映画「
本作の主人公は、亡くなった父の借金を返済し、難病を患う母・麻美の介護をしながら昼夜働く青年・風間彩人。弟・壮平も同じく借金返済と介護を担いながら、亡き父・亮介の背を追って始めた総合格闘技の選手として日々練習に明け暮れていた。息の詰まるような生活にむしばまれながらも、彩人は恋人・日向との小さな幸せをつかみたいと考えている。しかし彩人の親友・大和の結婚を祝う宴会の夜、彼らのささやかな日常は思いもよらぬ暴力によって奪われる。
彩人役の磯村は、公開を迎えた今の気持ちを尋ねられると「昨日から無事に公開が始まり、こんなにたくさんの方に観ていただけたことを我々もすごくうれしく思います」と感慨深げな様子。続けて「初めて脚本を読んだときに、この作品の物語がすごく好きだと思いました。内山監督の作家性に惹かれた部分もありますが、過去に理不尽なことなどを経験してきた自分だからこそ『若き見知らぬ者たち』の持つテーマと共鳴したんだなと。彩人を体現しながら、自分の中に溜まっているむしゃくしゃしたものを吐き出しました」と述懐した。
内山は「世の中に見過ごされている人は必ずいる。主人公が背負っているものを全員で交代していく“交代劇”を作りたいと思っていた。それは今の時代に何か結び付くようなものがあるんじゃないかと」と本作に込めた思いを語る。日向に扮した岸井は、リハーサルなしの本番というスタイルで撮影が行われたことを「(とある場面で)見たままの感情をさらけ出せたのはすごくありがたかった。我慢している感情がひたひたの状態でお芝居できたのはやりやすかったですね」と回想した。
約1年間のトレーニング期間を経て撮影に臨んだ福山。総合格闘技の試合シーンは7分間の長回しで撮影されたと言い、「肉体で語るべきシーンがとても多い。兄、亡き父、母、そしてヒナちゃん(日向)のことを思いながら拳や脚に宿す。単純に総合格闘技をうまくやるのではなく、その技術と同時に思いをぶつけていく作業が大変でした。1年間は長いようで短かったです」と述べる。磯村は「こっそり試合シーンを見に行って応援していました。感動しちゃった」と明かした。
イベントでは本作のタイトルにちなみ、MCから「まだ“名もなき見知らぬ若者”だった頃に抱いていた夢は?」とお題が投げかけられた。磯村は「ずーっと役者をやりたいと思ってきた。そこからまったく逸れることなく、まっすぐ役者を目指していました」と語り、岸井は「3階建ての家に住みたい(笑)。小さい頃は夢のマイホームを絵に描いてました」と頬をゆるませる。染谷は「ジャッキー・チェンになりたかった。彼が好きで映画を観るようになった。でも、あるときに『ジャッキー・チェンにはなれないな……』と気付きました。いつかジャッキー・チェンと共演したいですね」と期待を込めた。
「若き見知らぬ者たち」は全国で上映中。
おおとも ひさし @tekuriha
「若き見知らぬ者たち」磯村勇斗の夢は役者一筋、染谷将太はジャッキー・チェンと共演したい - 映画ナタリー https://t.co/clC25qcb5E