進化し続ける“美男”チャン・グンソク!ドラマ「餌【ミッキ】」での新たな魅力とは?マンガ家・こざき亜衣が語る&イラスト化

チャン・グンソクが5年ぶりに主演を務めた韓国ドラマ「餌【ミッキ】」がU-NEXTで独占先行配信されており、DVDが11月3日より順次リリースされる。

彼が除隊後復帰作として選んだ本作では、韓国で実際に起きた数々の詐欺事件をモチーフに、過去と現在が絡み合いながら先の読めないストーリーが展開していく。韓流ブームから今なお愛されるチャン・グンソクは、その甘い笑顔を封印し、ワイルドで陰のある刑事を熱演。ドラマ「イカゲーム」のホ・ソンテが巨額詐欺師を怪演した。

配信とDVDリリースを記念し、「あさひなぐ」「セシルの女王」で知られるマンガ家・こざき亜衣が「餌【ミッキ】」を鑑賞。昔観たというチャン・グンソク主演ドラマ「美男<イケメン>ですね」から十数年、俳優としての彼の印象はどう変化した? インタビューとあわせて、登場人物を描き下ろしたイラストもチェック! なお一部ネタバレも含まれるため、未視聴の方はご注意を。

取材・文 / かわむらあみり

韓国ドラマ「餌【ミッキ】」予告編公開中

こざき亜衣が「餌【ミッキ】」登場人物をイラスト化

イラスト / こざき亜衣

刑事ク・ドハン(チャン・グンソク)と記者チョン・ナヨン(イ・エリヤ)……心に傷を負った2人は、巨悪ノ・サンチョン(ホ・ソンテ)とどう関わっていく!?

こざき亜衣インタビュー

野生味あふれるチャン・グンソク

──韓国ドラマ「餌【ミッキ】」をご覧になっていかがでしたか?

最後まで飽きずに「早く続きが観たい」と次々と進んでいき、とても楽しめました。展開のめまぐるしさ、少しずつ真相に近付いていく様子など、ミステリーとしてもすごく満足できる作りになっていると思います。ドラマ内で殺人事件が起こりますが、実はチャン・グンソクさん演じる主人公の刑事ク・ドハンが犯人ではないのだろうかと、9話ぐらいまで怪しんでいました(笑)。「餌【ミッキ】」は、実際に韓国で起きた詐欺事件がモチーフの1つになっているんですよね。

ドラマ「餌【ミッキ】」より、チャン・グンソク演じる刑事ク・ドハン。

ドラマ「餌【ミッキ】」より、チャン・グンソク演じる刑事ク・ドハン。

ドラマ「餌【ミッキ】」より、ホ・ソンテ演じる詐欺師ノ・サンチョン。

ドラマ「餌【ミッキ】」より、ホ・ソンテ演じる詐欺師ノ・サンチョン。

──そうなんですよ。同事件はこれまでもイ・ビョンホン、カン・ドンウォン、キム・ウビン共演作「MASTER/マスター」や、ヒョンビン主演作「スウィンダラーズ」の題材になりました。

そこまで取り上げられる詐欺事件というのも興味深いと思いました。チャン・グンソクさんは、「美男<イケメン>ですね」の頃から注目していて、役の影響もあってか昔は少しやんちゃなイメージもありましたが、「餌【ミッキ】」では繊細な感じになっているなと。線の細さは変わらないものの、やはり全然違う。本当にク・ドハンという刑事そのものに見えたので、いい役者さんだと実感しました。

ドラマ「餌【ミッキ】」より、チャン・グンソク演じるク・ドハン。大企業専門のエリート弁護士だったが、あることから刑事に転身した。

ドラマ「餌【ミッキ】」より、チャン・グンソク演じるク・ドハン。大企業専門のエリート弁護士だったが、あることから刑事に転身した。

──チャン・グンソクさんはラブロマンス作品の印象もありますが、今回はクライムスリラーで、無精ひげを生やしたワイルドな刑事を演じています。これまでの作品が好きな方でも、シリアスな展開の今作に惹き込まれるのは彼の存在が大きいと感じますが、その変化をどうご覧になりましたか?

それこそ「美男<イケメン>ですね」を観ていたときは、壁ドン! イケメン!という印象でしたが(笑)、そこからコペルニクス的転回をしたなあと。以前はマンガのキャラクターのようだったのが、実際にいそうな、でも近寄り難い野性味あふれる雰囲気になっていますよね。きっと演技の質も以前とは違っているのかも。前の印象を封印しても、観る側を惹き付けられる俳優なんだと思います。

1人だけずっと元気な悪役

──詐欺事件での首謀者ノ・サンチョン役は「イカゲーム」の活躍も記憶に新しいホ・ソンテさんが演じました。彼は「スウィンダラーズ」でも同じ人物をモデルにした詐欺師役だったのですが、本作での悪役をどうご覧になりましたか?

ドラマ「餌【ミッキ】」より、ホ・ソンテ演じるノ・サンチョン。巨額詐欺師に上り詰めるも、8年前に中国で死亡したとされていたが……。

ドラマ「餌【ミッキ】」より、ホ・ソンテ演じるノ・サンチョン。巨額詐欺師に上り詰めるも、8年前に中国で死亡したとされていたが……。

実はノ・サンチョンに夢中になって、まるでノ・サンチョン一代記のような作品でもあると感じました。最初はつまらないチンピラだったのに、どんどんのし上がっていくというサクセスストーリーにもなっているなと。もともと悪い役や同情できない悪い人物の人生を眺めるのが好きなんです。そういう意味では、ノ・サンチョンの立ち回りは見どころでもあると思いました。なぜなら、詐欺の被害者は全員悲しい思いを背負って元気がない中、彼は1人だけずっと元気だから(笑)。

※以下の会話にはネタバレが含まれます。リンクをタップすると表示されます。

──確かに、あらゆる欲が強くて生命力だけはあるような感じがします。

いい悪いは別として、一番、ノ・サンチョンがエネルギーを発しているなと。印象深かったのは、ノ・サンチョンがク・ドハンに追いかけられるシーンがあって、雪山でお互いの足跡が重なるような演出がすごくいいと思いました。悪役ですが、心のどこかで応援する自分もいて……(笑)。でも、悪いやつは死に様までがやっぱりセットですよね。さんざんやるだけやって、多くの人たちの人生を破壊したのだから、最後に全身でその報いを受けてほしいという思いもありました。

──彼が悪事を働くにつれてエネルギッシュになる一方で、ク・ドハンら周りは抑えた感じもありつつ、ノ・サンチョンを捕まえようと躍起になっていきます。

ノ・サンチョンを中心に、みんなが動きますよね。まるで“ノ・サンチョンという餌”に魚たちが群がるよう。悪い光を放つ彼のところに集まっていって、みんな逆に食べられてしまうわけですが。ある意味、みんなもまたノ・サンチョンにエネルギーをもらっているところがあるんでしょうね。

左からノ・サンチョン(ホ・ソンテ)、ク・ドハン(チャン・グンソク)。

左からノ・サンチョン(ホ・ソンテ)、ク・ドハン(チャン・グンソク)。

──憎しみが原動力になっている部分もあるようでしたね。そもそも、こざき先生が悪役に惹かれる理由はなんでしょうか。

私自身は悪い人間になりきる勇気がないんです。そこまで自分の欲望に忠実になれないですし、周りとのバランスを考えてしまうタイプだからこそ、いろいろなものをかなぐり捨てて、自分の欲望に忠実になれる人はすごい。人の気持ちを全然考えないという、自分にはできないことをするのが悪役なので、気になってしまうのだと思います。

──ほかのキャラクターにはどんな印象をお持ちになりましたか。

イ・エリヤさん演じるヒロイン、チョン・ナヨンにも注目しました。とてもかわいいですよね。もともと少女時代のユナさんが大好きで、昔はよくライブにも行っていたぐらいだったのですが……少しユナさんとタイプが似ているように感じて、画面に出てくるだけでうれしかったです(笑)。すごく骨格がきれいだな、と思いながら観ていましたね。絵を描くときは絶対に彼女も描こうと思って、結果3人のイラストになりました。

イ・エリヤ演じる記者チョン・ナヨン。自身もノ・サンチョンによる詐欺被害で家族を失った。

イ・エリヤ演じる記者チョン・ナヨン。自身もノ・サンチョンによる詐欺被害で家族を失った。

左からク・ドハン(チャン・グンソク)、チョン・ナヨン(イ・エリヤ)。

左からク・ドハン(チャン・グンソク)、チョン・ナヨン(イ・エリヤ)。

──今回の特集のために、こざき先生が描かれた「餌【ミッキ】」のイラストですよね! チャン・グンソクさんもかっこいいですし、イ・エリヤさんの涙も惹き付けられますが、ピースをしているホ・ソンテさんが一番ツボに入りました(笑)。

本当にこういう印象だったので(笑)。元気いっぱいに描いてみました。