映画ナタリー Power Push - 「ディストラクション・ベイビーズ」

村上虹郎×北村匠海対談 友人でありライバル、同世代俳優が激突した衝撃作

真利子哲也の監督最新作「ディストラクション・ベイビーズ」が、5月21日に公開される。本作は、喧嘩に明け暮れて“危険な遊び”に走る青年2人の物語を軸に、若者の欲望と狂気を描く群像劇。キャストには若手実力派の柳楽優弥、菅田将暉、小松菜奈に加え、「2つ目の窓」やドラマ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の村上虹郎、DISH//のメンバーとして歌手活動も行う北村匠海といった期待の新鋭も集結した。

映画ナタリーでは、主人公の弟・将太役の村上、そしてその友人・健児役の北村の対談をセッティング。プライベートでも交流があるという同世代2人の素顔と、本作で受けた衝撃について明かしてもらった。

取材・文 / 浅見みなほ 撮影 / 笹森健一

僕は村上虹郎の存在を感じてた(北村)

──今回お二人にお越しいただいたのは、「セーラー服と機関銃 -卒業-」の企画で北村匠海さんにご登場いただいたとき(参考:「セーラー服と機関銃 -卒業-」北村匠海インタビュー)に、交流のある役者さんとして村上虹郎さんのお話をしていただいたことがきっかけなんです。なので今日は本作のことに加えて、ぜひお二人の関係についてもお伺いできたらと思います。初共演は2015年の連続ドラマW「天使のナイフ」ですよね?

左から村上虹郎、北村匠海。

村上虹郎北村匠海 そうです。

──初めて会ったときの印象は覚えていますか?

北村 最初は2年くらい前、「天使のナイフ」のオーディションですかね。

村上 そうそう。けっこう人がいたんですけど、その場で知ってたのは(清水)尋也だけで。僕はこの仕事を始めて1年経ってないくらいだったので、匠海のことは「この人誰だろう?」って思ってました。

北村 虹郎は、存在感がありましたね……すごかった。僕は村上虹郎の存在を感じてたよ。

村上 ははは! 俺のこと知ってたの?

北村 話には聞いてた。

──じゃあ、初めて会話したのは現場ですか?

村上虹郎

村上 撮影中は、最後の最後にちょろっと話したくらい。尋也と俺、尋也と匠海はそれぞれ知ってたんですけど。尋也は役者歴が長いから知り合いが多くて。

北村 でも、「ディストラクション(・ベイビーズ)」の衣装合わせで会ったときは、もうすんなりしゃべってた気がする。「ディストラクション」のあとは、尋也含めてごはんに行ったりもしたよね。

村上 そうだ、そうだ。

「お前がオラオラしないからだろ」って匠海のせいにしたりして(村上)

──この「ディストラクション・ベイビーズ」では、友人役でしたね。

北村匠海

北村 友達だけど、それが壊れていくっていうストーリーでした。

──役の上では、北村さん演じる健児が村上さん扮する将太をリードするという関係性でしたが、実際のお二人と比べると……。

村上 全然違いますね(笑)。

北村 はい、逆ですね(笑)。

「ディストラクション・ベイビーズ」より。

村上 現場では六車勇登くんと加藤幹夫くん含めた友人役の4人でずっと話してたんです。4人の中では、一番ダメな役が僕なんですけど……。

北村 実際は中心にいたね。

村上 僕が一番チビなのに一番歳上で。俺の1つ歳下が匠海で、さらにあの2人も1個ずつ下だったんです。で、最初、あの2人が俺らにすっごい気を使うんですよ!

北村 めちゃくちゃ敬語だった(笑)。

村上 「敬語やめて!」って言ってるんだけど、「すいません、大丈夫です、大丈夫です」って。「いやいや俺、将太だから!」って言いましたもん。4人で読み合わせしたときも、「おい、将太!」って強く言うところなのに、気にしちゃってできない、みたいな。それで、「一番強い役なはずのお前がオラオラしないからだろ!」って匠海のせいにして(笑)。

「ディストラクション・ベイビーズ」より。

北村 そう、オラオラできないんですよ。虹郎に引っ張られっぱなしで。でも仲良くなったきっかけは、初日の夜に一緒に泊まったときの腕相撲なんです。

村上 役の上では一番弱いはずの僕が勝っちゃったんだよ。それであいつら余計遠慮しちゃったの!! しかも匠海は負けるし! 健児は強いはずなのに、弱え!って(笑)。

北村 下から2番目くらいでした……。でもそれで4人の空気がほぐれた感じで。むしろ、そこからあの2人がどんどんエスカレートしてウザくなってくるっていう(笑)。

村上 ヤバかったね! 中高生の頃って意味もわからずに言ってる流行語みたいなのがあるじゃないですか。……あれ、匠海もう高校卒業したんだっけ?

北村 うん、卒業した。

村上 あ、おめでとう。で、その流行語が……。

北村 軽っ!!

村上 ふふふ(笑)。その流行語なんですけど、「TOKYO TRIBE」に出てくる人の口癖で「なんとかだメーン」っていうのがあるんです。匠海がそれを言ったら幹夫がハマっちゃって、ずーっと言ってるんですよ! 芝居の中でも「メーン」が入ってきちゃって。

北村 サムいんですよ! サムいのにやり続けるんですよ!

村上 3日間くらいずーっとやり続けて! で、なっちゃん(小松菜奈)と共演するキャバクラのシーンで、あいつが「思い付いたメーン!」「これヤバいメーン!」って言い出して。

左から村上虹郎、北村匠海。

北村 あれはひどかった! 階段があって、斜めになってるところだったんですけど。

村上 小松菜奈ちゃんと斜めをかけたらしく、「ナナメーン!」って。

北村 サッムいよね!! ヤバかったなー……。

村上 全員、サーって引いて。ただ、なっちゃんが2秒後くらいにクスっと笑ったので許されました。でも、そういうノリが学生役としてはいいと思ったんですよ。

「ディストラクション・ベイビーズ」2016年5月21日より全国ロードショー

「ディストラクション・ベイビーズ」

愛媛県松山市の小さな港町・三津浜。喧嘩に明け暮れていた青年・泰良は、ある日たった1人の家族である弟・将太を置いて姿を消した。それからしばらく経った松山の中心街に、強そうな相手を見つけては狂ったように喧嘩を仕掛ける泰良の姿があった。野獣のようなその様子に興味を持った高校生・裕也は、泰良に「俺と面白いことしようや」と声をかける。そして2人は車を強奪し、そこに乗り合わせたキャバクラ嬢・那奈を後部座席に押し込んで、“危険な遊び”を加速させていく。その頃必死に兄を探していた将太は、友人の健児から、泰良と裕也が起こした事件がインターネットで話題となっていることを知らされる。

スタッフ

監督:真利子哲也
脚本:真利子哲也、喜安浩平
音楽:向井秀徳
主題歌:向井秀徳「約束」

キャスト

泰良:柳楽優弥
裕也:菅田将暉
那奈:小松菜奈
将太:村上虹郎
三浦:池松壮亮
健児:北村匠海
河野:三浦誠己
近藤:でんでん

村上虹郎(ムラカミニジロウ)

1997年3月17日生まれ。東京都出身。2014年、河瀨直美が監督した第67回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作「2つ目の窓」に主演し俳優デビュー。その後「神さまの言うとおり」「忘れないと誓ったぼくがいた」「さようなら」に出演。2015年に連続ドラマW「天使のナイフ」にてドラマ初出演、実写版スペシャルドラマ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」にてドラマ初主演を果たす。同年「書を捨てよ町へ出よう」で舞台初出演にして初主演を飾った。2016年は出演作「夏美のホタル」の公開を6月11日に控えている。

北村匠海(キタムラタクミ)

1997年11月3日生まれ。東京都出身。2008年、「DIVE!!」でスクリーンデビュー。主な出演作に「鈴木先生」「陽だまりの彼女」など。2016年に入り、「信長協奏曲」「セーラー服と機関銃 -卒業-」「あやしい彼女」と出演作の公開が続いている。TAKUMI名義で4人組ダンスロックバンドDISH//のメインボーカル兼ギターとしても活動中。


2018年4月5日更新