「J:COM STREAM(ジェイコムストリーム)」の豊富なラインナップの中から、韓国ドラマ・中国ドラマの人気タイトル7作品をピックアップした。「ツイン・ピークス」を彷彿させる“イヤミス”系、韓国版「推しの子」×「華麗なる一族」など、同ジャンルに強い2名のライターが、設定や世界観の近しい類似作品を挙げながら、おすすめのドラマを紹介。多彩な作品群から、あなたの好きなドラマもきっと見つかるはず。
文 / 小酒真由子、前田かおり
白雪姫には死を~BLACK OUT(韓国)
医大への進学が決まっていた優等生のジョンウ(演:ピョン・ヨハン)は、2名の女子高生殺しで逮捕される。遺体は見つかっていなかったが、大量の血痕が残され、事件当日、泥酔していた彼に記憶がなかったことから殺人犯にされて刑務所へ。11年後、出所し故郷に戻ったジョンウは真実を明らかにしようとするが……。
優等生から前科者に転落し、信頼する人々から嫌悪されながらも、えん罪を晴らすために奔走する姿からは、古くはハリソン・フォードの「逃亡者」、近作ならば横浜流星の「正体」を連想。ドイツのベストセラー小説のドラマ化で、閉鎖的なコミュニティで起きる事件、そこに暮らす人々は誰もが秘密を抱え、誰もが怪しく見えてくるという展開はデヴィッド・リンチの「ツイン・ピークス」も彷彿とさせる。また人間の心の奥に潜む愛憎、嫉妬が描かれ、毎回なんともイヤーな印象が残るが次が気になるというのは、イヤミス系の作家・湊かなえの原作を映画化した「告白」や吉田修一原作の映画「怒り」などが好きな人にはたまらないはず。(前田)
©Snow White Must Die Special Purpose Company Ltd.
財閥家の末息子~Reborn Rich~(韓国)
韓国を代表する財閥スニャン・グループで忠誠を尽くしてきたヒョンウ(演:ソン・ジュンギ)だったが、会社に裏切られて殺される。だが目覚めると1987年のソウル。しかも、スニャン一族の末孫で小学生のドジュンに転生していた。彼は自分を殺した犯人を捜すため、一族の中でのし上がっていこうと考える……。
転生して復讐というストーリーは「推しの子」のよう。特に、序盤は「見た目は子供、頭脳は大人」という「名探偵コナン」のように、子供のくせしてやたら知恵が回るため、グループの会長である祖父ヤンチョル(演:イ・ソンミン)から一目置かれる存在になる。現世の記憶を持ったまま、過去の時代にタイムスリップした人間が活躍する姿は、大沢たかお主演で大ヒットしたドラマ「JIN-仁-」や、海外ドラマ好きなら、英国ドラマ「時空刑事1973 ライフ・オン・マーズ」を彷彿とさせる。このスニャン・グループは実在の財閥がモデルとも言われ、韓国の現代史を見るような感覚があり、山崎豊子原作の「華麗なる一族」とも似たスタイル。(前田)
©Chaebol Corp. all rights reserved
時間の都市~ロマンスはいつも予想外~(中国)
わがままで超ナルシストなトップスターと、そんな彼のアシスタントになったヒロインが繰り広げる秘密の恋。スターとの恋が題材のラブコメディというと、ジュリア・ロバーツとヒュー・グラント共演の「ノッティングヒルの恋人」が浮かぶが、本作の主演も超ビッグ。「キム秘書はいったい、なぜ?」や近作「私の夫と結婚して」で世界的に大ブレイクした韓国のロマコメ女王パク・ミニョンと、大人気ブロマンス時代劇「山河令」で知られる中国のチャン・ジャーハンという夢のような顔合わせだけに期待が膨らむ。
互いにわだかまりがある2人が、次第に胸キュンな関係になっていくのは、日本のドラマ「結婚できない男」や「逃げるは恥だが役に立つ」に重なるところ。また中国の映画界の舞台裏がうかがえるあたりも新鮮。さらに、ヒロインを好きになる映画会社の御曹司も登場して三角関係も描かれる。チャーミングな魅力振りまくパク・ミニョン相手にチャン・ジャーハンがどんな愛情表現を見せてくれるのか。楽しみにしてほしい。(前田)
©2023 Tianjin Zaoju Culture Communication Co., Ltd.
宮廷恋仕官~ただいま殿下と捜査中~(中国)
「薬屋のひとりごと」のようにミステリー、ラブコメディの要素が詰まった宮廷フィクション。本作のヒロインとなるのは検視を生業とする家で育ち、検視官の採用試験を受けるために唐の都・長安にやってきた少女・楚楚(演:スー・シャオトン)だ。中国の法医学の歴史は古く、秦の時代にすでに死因不明の遺体は検視を行うようにと法律で定められていたそう。検視の知識とテクニックでは誰にも負けない楚楚は、司法を担う三法司の長官・蕭瑾瑜(演:ワン・ズーチー)に才能を見出され、都の怪事件をともに捜査していくことになる。
我が道を行く楚楚は好きなこと以外にはとことん疎い「科捜研の女」の榊マリコのようなタイプ。一方、蕭瑾瑜はシャーロック・ホームズのような観察眼の鋭い名探偵で、父の死の真相を突き止めるのが悲願。そんな2人が遺体から事件の手がかりを見出していく過程が、「SHERLOCK/シャーロック」のように画面上に解説が出るポップな演出で描かれ、時代劇ながらわかりやすさ抜群。また、彼らの事件捜査に政治が絡んで物語の深みが増す「相棒」のような面白さもあるので、本格ミステリー好きにもオススメだ。(小酒)
©Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited
家族の名において(中国)
幼い娘を育てるシングルファーザーがお見合い相手の息子を引き取り、妻が出て行った近所の父親と協力して、家族のような絆を築いていくストーリー。いわば「万引き家族」のように他人同士が暮らす擬似家族の物語だが、作品のトーンは「マルモのおきて」のようにほのぼの。2人の父親が悩みを共有し合い、身勝手な実の親との関係に悩む2人の“兄”たちの心を天真爛漫な“妹”が癒やしていく。そんな彼らに共通するのは「SPY×FAMILY」のような、この家族を守りたいという気持ち。日常の様々な事件に翻弄されながらも一緒に食卓を囲めば笑顔になる彼らの姿にほろりとさせられる。
また、成長した子供たちは“兄”“妹”と呼び合いながらも血はつながっていないだけにお互いを意識して、後半は三角関係のラブストーリーが展開。劇中で“兄”にアプローチされて戸惑う“妹”が参考書として読んでいるのが、中国でドラマ・映画化作品まで人気を博した日本のマンガ「兄に愛されすぎて困ってます」というのも面白いところ。この擬似家族がどんな幸せの形を選ぶのか、ぜひ最後まで見届けてもらいたい。(小酒)
※ご利用のデバイスによっては視聴できない場合があります
©2020 China Huace Film & TV Co., Ltd.
冰雨火~BEING A HERO~(中国)
「マイアミ・バイス」のように麻薬犯罪捜査の現場を描いたサスペンス。物語は「ジョン・ウィック」さながら復讐心に駆られた男の暴走から始まる。3年前、父親が麻薬密売の疑いをかけられたまま殺された呉振峰(演:チェン・シャオ)は昔なじみで新人警察官の陳宇(演:ワン・イーボー)から麻薬捜査班の情報を聞き出すと捜査現場に乱入。これが問題となり陳宇は派出所へ左遷され、呉振峰は姿を消す。そして今、ある料理人の殺害現場から新型薬物が発見され、陳宇は容疑者となった呉振峰と再び対峙することになるが……。
ラオスとミャンマーと国境を接する中国・雲南省のシーサンパンナ・タイ族自治州でロケ、実際に国境付近の麻薬犯罪について取材したというだけあって、「ブラック・レイン」のような実録タッチの演出にはヒリヒリとした緊張感がみなぎる。因縁のある男2人が駆け引きしながら攻防戦を繰り広げる点は「インファナル・アフェア」をも想起させるが、いつしか2人の間には信頼が芽生え共通の敵に立ち向かう胸アツ展開に。スリルとアクション満載の先の読めないストーリーは圧巻の結末まで手に汗握ること間違いなしだ。(小酒)
©2022 China International Television Corporation
四季シリーズ(韓国)
ヨン様人気で一大ムーブメントを巻き起こした「冬のソナタ」をはじめ、日本の韓流ブームの火付け役となったドラマ「四季シリーズ」。春・夏・秋・冬の全4部作で、未見なら1作目の「秋の童話」からの視聴がおススメ。裕福な家庭で優しい兄と育ったヒロインが、取り違えられていたとわかり、一転、貧しい家庭へ。10年後、ひょんなことで再会した兄と妹は特別な感情を抱いていることに気付く……。
子どもの取り違えから始まる過酷かつドラマチック過ぎる展開に山口百恵出演の往年のドラマ「赤い運命」を思い出す涙なくしては見られない恋愛もの。「世界の中心で、愛をさけぶ」「君の膵臓をたべたい」のような涙腺崩壊のラブストーリー好きの心に刺さりそう。このシリーズを手がけたユン・ソクホ監督は情感あふれる音楽や四季折々の風景とともに、波乱万丈な展開や運命的な恋愛を描くことで知られる。メロドラマ好きならば、一度は目にしておきたい。(前田)