映画ナタリー PowerPush -「チャッピー」

愛すべきロボット映画が誕生!ニール・ブロムカンプ監督最新作 「チャッピー」が見つめる未来

長編デビュー作「第9地区」で一躍注目を浴びた南アフリカ出身の監督、ニール・ブロムカンプ。最新作「チャッピー」では人工知能を搭載したロボットの成長を通して、魂の所在、生きることの意味を浮き彫りにしている。人間よりも人間らしく振る舞うロボットのチャッピーがたどり着く結末には、誰もが思わず声をあげてしまうことだろう。

映画ナタリーではキャストのヒュー・ジャックマンやシガニー・ウィーバー、そしてブロムカンプ監督のインタビューを掲載。愛すべきロボットが誕生した舞台裏に迫る。なお、コミックナタリーでは「究極超人あ~る」「機動警察パトレイバー」の作者、ゆうきまさみが「チャッピー」の見どころを語るインタビューを掲載。あわせて読んで、作品の魅力をより深く味わってほしい。

文 / 相馬学

 
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ウサ耳付きのキュートなロボット、無垢なる魂が宿る「チャッピー」の魅力

「チャッピー」ポスタービジュアル

人工知能の可能性や、ロボット工学の進化が議論されている現代、タイムリーに登場するのが「チャッピー」だ。「第9地区」「エリジウム」で注目されたSF映画の気鋭ニール・ブロムカンプが新たな近未来絵図を描く。舞台は2016年(来年!)の南アフリカ、ヨハネスブルグ。ロボットが治安維持に活用されているこの世界に、人工知能を搭載したロボットが現われる。それが本作の主人公“チャッピー”だ。赤子のように無垢なこのロボットは犯罪が横行する街で、どんな運命をたどるのか?

人間社会のあらゆることを学習する能力を持ったチャッピーのドラマは、これまでのロボット・ムービーと比べて、複雑で歯応えがある。「ロボコップ」の主人公のように犯罪世界で揉まれ、「A.I.」における感情をプログラムされたロボットよりも多くを吸収して成長。「ウォーリー」や「ベイマックス」のようなハートウォーミングなぬくもりを宿らせつつも、「アイ,ロボット」のようにシリアスでエッジが利いている。日本のアニメーション「アップルシード」からヒントを得たという“ウサ耳”付きのメカニックデザインも愛嬌たっぷりな魅力を放つ。もちろん、人工知能が人間のように“心”を持ってしまったら、「her/世界でひとつの彼女」「トランセンデンス」のように、単なる人間のための道具には終わらなくなる。はたしてチャッピーは観客に、どんな未来を見せてくれるのか? 意外性に富んだ衝撃的な結末まで目が離せない。

チャッピーは徐々に人間らしい感情を身につけていく。

チャッピーの成長記

  • チャッピーを開発した工学者のディオン(デーヴ・パテル)。

    チャッピー、この世に誕生する

    警察用ロボット“スカウト”を生み出した軍事企業の若き技術者ディオンは、人工知能の開発という野心を抱いていた。苦心の末にそれを作り出した彼は、実験のために廃棄処分となったスカウトを社に内緒で持ち出すが、帰路にストリートギャングに襲われる。

  • 起動直後のチャッピーは見るものすべてにおびえる。

    チャッピー、産声を上げる

    拉致されたディオンはこのスカウトが赤子同然の状態で、教育の必要があると訴えるが、ギャングのボス、ニンジャは悪事に利用しようと躍起になるばかり。チャッピーと名付けられたメカは、ディオンの説く善良さの一方で、ギャングらしい振る舞いを吸収する。

  • ニンジャから武器の扱い方を教えられるチャッピー。

    チャッピー、パパとママから生き方を学ぶ

    ニンジャの恋人ヨーランディはチャッピーに対して母性を抱き、愛情をもって接する。だが、ニンジャはギャング教育に余念がなく、自分を“パパ”と呼ぶよう強要。銃やナイフの扱い方を教え込む。チャッピーはその厳しさに恐れを感じていた。

  • チャッピーはニンジャたちに言われるがまま、悪事に加担するように。

    チャッピー、ギャングに仲間入り

    チャッピーはニンジャたちの犯罪に手を貸すようになる。その模様がニュース番組で放映され、警察はスカウトの使用を停止せざるをえなくなり、街では犯罪が急増。この混乱に乗じて、ディオンのライバルである技術者ヴィンセントが自作のメカを警察に売り込む。

  • チャッピーたちは兵器ロボット“ムース”の襲撃に遭う。

    チャッピー、大切な人を守る

    ヴィンセントは上司の許可を得て自作のロボット“ムース”を出動させ、治安維持に当たらせる。その猛烈な攻撃は、ニンジャのアジトにも迫っていた。今や家族も同然であるストリートギャングたちを守るために、チャッピーに何ができるのか?

コミックナタリーPowerPush ゆうきまさみが語る映画「チャッピー」
「チャッピー」2015年5月23日公開
「チャッピー」

「第9地区」で鮮烈な監督デビューを飾ったニール・ブロムカンプによる長編第3作。ヒュー・ジャックマン、シガニー・ウィーバー、「スラムドッグ$ミリオネア」のデーヴ・パテルらがキャストに名を連ねている。また、南アフリカの音楽ユニット、ダイ・アントワードのニンジャとヨーランディ・ヴィッサーも参戦。チャッピーの育ての親となるギャングを演じている。

ストーリー

2016年、南アフリカ共和国。犯罪の多発する都市ヨハネスブルグでは、軍事兵器会社テトラバールが開発したロボット警官が治安を守っていた。ロボットの開発者ディオンはそのうち1体に、自分自身で考え、成長するAI(人工知能)を搭載する。だが、上司から開発にストップをかけられたディオンは、ロボットを社外へ持ち出そうと画策。その道中で、ストリートギャングたちに自身もろとも誘拐されてしまう。ギャングの指示のもと起動させたロボットは「チャッピー」と名付けられ、赤ん坊のような状態から急速に成長していく。

スタッフ
  • 監督・脚本・製作:ニール・ブロムカンプ
  • 脚本:テリー・タッチェル
  • 音楽:ハンス・ジマー
キャスト
  • チャッピー:シャールト・コプリー
  • ディオン:デーヴ・パテル
  • ニンジャ:ニンジャ(ダイ・アントワード)
  • ヨーランディ:ヨーランディ・ヴィッサー(ダイ・アントワード)
  • ヤンキー:ホセ・パブロ・カンティージョ
  • ヴィンセント:ヒュー・ジャックマン
  • ミシェル:シガニー・ウィーバー
  • ヒッポ:ブランドン・オーレット