女の子イレブンと出会ったときも、ダスティンとルーカスが「やばいよ、わかんないものはとりあえず避けておこうぜ」という雰囲気になる中、マイクだけはイレブンを気にして自分の部屋にかくまってあげるんです。ぼくは「ストレンジャー・シングス」をきっかけにこのマイク役のフィン(・ヴォルフハルト)くんにハマってしまって、出演している映画「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」も何度も観ました(笑)。ぼくはInstagramであんまり人をフォローしないんですけど、「ストレンジャー・シングス」のキャストたちはフォローしていて、中でもフィンくんとミリー(・ボビー・ブラウン)ちゃんのInstagramをよくチェックしています。「ストレンジャー・シングス」のマイクは……正直ビジュアルがダントツで好きです(笑)。あとマイクは最初お姉ちゃんのナンシーとあまり仲がよくないんですけど、本当はお姉ちゃんをとっても大事に思っていて、ナンシーもマイクを大切に思っている。それが垣間見える関係もいいなと思いました。つまりマイクはツンデレなんですよね(笑)。

──同じく親友仲間のダスティンとルーカスはどうですか?

「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン2より、ゲイテン・マタラッツォ演じるダスティン(右)。
ダスティンのクッションを抱き、歯を示す最上もが。

ダスティンはその場を和ませてくれる、いなくてはならないキャラだと思います。まず舌っ足らずの英語がかわいい。シリアスな場面でもダスティンがしゃべるだけでホッとするんです。ダスティン役のゲイテン(・マタラッツォ)くんは先天性の難病(鎖骨頭蓋骨異形成症)で歯が生えないらしく、それで舌っ足らずな英語になるんですけど、それもちゃんと個性の1つとして捉えて、病気を知ってもらう活動もしていたり、とにかくみんなで仲良くしているところが素敵だなと思いました。あと意外とダスティンってしっかりしていて、チームの中では仲介役なんですよね。自分がどうこうするというよりも「まあまあ」とみんなの仲を取り持ってくれる。途中ちょっとやらかしたりもしますが……それもダスティンだからしょうがないなって思えちゃうんですよね(笑)。そこが魅力だと思います。

「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン1より、ケイレブ・マクラフリン演じるルーカス(中央)。

一方で、ルーカスは最初融通が利かない頑固者だなと思いました。でもそこにはちゃんと理由があって、「僕らの身が一番大事だろう」という思いがあるんです。本当は愛情深い子なんだけど、不器用だから勘違いされやすいみたいな。大人になったらある程度は割り切ってしまうというか、どうでもいいと思ったらそこで関係を絶ってしまうけれど、子供の頃はみんなぶつかり合ってもその関係を放置せずに仲直りして絆を深めていくじゃないですか。子供ならではの友情がわかりやすく描かれているなと思いました。熱血漢のマイクが真面目で、お調子者ダスティンがボケて、頑固なルーカスがツッコむみたいな(笑)。この3人に優しいウィルが加わって、本当にいいチームだと思います。

──物語の鍵を握る少女がミリー・ボビー・ブラウン演じるイレブンですね。

「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン1より、ミリー・ボビー・ブラウン演じるイレブン。

研究所を抜け出したイレブンはおなかを空かせてバーガーショップに行くじゃないですか(シーズン1第1章「ウィル・バイヤーズの失踪」)。ほとんどセリフがない中、表情だけで演技をしていてすごかったです。びっくりして鳥肌が立つような演技でした。イレブンは人とコミュニケーションを取らないで生きてきたから、知らない言葉も多くて、うまく話せないところもありますよね。それが原因で人と仲違いしちゃうこともあるけれど、その後の友情シーンでグッと来ましたし、何かを伝えることはこんなにも大変なんだとも思いました。自分の考えが相手にうまく伝わらなくて誤解されてしまうことってよくあるじゃないですか。でも実際ふたを開けてみたら「あ、そんなことだったのか」って仲直りする、みたいなことがある。イレブンとみんなのやり取りを見て、やっぱり誠意を持って伝えること、理解しようと思う気持ちが大事だなと思いました。あとミリーちゃんは叫ぶ芝居がすごい。うまいとかのレベルじゃなくて心の底から叫んでいる感じが伝わってくるんです。能力を使うとイレブンは鼻血が出ちゃうじゃないですか。それで心配になっちゃって、いつも「いいんだよ、大丈夫、落ち着いて!」って(笑)。

──もがさん、まるでお母さんのような目線ですね(笑)。

「ストレンジャー・シングス」に出てくる子供たちに対してはどうしてもそういう目線になってしまうんですよね(笑)。

──子供たちの熱い友情が描かれる一方で、大人たちはわりとシビアなやり取りも多いですよね。

そうなんですよね。でも、だからこそ子供たちの関係が引き立つんです。「いや、そうだよな。普通はこうだよな」と思えるというか、子供たちの姿を見て大人たちもきっと感じるものがあると思います。

Netflixオリジナルシリーズ
「ストレンジャー・シングス 未知の世界」
2019年7月4日(木)シーズン3配信スタート
シーズン1、2はNetflixで独占配信中
ストーリー

1983年、米インディアナ州の小さな町ホーキンス。ある晩、12歳の少年ウィルが忽然と姿を消す。友人のマイク、ダスティン、ルーカスは、森の中で謎の少女イレブンと遭遇。イレブンを仲間に加え、独自の捜索を続けていくうちに、彼らは驚くべきホーキンスの秘密に近付いていく。一方、ウィルの母ジョイスは警察署長のホッパーを巻き込んで真相究明に乗り出し、兄ジョナサンはクラスメイトのナンシーとともに調査を開始するが……。

スタッフ

製作総指揮・監督・脚本:マット・ダファー、ロス・ダファー

製作総指揮・監督:ショーン・レヴィ

キャスト

ジョイス・バイヤーズ:ウィノナ・ライダー

ジム・ホッパー:デヴィッド・ハーバー

マイク・ウィーラー:フィン・ヴォルフハルト

ダスティン・ヘンダーソン:ゲイテン・マタラッツォ

ルーカス・シンクレア:ケイレブ・マクラフリン

ウィル・バイヤーズ:ノア・シュナップ

イレブン(エル):ミリー・ボビー・ブラウン

マックス・メイフィールド:セイディー・シンク

ジョナサン・バイヤーズ:チャーリー・ヒートン

ナンシー・ウィーラー:ナタリア・ダイアー

スティーブ・ハリントン:ジョー・キーリー

ビリー・ハーグローブ:デイカー・モンゴメリー

ブレンナー博士:マシュー・モディーン

ボブ・ニュービー:ショーン・アスティン

エリカ・シンクレア:プリア・ファーガソン

関連番組

「ストレンジャー・シングス 大解剖」
Netflixで独占配信中
Netflix

映画やアニメ、ドラマなどをストリーム再生して楽しむことができる動画配信サービス。コンテンツは毎月追加され、作品によってはダウンロード可能。ベーシック、スタンダード、プレミアムの3種類から料金プランを選択できる。

最上もが(モガミモガ)
1989年2月25日生まれ、東京都出身。主な出演作にはドラマ「重版出来!」、映画「闇金ウシジマくん Part3」「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」などがある。2019年3月には、ヒロインを演じた2部作の映画「クロガラス1」「クロガラス2」が公開。現在、ドラマ「ヴィレヴァン!」がメ~テレで放送中。

スタイリング / ヨシダミホ
ヘアメイク / 澤西由美花(クララシステム)