知念英和、日野友輔、宮部のぞみ、庄司浩平が語る「仮面ライダーガヴ ファイナルステージ」 (2/3)

僕としては「子供に向けた番組をやっている」という意識が一番上にある(庄司)

──さて、次は1年間の放送を振り返ってのお話を伺いたいと思います。「ガヴ」のテレビ放送も終了しましたが、皆さんにとって、この1年はどんな年になりましたか?

知念 僕は役者として大きな転換期というか、人生180度変えてもらった1年でした。それはお芝居を学んだこともそうですし、こうしてキャストの皆さんと出会えたのもそうですし、今こうしてファイナルステージで日本全国、世界中からファンの方が集まるステージに立たせていただいていることも、ほかでは絶対経験できないことをさせてもらってるなと感じます。「仮面ライダー」のメインキャストというのは1年で数人しか選ばれない貴重な枠で、今回「ガヴ」で自分を選んでいただいたことは改めて光栄で誇らしいことだなと思っています。これからも役者として活動していく中でその誇りを忘れずがんばっていきたいですし、「ガヴ」という作品が僕たち演者にとっての「帰る場所」というか、ふるさととして大切にしていきたいですし、ファンの皆さんにもそんなふうに思っていただけるといいなと思います。

左から日野友輔、知念英和、庄司浩平

左から日野友輔、知念英和、庄司浩平

日野 そうですね。僕もこの1年で360度変わって……。

庄司 1周してるね。

宮部 戻って来ちゃった(笑)。

日野 僕、今まで「自分らしさ」みたいなものがわからなかったというか、俳優としての自分の武器がなんなのか探し続けていた時期が長かったんです。「ガヴ」では1年間1つの役に向き合うことで自分と向き合う時間も増えたので、そのぶん自分の個性というか、自分自身をより深く理解することができて、自分が役者としてどうなっていきたいかが今までよりもっと具体的に見えたんですよね。応援してくださる皆さんがこの作品をすごく愛してくれたことで、1年間掛けて作り上げてきた「自分らしさ」を肯定してもらったというか、背中を押してもらったので今後もがんばっていけると思います。いい意味で自分にとっての新しい出発点みたいな、そんな作品になりましたね。

庄司 そうですね。僕も「仮面ライダーガヴ」に関わって540度変わりましたね。

日野 やべえ。ナガシマスパーランドのジャンボバイキングくらい回ってんじゃん。

庄司 いやわかんねえよ、その例え(笑)。

日野 えー? ナガシマスパーランド知らんの?

庄司 いや、いいよもう(笑)。えーっと、「ガヴ」は子供たちがすごく観てくれてるなっていうのは撮影中も感じていて、ロケ場所の近くに保育園や幼稚園があったときは園児たちが手を振ってくれたり、オフのときに外を歩いていても「あ、ラキアだー!」って言ってくれる子や親御さんも増えて、コロナ禍ではそういうことができなかったので、うれしかったですね。役者という仕事の中で、小さい子供たちの成育に関わることって手段としてあんまりないんですよ。番組などで外側から関わるか、もしくは教育や育児の専門チャンネルに出るとか、細かく言えばいろいろあるけど、芝居や物語を通して子供たちに楽しんでもらえることはなかなかない。そんな機会を僕は2回ももらって、「ガヴ」はそのことをよりきちんと実感できる機会だったなと思います。特撮ヒーロー作品は大人のファンもたくさんいて、それは歴史を引き継いでいくという意味でいいところでもあるんですが、僕としてはやっぱり「子供に向けた番組をやっている」という意識が一番上にあるので、「ガヴ」を観た子供たちがちょっとでもいいから、いい影響をもらってくれていたらうれしいなと思います。

──庄司さんはキャストコメントなどでもいつも大人のファンに向けたメッセージとは別に、優しい言葉でお子さんに向けた平仮名でのメッセージも書かれていますよね(参照:「仮面ライダーガヴ」第3のライダーに変身するのは庄司浩平、新ビジュアルも解禁)。ああいう部分に庄司さんの「お子さんが観るものに携わっている」という当事者意識の高さを感じます。

日野 英語を勉強しすぎて漢字忘れちゃったってことでしょ?

庄司 そうなんですよ、実はね。思い出せないんですよー。

日野 言ってくれれば手伝うのに!

今では私服のコーデに色を入れるのも好きになりました(宮部)

宮部 あーもう(話が)進まない進まない(笑)。私は自分が幸果役に選ばれたときに、うれしさもありましたけど「なんで私なんだろう」っていう不安のほうが大きかったんです。でも普段の自分と180度違う役を1年間演じ切ったとき、これまでとは全然違う自分を見つけることができたと感じて。もともとけっこう「自分なんて……」ってなっちゃうタイプなんですが、今では「もしかして自分ってなんにでもなれるんじゃないか!?」みたいなふうにも思えたりして。自分自身すごく変わることができたし、可能性を広げられた1年でした。

左から日野友輔、知念英和、宮部のぞみ

左から日野友輔、知念英和、宮部のぞみ

──宮部さんは普段のファッションもまったくギャル系ではなかったんですよね。一方で、テレビ放送では幸果のギャルファッションは性別を問わずたくさんの視聴者から支持を得ていました。それは、幸果がいわゆる「愛され」や「男性ウケ」のためではなく、幸果自身が気に入っている、あるいはテンションを上げたいから着ているという感じが宮部さんの着こなしから伝わっていたからかなと思うのですが、1年間ギャルファッションを着てみていかがでしたか?

宮部 ありがとうございます! 幸果の服やヘアアレンジ、かわいいですよね! 私は「ガヴ」の撮影に入る前までは例えば花柄のワンピースとか……もちろんそういうのも今でも好きではあるんですけど、言ってしまえば当たりさわりのない、万人受けするような格好を無意識にしていたり、自分が好きかどうかよりも清潔感が一番大事だよね、みたいな感じで服を選びがちだったんです。でも幸果を演じてみて「幸果がこの服が好きだから着てるんだな」っていうのをすごく感じて、私自身も他人がどう思うかよりも、自分がかわいいと思ったら着る!というマインドになったんです。そしたら「これちょっと着るの勇気いるな」みたいな感じでクローゼットに入りっぱなしになっていた服も全部「でも、これと合わせたらかわいいんじゃない?」と工夫して着られるようになったので、「ガヴ」が始まる前と今とでは見た目が本当に違うと思います。

日野 確かに言われてみればそうだわ。撮影に入る前のアクション練習がはじめましてだったけど、そのときは今と全然違ったよね。黒髪だったし。

──宮部さんの中で「かわいい」と思うものの種類が増えたんですね。

宮部 増えましたね。今まではかわいいものと自分が着るものは別って考えだったんですけど、今はもう「かわいい! じゃあ、今日着よう!」って感じですね。

知念 普段の服の色味も派手になったよね。

宮部 そう! コーデに色を入れるのもすごく好きになりました。

庄司 サッチー(幸果)の衣装で俺が好きなのは、24話のブリザードソルベ登場回で着てた服かな。水色のセットアップにカットデニムを合わせてたやつ。

宮部 ああ! あの分割されてるデニムかわいいよね!

日野 俺も現場でちょくちょく「今日の衣装かわいいね」とか言ってたよね。