「花腐し」が日プロ作品賞獲得、特別功労賞の藤竜也は「表現者として後悔したくない」

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第33回日本映画プロフェッショナル大賞の授賞式が本日7月6日に東京・テアトル新宿で行われ、「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」で新人監督賞に輝いた金子由里奈、特別功労賞を受賞した藤竜也らが登壇した。

左から藤竜也、徳井優。

左から藤竜也、徳井優。

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第33回日本映画プロフェッショナル大賞授賞式の様子。前列左から佐藤現、光石研、菊地凛子、藤竜也、荒井晴彦。後列左から大高宏雄、田辺隆史、金子由里奈、佐伯俊道、井上淳一、有重陽一。

第33回日本映画プロフェッショナル大賞授賞式の様子。前列左から佐藤現、光石研、菊地凛子、藤竜也、荒井晴彦。後列左から大高宏雄、田辺隆史、金子由里奈、佐伯俊道、井上淳一、有重陽一。[拡大]

1992年に創立された日本映画プロフェッショナル大賞は、プロデューサー、映画監督、脚本家、新聞記者、映画評論家、映画ジャーナリスト、ミニシアター支配人、映画宣伝担当者ら選考委員の投票と、実行委員会の独自の評価により決定される賞。作品賞には、荒井晴彦が監督を務めた「花腐し」が選ばれた。

「花腐し」プロデューサーの佐藤現。

「花腐し」プロデューサーの佐藤現。[拡大]

さとうほなみ

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受賞の盾を受け取ったプロデューサーの佐藤現は「荒井さんと中野太さんから脚本を送っていただいたのが2019年の秋。一読したとき、変わりゆくもの・失われていくものへの鎮魂というか、荒井さんが生きてきた映画界に捧げるレクイエムのようなものだと感じました」と当時を回想し、「素晴らしい俳優陣が全身全霊で命を吹き込み、荒井組を支えてきた映画界の匠のようなスタッフ陣が具現化してくれた作品が、プロフェッショナルな皆さんに選んでいただいたことをうれしく思っています」と述べる。同作で新進女優賞を獲得したさとうほなみからはビデオメッセージが到着。彼女は「私にとっては長年の恩師、家族のような存在の荒井監督とこの作品で出会えたことがうれしいです。また皆さんのお目にかかれるように真摯にがんばっていきたいと思います」と笑顔で語った。

左から金子由里奈、真魚。

左から金子由里奈、真魚。[拡大]

大前粟生による同名小説を映画化した「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」では、大学のぬいぐるみサークルを舞台に、“男らしさ”“女らしさ”のノリが苦手な七森、彼と心を通わせる麦戸、そして2人を取り巻く人々の姿が描かれた。金子は「1回しかない新人監督の時期にこの賞をいただいて、これからも映画を撮っていこうと背筋が伸びる思いです」と話す。続けて「『ぬいしゃべ』は2年前ぐらいに撮影したんですが、今もバイトを辞められないし、映画をどうやったら撮れるのかともがいている段階。新人監督やインディペンデント映画がもっと充実した資本で製作できるようになってほしいなと思います」と切実な思いを口にした。花束プレゼンターを担った同作のキャスト・真魚は「これからも金子さんの撮りたいものを撮ってください!」とメッセージを送った。

藤竜也

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藤には、主演作「高野豆腐店の春」での演技と長年の功績に対して特別功労賞が贈られた。舞台上に登場した藤は「こういう賞を私がいただいていいものか……それほど功労した覚えがないんですが。私のおぼつかない足取りをこういう形で認めてもらえるというのは非常に幸運だと思います」と謙遜しつつ、「次回は現役の香りがする俳優賞をぜひいただきたいと思います」と言い、観客の笑いを誘った。同作に出演した徳井優は「心に残っている藤さんの言葉は『表現者として後悔したくないんだ』。ご迷惑かとは思いますが、またご一緒させてください」と声を張った。

佐伯俊道

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荒井晴彦

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また、特別賞は「福田村事件」の製作チームが受賞し、脚本を手がけた佐伯俊道、井上淳一、荒井が登壇。佐伯は「どこへ行っても『ゴジラ-1.0』に負けていたもんですから、竹槍ではゴジラを倒せないのかと思っていましたけど、一矢を報いることができた感じがします」とコメントする。荒井は、本作がミニシアター作品としては異例のロングランヒットを記録したことに言及し「これで年を越せると言ったミニシアターの支配人たちがいたと聞いて、いいことをしたんだなと思いました」とはにかんだ。また井上は「脚本賞もぜひ作ってください」と選考委員らに呼びかけた。

第33回日本映画プロフェッショナル大賞の結果は以下の通り。

イベントレポート
イベントレポート

第33回日本映画プロフェッショナル大賞 受賞結果

ベストテン

1位「花腐し」
2位「福田村事件」
3位「ほかげ」
4位「愛にイナズマ」
5位「アンダーカレント」
6位「渇水」
7位「市子」
8位「PERFECT DAYS」
8位「正欲」
10位「リバー、流れないでよ」

作品賞

「花腐し」

主演女優賞

菊地凛子「658km、陽子の旅」

主演男優賞

光石研「逃げきれた夢」
松山ケンイチ「ロストケア」

監督賞

荒井晴彦「花腐し」

新人監督賞

金子由里奈「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」

新進女優賞

さとうほなみ「花腐し」

特別賞

「福田村事件」製作チーム

特別功労賞

藤竜也(「高野豆腐店の春」および長年の功績に対して)

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金子由里奈 @okomebroccoli

🍉ピアスつけてたけど耳隠れてる🍉 虐殺反対 https://t.co/RIv0BWQUy3 https://t.co/CLo7yUEqPZ

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