“普通の人じゃないな”って思わせるクセの強い役が好き(森)
──増元さんはクララ、森さんはフレデリックについてどんなキャラクターだと捉えてますか?
森 フレデリックは自分の中に秘密や葛藤があるけど、クララのことをすごく大事にしようとする思いもある。ひと筋縄ではいかないけど、視聴者目線で見ると「傷付けたくないな」「守ってあげたいな」って思っちゃう人。絶妙な表情をしてるんですよ。
増元 そう、いつも人生で自分が一番不幸だって顔をしてる(笑)。クララは自由奔放で、若いからこそいろんなことに興味を持つけど、普通だったらこの時代では許されなかったんだろうなって想像します。嫁ぎ先の家長であるフレデリックの言うことを当然聞くものだと思い込んで接すると、とんでもなく自由だし、全然後ろに下がらない。
森 グイグイ行きますよね。
増元 メイドのリーダーに「来週の献立を話し合いましょ」と意見を言ったり、自分からいろいろ人に分け与えたり発信したり。フレデリックからしたらちょっと危なっかしい存在なんだろうなと思いつつ、視聴者としては「いいぞ、もっとやれ」ってなる。
──ご自身が演じた役に対しては、共感できる部分はありましたか?
増元 僕は全然数字に強くないけど、フレデリックはおじいちゃんの血を受け継いで商売の才能がすごくある人なんです。トレンチャード家を大きくするためにいろいろな分野に手を出してるんですけど、僕はめちゃくちゃ安定主義というか、新たな分野に飛び出すのに奥手なので共感できるところはないかも(笑)。今の地位に甘んじないのはすごい。
森 クララがエラビー先生の仲間の家に遊びに行ったり、知らないことにとりあえずチャレンジしてみるっていうのには共感できます。私も舞台の世界から声優の世界に入るとき、勇気がいったんですけど「絶対やりたい」と思って飛び込んだので。でもクララよりはリスク回避ができると思います(笑)。
増元 (クララは)向こう見ずだもんなあ。
──そのほか好きなキャラクターを挙げるとすると?
森 「せーの」で指差そう。
森・増元 せーの! (森がエタニャック侯爵夫人、増元がエミリー・ダンを選択)
森 分かれましたね。エタニャック侯爵夫人はキャラがダントツで濃くて、しゃべり方も独特。“普通の人じゃないな”って思わせるクセの強い役が好きなんです。物語を引っ掻き回してくれる雰囲気がだだ漏れてる……!
──ほかの作品でもそういった“引っ掻き回す系”のキャラクターに惹かれがちですか?
森 好きになっちゃいますねー。
増元 僕はクララのお姉ちゃんのエミリー・ダン。“ザ・庶民の女性”というか、何に対しても嘘を感じない表情をするし、めちゃくちゃ等身大なんですよね。お母さんのダン夫人も含めていい。
森 ダン夫人かわいかったー!
増元 この2人とクララも入れた親子3人でのおしゃべりのシーンは、面白くてずっとニヤニヤしちゃう。
森 私、ダン夫人とエミリーと話してるときのフレデリックがすごく好きです。ちょっと押されている感じ。
増元 ははは(笑)。会話するのがすごく楽しかったです。
“うわさ”がお話をどんどん回していく(増元)
──ちなみに、お二人はイギリスに行ったことはありますか?
森・増元 ないです。
増元 「ハリー・ポッター」が好きなので、ロケ地を見てみたいなあという思いはあります。
森 私は、観光!って感じだけどバッキンガム宮殿とかに行ってみたいです。あとは、老舗のスーツテイラーやアートギャラリーなどが集まるメイフェアって場所も気になるな。さっき地図で見たら、ベルグレービアとめっちゃ近かったです。
増元 ベルグレービアってかなり中心なんだ。行ってみたいね!
森 楽しそう! すごいお屋敷とか見たいです。
増元 劇中にはクララとフレデリックが2人で散歩するシーンがあるけど、公園が近いんだよね。そこもどんな場所なのか行ってみたくなりました。
──本作と同じ原作者が手がけたテレビシリーズ「ダウントン・アビー」で英国歴史劇ファンは一気に増えたと思いますが、まだ観たことのない方にはどうお薦めしますか?
森 この時代を詳しく知らなくてもめちゃくちゃ楽しめるドラマです。細かくこだわって作られているから、ドラマを観ることによっていろんな階級の人たちの建物やお衣装、生活ぶりを学べます。あとは、貴族と言ってもうわさ話が好きだったり、持ち物をすごく気にしていたり、現代人と変わらないところもあるんだと感じられると思う。
増元 産業革命後の設定なので、貴族の力が若干弱まってきてるのも感じて、ただただ煌びやかというわけじゃないのが世知辛い。“うわさ”がお話をどんどん回していくじゃないですか。うわさを聞いたことが仕事の契約に関わってきたり、ロチェスター公爵家の世間に言えない事情とかを垣間見れるのって、日本のドラマで言うと「家政婦は見た!」シリーズの“人の秘密をのぞき見ちゃった”みたいな感覚なのかなと。
森 みんな何かしら秘密を持ってるし、お話が進んでいくにつれてちゃんと明かされるところも視聴者としてはすごくスッキリするので、ぜひ最後まで観てほしい。どんどん面白くなって、“あの人”と“あの人”の関係もわかっていくから!
増元 タイトル通り、“秘密”がこのドラマの一番の魅力なんじゃないかなと思います。
プロフィール
森なな子(モリナナコ)
2月13日生まれ、福岡県出身。2005年から2009年まで宝塚歌劇団で男役として活動したのち、2013年に声優の世界へ。テレビアニメ「キラキラ☆プリキュアアラモード」の剣城あきら / キュアショコラ役で注目を集め、テレビアニメ「メガロボクス」(白都ゆき子役)、映画「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」(リタ役)、劇場アニメ「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」(カガリ・ユラ・アスハ役)などに出演。2024年4月12日には劇場アニメ「クラメルカガリ」の公開も控えている。
森なな子 (@nanako.m0213) | Instagram
増元拓也(マスモトタクヤ)
3月19日生まれ、広島県出身。海外の映画、ドラマ、アニメの吹替版や日本のアニメに多数出演している。主な出演作にはスターチャンネルEX独占「80日間世界一周」(パスパルトゥー役)、映画「マリッジ・ストーリー」(チャーリー役)、スターチャンネルEX独占「フランク、アイルランドのダメ男。」(フランク役)、ゲーム「APEX LEGENDS」(クリプト役)、スマートフォンゲームアプリ「アイドルマスター SideM」(信玄誠司役)などがある。