山崎貴がBRAVIA 9で「ゴジラ-1.0」を鑑賞「テレビはもう僕の知っているテレビではない」

ソニーのMini LEDバックライト搭載フラッグシップ4K 液晶テレビ「BRAVIA 9」が8月10日に発売される。独自のMini LEDバックライト制御技術により精緻な明暗表現が可能な「BRAVIA 9」は、“4Kブラビア史上もっとも明るいテレビ”だ。

映画ナタリーでは、山崎貴に自身が監督・脚本・VFXを担当した「ゴジラ-1.0」を「BRAVIA 9」で鑑賞してもらった。「すごいなと感じると同時に、テレビでここまでのハイクオリティだと困るな(笑)」と、劇場で作品を観てもらいたい立場として苦笑いする山崎。さらに6月1日に発売されたサウンドバー「BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)」も使用し、“家での最新の映画体験”を堪能した山崎が語る言葉とは。

取材・文 / 小澤康平撮影 / 小川遼

BRAVIA 9
BRAVIA 9

4Kブラビア史上最高の明るさ。独自の技術により圧倒的映像美を実現した、Mini LEDバックライト搭載のフラッグシップ4K 液晶テレビ。

  • 発売日:2024年8月10日(土)
  • 価格:オープン価格
  • サイズ:85V型、75V型、65V型
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BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)
BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)

360立体音響による臨場感のあるサウンドと、洗練されたデザインを両立したフラッグシップサウンドバー。

  • 発売日:2024年6月1日(土)
  • 価格:オープン価格
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山崎貴 インタビュー

「未知との遭遇」を観て「これは本当に起きたことなんじゃないか?」

──ソニーが発売するMini LEDバックライト搭載フラッグシップ4K 液晶テレビ「BRAVIA 9」で「ゴジラ-1.0」を観ていただきました。その感想の前に、まずは映像クリエイターを目指そうと思ったきっかけを教えてください。

子供の頃から怪獣映画などの特撮ものには惹かれていたんですが、決定的だったのは中学生のときに観た「スター・ウォーズ」や「未知との遭遇」です。こんなに衝撃的な作品を作ってる人たちがいるんだと思って、自分も映画の世界を目指したいと感じました。

山崎貴

山崎貴

──表現にはいろんな手段がありますが、なぜ映像に惹かれたんだと思いますか?

やっぱり動いているというのが大きかったです。一枚絵ではなく、時間によって変化していくことに心をつかまれました。「未知との遭遇」を初めて観たときは、頭では特撮で作られたものだとわかっているのに、あまりにも素晴らしいクオリティだったが故に「これは本当に起きたことなんじゃないか?」と錯覚したんですよ(笑)。映画体験という言葉がありますが、それが自分にとっては映画の原体験だったんだと思います。そんな感覚をほかの人にも味わってもらいたくて、それを仕事にできたらこんなに素晴らしいことはないと感じたので映像を選びました。

──「ゴジラ-1.0」でも観客に“体験”してもらうことは意識しましたか?

かなり意識してましたし、スタッフともそういう話はしていました。時期的に埼玉・西武園ゆうえんちのアトラクション「ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦」を作ったあとだったので、ゴジラが近くに来て対峙させられることの恐怖を改めて自分も感じていた頃だったんです。VFXという技巧を使ってゴジラの映画を作る以上は、着ぐるみを使った特撮とは違った体験をしてもらいたいと考えていましたし、そもそも長い歴史があるゴジラに乗っからせていただいている立場なので、お客さんに新しいものを感じてもらわないと申し訳ないなと思って。目の前に本当にゴジラが現れたような感覚を与えることで、本能的な恐怖を感じてもらいたくて、VFXがそこに貢献するようには作っていますね。

「ゴジラ-1.0」場面写真 ©2023 TOHO CO., LTD.

「ゴジラ-1.0」場面写真 ©2023 TOHO CO., LTD.

「ゴジラ-1.0」場面写真 ©2023 TOHO CO., LTD.

「ゴジラ-1.0」場面写真 ©2023 TOHO CO., LTD.

「色情報が物語を語るツールの1つになっている」

──2000年に「ジュブナイル」で映画監督デビューしたあと、「ALWAYS 三丁目の夕日」「STAND BY ME ドラえもん」シリーズや「永遠の0」「アルキメデスの大戦」、そして「ゴジラ-1.0」などを手がけてこられましたが、日本映画のトレンドはどのように変化してきたと思いますか?

ハリウッド的というか、広範囲のものがワンシーンに入っているような画が最近の邦画の特徴ではないかなと思っています。緻密な色調整によって、キレがよくてコントラスト比が高いキラッとした画が日本映画でも普通に見られるようになってきていて、我々としてはやれることが多くなって楽しいです。昔はハリウッドと日本では画のテイストが全然違ったんですが、今は邦画も階調が豊か。幸せなシーンはこんな色、悲しいシーンはこんな色みたいに、色情報が物語を語るツールの1つになっていることは、映画の作りやすさにもつながっていると思います。

──そういった表現ができるようになったのは、映画の制作現場があらゆる面で進化しているからでしょうか?

そうですね。一番大きいのは色空間(色を表現するための方法や範囲)が多様になったことだと思います。映画館にはドルビーシネマのような高度な表現が可能なシステムができているので、我々も作品に膨大な情報量を持たせることができるようになりました。「ジュブナイル」の頃は扱える情報量が少なかったですが、今は思わず目を細めちゃうくらいのまぶしさから、何も情報がない真っ暗という状態までを色空間の中で作ることができます。先ほど「BRAVIA 9」で「ゴジラ-1.0」を観ましたが、家でもここまで高いクオリティの映像を楽しんでもらえるんだと感じて、一生懸命作ったかいがありました。

山崎貴

山崎貴

──家での映画体験もどんどん進化していってますよね。

劇場で観てもらうように映画を作っている僕としては、半分厄介な話なんですけどね(笑)。僕らが伝えたいと思っているものを家でも受け取ってもらえるのはすごいことで、正直「これは劇場行かなくなるかも……?」と少し思っちゃいましたし、まぶしさの表現に関してはスクリーンよりも一歩進んでいる感覚すらありました。ブラウン管のような小さいテレビの時代って、劇場で観たものの確認だったんです。でも今は家で映画を観ることが豊かな体験だと言える。そういう時代になったんだなと、ひしひしと感じますね。