また冒険に出かけられる、とわくわく
──滝沢さんがお好きだという美術や背景はいかがでした?
3DCGで立体的になったからなのか、物がたくさん置かれているシーンは空間や物の大きさがよくわかったし、パンのふわふわ具合も魅力的でした。映画を観ているというよりは、もう1つの世界をのぞき見している気持ちになりますね。太陽に照らされる緑など自然の表現は今回も好きでした。
──なるほど。“ジブリ飯”と呼ばれる食べものの描写は、スタジオジブリ作品の魅力の1つです。今回は料理を実際に作って、3Dスキャンしたデータに手描きで加筆修正をしたそうですが、料理好きな滝沢さんにとって本作の“ジブリ飯”の数々はどう映りましたか。
全部最高でした! 特にシェパーズパイが気になりますね。どんな味なんだろう? それと朝ごはんのベーコンエッグ、揚げ焼きパンもすっごくおいしそう。アーヤちゃんが揚げ焼きパンの調理に失敗して、ボーイスカウトが作ったものを手に入れて3人で食べているシーンには、マンドレークの言葉にならない優しさが伝わってきました。
──細かい描写からも想像が広がって、物語をより楽しめますね。「劇場版 アーヤと魔女」は滝沢さんにとってどんな作品になりましたか?
アーヤちゃんの絶対に投げ出さない姿が強く残っています。世界には“逃げる強さ”もありますが、彼女が目標を決めて成長していく姿が心に響きました。そしてやっと得たあのお姫様ベッド! アーヤちゃんは表面的には1人だけど、自分の中にもう1人の自分を見つけていろんなものに立ち向かっていった印象があります。私はもう大人ですが、逃げない強さを教えてもらえました。
──確かに、大人が観ても勇気をもらえる作品ですね。
もらえます! 昔ならキキさんや千尋さんの姿に「自分もこんな子になりたい」と夢を抱いていましたが、アーヤちゃんを見て「こんな強い子をいつか産みたい」と感じたので、自分の成長にもしみじみしちゃいました。
──どの世代の人も楽しめる作品だと思いますが、滝沢さんはどんな方にお薦めしたいですか?
10歳くらいの自分に声を掛けられるのであれば、その頃の自分に薦めたいです。主人公と同年代の頃にジブリさんの作品を観るのってすごく楽しいんです。自分の幸せを改めて確認できて、強く生きようという自信にもなるだろうな。ジブリさんのファンは発見と冒険の要素がお好きだと思うので、大人であっても子供に戻って楽しめるでしょうし、個人的にはここからジブリさんの作品がどうなっていくかが楽しみです。また重いリュックをしょって冒険に出かけられるのか、とわくわくしました。