「BETTER MAN/ベター・マン」片寄涼太がロビー・ウィリアムスの人生に共感、 グループ活動で得る“かけがえのないもの”を語る (2/2)

心の中で何を見るかが大切であることを伝えるため、あえて主人公がサルになっているとも取れる

──本作ではロビーがサルの姿で描かれます。私の場合、最初は意識して見ていたんですが、だんだん気にならなくなりました。片寄さんはいかがでしたか?

最初はサルが主人公であることに違和感があったし、いつかは人間になるのかな?なんて勝手に考えながら観ていたんですが、だんだん自然に感情移入していって、まったくサルであることを意識しなくなっていました。あとから考えると、観客である僕らがいかに先入観を捨てて“心の中で何を見るか”が大切だと伝えるために、あえて主人公がサルになっているとも取れるなと思いましたね。

「BETTER MAN/ベター・マン」より、ロビー・ウィリアムス

「BETTER MAN/ベター・マン」より、ロビー・ウィリアムス

──片寄さんが試写でこの映画を観終わったあとは、いろいろな感情があふれてすぐに整理がつかないくらい感動したと聞きました。泣いたりもしましたか?

観たあとに撮影もあるので我慢しました(笑)。苦しいシーンもあって、涙なしでは観られない作品だと思ったので、ちゃんと泣けるときにもう1回観に行きたいですね。

片寄涼太

片寄涼太

メンバーと一緒に下積みを重ねた時間は、ロビーが経験したのと同じようにかけがえのないものだった

──ロビーが困難を乗り越えた瞬間が印象的に描かれていましたが、片寄さんが何かを乗り越えられたという経験で思い出すことは?

コロナ禍ではエンタテインメントや音楽が二の次になっていって、今までやってきたことができなくなる恐ろしさもあり、乗り越えなければいけない瞬間だったと思います。近いところで言うと、グループのメンバーが1人抜けて新体制になったときも大きくぐらついた瞬間ではありましたね。自分たちだけでは乗り越えられないことに直面したとき、いろいろな人の支えと協力、出会いが困難を救ってくれたと僕は感じています。

片寄涼太

片寄涼太

──映画では、ライブ前にロビーがやるおまじないみたいなものが描かれました。GENERATIONSでステージに上がる前のルーティンや決まりごとはありますか?

みんなで必ず円陣を組みます。あともう1人のボーカルである数原(龍友)くんとは、ステージに上がる前に、必ず軽いハグをしていますね。これは、やらないと落ち着かない。寝る前に歯磨きをし忘れたみたいな感覚になります(笑)。そのときどきで関係性も変わってきたけど、同じことを繰り返すことで、その行動がお守りみたいになっていく。僕と数原くんは、お互いに違うことを考えているシチュエーションもあると思うけど、独特な信頼関係があるんです。映画の中でステージに上がる前のルーティンみたいなものが描かれているのを見ると「ロビーが活躍していた当時から今の僕らに至るまで、こういうことも受け継がれているんだ」と改めて思いますし、話したいことがまだまだ出てきますね。

──ロビーもグループの解散によってメンバーと別れてしまったけれど、実際にはその後も一緒に活動したそうで、映画では仲間の大切さも描かれていましたね。

グループというものを続けていく難しさはもちろん知っていますし、グループでなくとも、同じ人とずっと付き合っていくのは簡単じゃない。何事も続ければその中には「別れ」の選択肢もあるのかもしれないと映画を観ながら感じました。でも僕が今の自分になったきっかけは間違いなくグループに入ったことにあって、若かりし頃にメンバーと一緒に切磋琢磨した時間や、下積みを重ねた時間が今を作っている。それはロビーが経験したのと同じように、かけがえのないものであったと思います。本作は、仲間との友情の在り方についても教えてくれる濃密な作品ですよね。

「BETTER MAN/ベター・マン」場面写真

「BETTER MAN/ベター・マン」場面写真

高音質の上映だとより“体験型”になる。今度はDolby Atmos®での上映に行ってみたい

──映像の撮り方やダンスシーンなども、エンタメ業界を目指してる人は観たほうがいいと思うような作品でもありました。

エンタテインメントの世界は輝かしいからこそ、裏には葛藤があると思います。本作には、そんな世界に入るにはどういった準備が必要かも繊細に描かれてるので、こういった世界に夢を持っている方の刺激になる作品だと思います。そして音楽映画やミュージカルの要素は思いっきり楽しみたいし、悲しいシーンでは思いっきり悲しみたい。いろいろな感情を引っ張り出してくれる映画だと思います。サントラを先に聴いてイメージしてから観にいくのも楽しいだろうし、観終わったあとにサントラを聴いて思い出すのも楽しいですよね。1つのイベント、エンタテインメントショーに行く感覚になれます。

「BETTER MAN/ベター・マン」場面写真

「BETTER MAN/ベター・マン」場面写真

──Dolby Atmos®での上映も予定されているんですよ。

僕が見せていただいた通常の上映でも音の素晴らしさが味わえましたが、さらに高音質の上映だとより“体験型”になると思いますし、ライブのシーンでは本当にライブの中にいるような感覚で映画を楽しめるでしょうね。すごく魅力的だと思います。僕ももう一度、今度はDolby Atmos®での上映に行ってみたいです。カメラワークや音楽とのハマり具合は何回観ても気持ちいいし、そこが本作の見どころの1つ。ぜひゾクゾクしながら、アトラクションのような気持ちで楽しんでほしいです。

片寄涼太

片寄涼太

プロフィール

片寄涼太(カタヨセリョウタ)

1994年8月29日生まれ、大阪府出身。2012年にGENERATIONS from EXILE TRIBEのボーカルとしてデビューし、2018年には初の単独ドームツアー、2019年には初の5大ドームツアーを実施した。俳優としては2014年のドラマ「GTO」でデビューし、映画「兄に愛されすぎて困ってます」「午前0時、キスしに来てよ」「貴族降臨 -PRINCE OF LEGEND-」や劇場アニメ「きみと、波にのれたら」に参加。「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」「病室で念仏を唱えないでください」「推しが上司になりまして」などの地上波ドラマにもレギュラー出演した。2019年には、マカオ国際映画祭と米Varietyが選ぶ“アジアの次世代スター8人”ことアジアン・スターズ・アップ・ネクスト・アワードに選出され、2021年にはWeibo Starlight Awardにて星耀名人堂と星耀人气全能艺人をW受賞した。