長屋紳士録
ナガヤシンシロク
上映時間:72分 / 製作:1947年(日本) / 配給:松竹=松竹大船
解説 太平洋戦争後の映画界では軍部による統制が解かれ、軍政批判の題材を取り上げる映画作家が続出したが、小津はそんな風潮には迎合せず、サイレント期の「出来ごころ」「浮草物語」「東京の宿」などの坂本武を主人公とした“喜八”ものを取り上げた。だがここでは喜八本人はむしろ脇役で、相手役の“かあやん”が主人公となっている。荒廃した焼け野原の東京を舞台に、親にはぐれてしまった子供が長屋に連れて来られる。人々はグチをこぼしながらも次第にその子供と情が通じるようになり、やがてその子は長屋になくてはならない人気者になる。しかしある日子供の父親が姿を現した……。ほのぼのとした人情とユーモアにあふれる作品であり、小津安二郎監督の作品のなかでも、最も温かい感情に満ちた一編と言える。笠智衆ら長屋の連中が酔っぱらって“のぞきからくり”の口上を歌いはじめるシーンのにぎやかな盛り上がりは抱腹絶倒もの。
スタッフ |
監督:小津安二郎 |
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キャスト |
おたね:飯田蝶子
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