超過激なスパイアクション「キングスマン」「キングスマン:ゴールデン・サークル」に続くシリーズ最新作、「キングスマン:ファースト・エージェント」が12月24日に全国公開される。国家に属さない秘密結社“キングスマン”の誕生秘話、そして“第1次世界大戦を止める”という最初の任務を描く本作。レイフ・ファインズ演じる貴族オックスフォード公、ハリス・ディキンソン扮する息子コンラッドらがエージェントとして奮闘していくさまが切り取られる。監督・脚本を担当したのは、前2作も手がけたマシュー・ヴォーン。歴史上の大戦や実在の人物を織り交ぜながら、シリーズ始まりの物語を紡ぎ出した。
映画ナタリーでは、シリーズの大ファンだという最上もがにインタビューを実施。アクション好きならではの視点で捉えた本シリーズの特徴や、思わず応援したくなってしまうという悪役などへのキャラクター愛を語ってくれた。そして封切りを待ちわびているという最新作「キングスマン:ファースト・エージェント」への期待もたっぷり話してくれている。
※取材は2020年11月下旬に実施
取材・文 / 田尻和花 撮影 / 曽我美芽
スタイリング / ヨシダミホ ヘアメイク / 澤西由美花(クララシステム)
かっこいい予告に「これは観よう」と思ったのがきっかけ
──今回は「キングスマン」シリーズにちなんで、スーツを着ていただきました。素敵ですね……!
劇中のファッションは全部かっこよくてマネしたい気持ちがあったんですが、機会がなかったので今回着られてよかったです! 第1作で(タロン・エジャトン演じる)エグジーが初めてスーツを着たときも私服とのギャップでかっこよく見えましたし、スーツは魅力が増しますね。
──最上さんもとてもお似合いです。でははじめに、シリーズを観始めたきっかけを教えていただけますか?
予告がかっこよかったので「これは観よう」と思ったのが最初だったと思います。第1作、第2作に出演していたハリー役のコリン・ファースがめちゃくちゃ好きなんです。それにアクション映画ももともと好きなので、2作とも劇場へ観に行きました。
──アクション映画が好きになったきっかけは何かあるんでしょうか。
昔から「暴れん坊将軍」が好きで。正義が悪と戦う構図と、殺陣がお気に入りでした。剣で戦うので、「キル・ビル」なんかも好きで観てましたね。アクションシーンって爽快感があるので、ラブコメ作品よりも個人的には好みでした。
──「暴れん坊将軍」がきっかけというのは意外でした!(笑) ちなみにスパイ映画もよく観られるんですか?
特に意識はしていませんでしたが、「007」シリーズや「ミッション:インポッシブル」シリーズなど、けっこう観ていますね。
アクションシーンはアトラクションに近い感覚
──ではスパイ映画の中で「キングスマン」ならではの特徴を挙げるとしたら?
最大の特徴はテンポのよさと、アクションの作り込みでしょうか。ミュージックビデオのように見えるシーンがとても多いですよね。例えば1作目だったら、酒場でハリーがエグジーを救う場面や、教会でのシーンもすごいです。スローモーションを使うことで「ここってこうなってるんだ」「殴られたときに武器をこう利用するんだ」と事細かにわかる。音楽ともマッチしてますし、なんて言うんだろう……アトラクションに近い感覚があります。
──アトラクション、わかります。「キングスマン」はアクションもさることながら、バディムービーとしての一面もありますね。
ハリーとエグジーの関係性っていいですよね! エグジーが成長するさまもいいですし、それを支えている師匠という立ち位置にハリーがいるのもいい。
魅力的な悪役を思わず応援
──シリーズには敵味方問わず、個性的なキャラクターがたくさん登場します。お気に入りの人物はいますか?
うーん、決めるのが難しいですが……(マーク・ストロング演じる)マーリンがめちゃ好きです! でも第2作の展開で衝撃を受けました……。あれはけっこうショックだったんですよね。彼は昔現場に出ていたけど、今はメカ担当。でもエージェントとして参加した戦いではやっぱり強かったというのがかっこよかったですし、キングスマンとしての誇りを一番持っていて、決して裏切らないところも心強かったです。
──過去作では誰が敵か味方かわからないような展開もありましたね。
そういう意味では2作目が一番ドキドキしましたよね! ステイツマン(※アメリカにある、キングスマンの同盟機関)が出てきたときはびっくりしましたけど、確かに組織もいろいろあるよねと。ウイスキーやジンジャーといったように、名前が独特でした。あとは1作目、2作目どっちも悪役がとてもいいキャストだなって思ったんですよ! それになんかかわいくて。1作目の(サミュエル・L・ジャクソン演じる)ヴァレンタインのふざけてる昔のB-BOYみたいなファッションが好きですし、血を見ると吐いちゃうっていう設定もわかりやすくていいですよね。悪役側も「世界のために」と考えているところがあるので嫌いになれない。彼の部下の(ソフィア・ブテラ演じる)ガゼルは服装もタイプでしたし、とにかく冷静で強いから最後のエグジーとの一騎打ちもよかった。彼女の過去が知りたくなりましたね。あとは……単純に顔が好きです。やっぱり美しい女性が好きですね(笑)。第2作で悪役を演じたジュリアン・ムーアもすごく好き。ミンチのシーンは驚きましたけど面白かったです。キャストがよすぎるから、敵なのか……って残念でした。
──ちょっと応援したくなっちゃいますよね(笑)。
応援したくなっちゃう(笑)。悪役は全体的に憎めないんですが、個人的には(エドワード・ホルクロフト演じる)チャーリー(※第1作、第2作に登場)だけイラっときます(笑)。愛すべきバカみたいなところもある気はするんですけども。
最新作に期待するのは「肉弾戦」「女性の活躍」「戦争下でのスパイの描かれ方」
──では、いよいよ最新作「キングスマン:ファースト・エージェント」への期待をたっぷり語っていただければと思います。予告編をご覧になって、どのシーンが気になりましたか?
剣を使ったアクションシーンですね。銃撃戦ももちろんですが、肉弾戦がけっこう好きなので期待したいな(笑)。今回は仕込み傘じゃなくて、杖……?
──こちらは杖、ステッキですね! 武器が仕込まれています。
そうですよね、昔の紳士っぽい。第1作、第2作に出てくる酒場のシーンに似たような場面があるんじゃないかと楽しみです。
──そういった形で過去作とのつながりがあったら面白いです! そして今作での師弟は貴族の親子ですが、そこはいかがでしょうか。
ハリーは「平民でも紳士になれる」というようなことを言っていたし、貴族嫌いのような描写もありましたね。(第1作に登場する)アーサーは平民を少し下に見ている部分があったので、今回貴族がメインキャラクターというのは気になります。いい貴族も悪い貴族もいるだろうし……。あとは、親子ってお互いを知りすぎているからこそ嫌なところが出てくると思うので、その関係をどう描いているのかも見たいですね。若者の意見を取り入れたくないという人も多くいるだろうし、オックスフォード公は柔軟に考えられる人なのか、それとも突っぱねてしまって息子と対立しちゃうのか……。
──親子ならではの関係性も気になるところですね。ほかに興味を持ったキャラクターはいますか?
(ジェマ・アータートン演じる)ポリーはとても気になります。女性エージェントとして(ソフィー・クックソン演じる)ロキシーは出てきていましたが、そこまでメインで扱われてはいなかったですよね。それが今回どれくらい活躍するのか。どうしても“紳士”の話なので男性キャラクターが多かったと思うんですが、ポリーは肩書きがすごいですね。“組織を支える無敵の家庭教師”、それだけでかっこいいじゃないですか。女性で強いっていうのはいいなと思います。
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ラスプーチンには素手で戦ってほしい