ロシア発ダークファンタジー「魔界探偵ゴーゴリ」シリーズ 森川智之インタビュー|ロシアが誇る文豪はダークヒーローだった!?「SHERLOCK」コンビ再タッグの日本語吹替版をTV初放送

ロシア発のダークファンタジー映画「魔界探偵ゴーゴリ」3部作の日本語吹替版が、CS映画専門チャンネル「ムービープラス」でテレビ初放送される。

文豪ニコライ・ゴーゴリが闇の力を持つダークヒーローとして事件に挑むというパンチの効いた設定と、VFX満載のダイナミックな映像で魅せる本作。3作品すべてがロシアで興収初登場1位に輝いた大ヒットシリーズだ(※)。主人公ゴーゴリ役は「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」で日本でも人気上昇中のアレクサンダー・ペトロフが務めている。

吹替版ではゴーゴリ役を森川智之、ともに連続猟奇殺人事件を捜査する探偵グロー役を三上哲が担当。「SHERLOCK/シャーロック」シリーズの探偵コンビでおなじみの2人が、ダークさの増した本作で再タッグを組んだ。特集では森川のインタビュー&映画ライターの前田かおりによる見どころコラムで「魔界探偵ゴーゴリ」の面白さを掘り下げる!

※「Box Office Mojo」調べ

取材・文 / 金須晶子(P1) 文 / 前田かおり(P2コラム) 撮影 / 入江達也

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CHARACTER キャラクター
ゴーゴリ(アレクサンダー・ペトロフ / 吹替:森川智之)
ゴーゴリ
(アレクサンダー・ペトロフ / 吹替:森川智之)
秘密警察で書記官として働く作家志望の青年。自分でもコントロールできない悪夢の力により、事件当時の光景が見える。
グロー(オレグ・メンシコフ / 吹替:三上哲)
グロー
(オレグ・メンシコフ / 吹替:三上哲)
腕が立つと評判の上から目線な探偵。ゴーゴリの特殊能力を買い、捜査のため事件が起きた村へともに赴く。
森川智之インタビュー

しょっちゅう倒れる主人公

「魔界探偵ゴーゴリⅡ 魔女の呪いと妖怪ヴィーの召喚」より、ゴーゴリ。

──ダークな世界観が魅力の本作で、森川さんは主人公ゴーゴリの吹替を担当されました。どのようなキャラクターでしたか?

あまりエネルギーに満ちた主人公ではありません。軟弱で、顔色も悪くて、しょっちゅう倒れる(笑)。異世界とつながる力を持ち、事件当時の様子などが見えてしまう特異体質なんですが、倒れないと見えない。かつて主役がこんなに気絶するドラマはなかったんじゃないかな(笑)。

──森川さんと言えば「ミッション:インポッシブル」シリーズのイーサン・ハント(トム・クルーズ)など、頼りがいのあるキャラクターのイメージが強いです。

森川智之

けっこう自信満々な役が多かったので、そういう意味で今回は対極なところがあります。収録では、自信がなく緊張している感じを意識しました。僕自身が緊張するわけではなく、わざとこわばってみるというか。誰でも初めてのことって緊張するじゃないですか? そういう感覚を思い出しながら、どちらかと言えば文化系な雰囲気を醸しつつ演じました。

──かつてないほど気弱な主人公ですが、演じながら思わず応援したくなりませんでしたか?

冒頭からネガティブですもんね。自分の書いた小説を書店から回収して、暖炉で燃やしながら泣いたり……大丈夫かなって思いましたよ。恋の行方も気になっていましたが、なかなか大変そうで。彼の出生にまつわる秘密も不遇だったりして、応援しがいがあります。特に女性はそんなゴーゴリを好きになったり、応援したくなるんじゃないでしょうか。

三上哲との「SHERLOCK」コンビは“勝手知ったる”関係

「魔界探偵ゴーゴリ 暗黒の騎士と生け贄の美女たち」より、左からゴーゴリ、グロー 。

──ゴーゴリ役の森川さん、探偵グロー役の三上哲さんは、ドラマ「SHERLOCK/シャーロック」でおなじみの吹替コンビです。ファンにとっては見逃せないポイントです。

今回スタジオに入った瞬間、2人で隣同士に座って、ちょっと見合ってほくそ笑みました(笑)。僕からすると、どうしても三上さんはシャーロック。三上さんからすると僕は(ジョン・)ワトソンで。最初に香盤表を見たときはあまり気にならなかったんですけど、自宅でリハしていたときに、あれ?って。役の立ち位置として通ずるものがあるのは、遊び心があって面白いと思いました。

──ともに事件を解決していく役柄ということで、シャーロックとジョンを想起させるような関係性ですね。収録では共演経験が生かされましたか?

森川智之

もちろん同じような役柄でなければ芝居も違うので別ものです。だけどお互い、勝手知ったる感じでお芝居できて楽しかったです。三上さんはシャーロックのときは怒涛のセリフ量でしたが、今回のグローでは独特の間と演技でうまく演じられていて。今までとまた違うものを出していらしたので、刺激になりました。

──ロシア語に声を当てる難しさや、特別に意識されたことはありましたか?

実はそんなに気にならないんです。なぜなら言葉がわからないから、入ってこない(笑)。基本的にいつも俳優の顔、骨格、発声の仕方を意識していて。全身を使って演技する人もいますが、今回は(アレクサンダー・)ペトロフさんが自然に演じていたので、僕も普通にしゃべるようにしています。

「次も観なきゃ!」とまんまと乗せられる

──3部作として壮大な謎を解き明かす面白さと、1作品ずつ別々のエピソードがちりばめられている面白さ。「魔界探偵ゴーゴリ」はどちらも楽しめるシリーズだと思います。

ある殺人事件を捜査する中で浮上してくる“黒騎士”という謎の存在。それを追いかけていく話が主軸ですが、小さなエピソードが途中で入ってくるのもまた面白い。あとはゴーゴリとグローの掛け合いや、一緒に捜査する仲間のキャラクターにも注目してほしいです。最初は誰もゴーゴリを相手にしてくれないけど、RPGみたいに協力者が増えていくんです。キャラ数もちょうどよくて、これ誰だっけ?ともならないので、いいバランスですよね。

「魔界探偵ゴーゴリⅡ 魔女の呪いと妖怪ヴィーの召喚」

──作品の中で、特に印象的だったシーンを教えてください。

やっぱり1作目の冒頭ですね。いきなり黒騎士が出てきて不気味で。そこから、なんのため? どういうこと?と、ゴーゴリたちと一緒に考えながら物語が進んでいく。そうしてまんまと乗せられますよ、「次も観なきゃ!」って。

「魔界探偵ゴーゴリ 暗黒の騎士と生け贄の美女たち」

──毎回続きが気になる終わり方なので、すぐに次の作品を観たくなりました。それにしても1作目の「魔界探偵ゴーゴリ 暗黒の騎士と生け贄の美女たち」をはじめ、「魔界探偵ゴーゴリⅡ 魔女の呪いと妖怪ヴィーの召喚」「魔界探偵ゴーゴリⅢ 蘇りし者たちと最後の戦い」と、どれもインパクトのある邦題ですよね。

魔界、探偵、暗黒、騎士、生贄、美女……最強ワードがそろっていますからね。このタイトルを耳にして、何かしら引っかかるワードがあったら“正解”だと思います! 3作品ともロシアで1位を取った人気シリーズが吹替版で放送されるということで、これは観ないと損します。ぜひ楽しみにしていただけたら。