「ヲタクに恋は難しい」完結記念インタビュー | 「続けてこれたのは読者さんの支えのおかげ」と語るふじたが、今だから明かす「ヲタ恋」で描きたかったこと

樺倉と光に関することはもうフレーバーだから(笑)

──では読者さんからの最後の質問です。「樺倉先輩が光くんが女と気づくのはいつですか?」……この質問、かなり多かったです(笑)。

……別に気付かなくていいんじゃないですかね。樺倉が光のことを女だって気付かなくても何も問題ないですし(笑)。それにもし気付いても、樺倉は静かに「えっ」って動揺して、「まあ、そうだなあ。女の子だしなあ」ってしれっと話を合わせると思いますね。普通に知ってたけど?みたいなテンションで(笑)。花子だけが「こいつ知らなかったな」って気付いてるみたいな。

──では気付く日は来るかも知れないし来ないかも知れない(笑)。

想像におまかせします(笑)。でもこういうのを気にするんだなって、私も検索しててちょっと意外でした。樺倉と光に関することはもうフレーバーだから気にしなくていいのに(笑)。

──フレーバー(笑)。

直接的な絡みがあってもなくても特に問題がない2人なので。それに光からしたら樺倉にグイグイ来られても困るだろうし。樺倉は仲良くできるって思ってそうだけど、光は絶対ムリって思ってますね(笑)。

──本編で見られない絡みだからこそ気になるのかもしれないですね。

そうですね。そこは読者さんの中で好きに想像していただけたらいいなと思います。伸びしろを残した、ということにしておいて頂ければ(笑)。

いいタイミングだったのかなって思います

──「ヲタ恋」はスピンオフを描くという予定と聞いてますが、今後については何か決まっているんでしょうか?

ふわっとお気持ちだけはあるというか……(笑)。担当さんからは、本編の時系列では描けないこととか、やりたかったけど描けなかったところを、時系列とか関係なく描いてほしいと言ってもらって。私も機会を与えてもらえるなら描きたいですけど、ちょっと休んでからかな(笑)。やりたい気持ちはあるよっていう感じですね。ただしばらくは充電タイムですね。映画観たり、ゲームしたり、充電期間を設けたいです。

──では新作は出てくるまでのお楽しみということですね。

続きが思いついて、面白いものがあったらいつでも描くと思います。あとは一迅社さんが載せてくれたらいいなと(笑)。贅沢なお話ですけどね、自分がやりたいときに描くなんて。本当にありがたいです。

──みんなのわちゃわちゃをもっと見たいっていう読者の方は多いとは思うので、完結に対する寂しさはあると思います。

「ヲタクに恋は難しい」最終話より。

次で最終回だよって発表があったとき、けっこう悲しんでくださって。本当はいつもどおりのほのぼのギャグ回にしようと思って、なんでもない日常みたいな感じで終わりたいなと思ってたんですけど、これで日常回やったら怒られるなと思って(笑)、ちゃんと終わらせることにしたんです。

──読者さんからするとずっと続くもんだと思ってたみたいなところがあったのでは。

まあ日常回みたいなものは続けられるとは思うんですけど、似たようなことの繰り返しになっちゃうと間延びするだけだと思うので、いいタイミングだったのかなって思います。

──最近はオタクもだいぶオープンな存在になってきてて時代は変わってきましたしね。

そうなんですよ!(笑) 私たちが学生のときと今の若い子たちって「オタク」の言葉の重さが全然違うんですよね。昔はマイナスのイメージが強かったですけど、今のオタクの人たちって普通に小綺麗ですし、何が恥ずかしいのか若い人たちにはわかんないんじゃないかなと。「ヲタ恋」のテーマ自体を変えることはできないけど、時代の変化みたいなものは無視できないですし。

──そういう意味でも、完結のタイミングがよかったのかも知れないですね。

あと1年遅かったら、この最終話は描けなかったかも(笑)。

ふじた
2014年からpixivで「ヲタクに恋は難しい」を公開したのち、comic POOLにて連載。ダ・ヴィンチ(KADOKAWA)による「次にくるマンガ大賞2014 本にして欲しいWebマンガ部門」で1位に選ばれた。また2015年に「このマンガがすごい!2016」オンナ編で1位を獲得。「ヲタクに恋は難しい」の最終11巻は10月14日に発売される。