高橋李依が語る「異世界ブラック・ジャック」|「ブラック・ジャックが俺TUEEEしてる!」

「『火の鳥』のイメージで」と言われた曲がある

高橋李依

──「ブラック・ジャック」以外ですと、読んだことがある手塚作品はありますか?

身近な存在には感じつつ、ちゃんと手に取ったことはないんです。ちょっと男性向けなのかな?って気持ちがあって。あと、すごくたくさん作品があるので、どれから読み始めたら自分の趣味に合うかもわからなくて。

──興味はあってもちょっとハードルが高く感じてしまっていたと。

そうですね。私、イヤホンズというユニットで音楽活動もしているんですけど、「未来泥棒」という楽曲のレコーディングのとき、「この曲は『火の鳥』のイメージで歌ってほしい」と言われたんですよ。壮大な感じとか、宇宙を旅している感じとかをイメージしてほしいと。そのときもプロデューサーから「火の鳥」すごく面白いよって教えていただいたんですけど、実際本屋に行ったら○○編というのがいっぱいあって、結局どれから読めばいいのか……(笑)。

──なるほど(笑)。テヅコミは、そんな“手塚マンガ初心者”の方にも手に取っていただきたいという思いで作られているそうです。特に創刊号では「はじめての手塚治虫」という特集が組まれていて、アンケートをもとに選ばれた“最初に読むべきオススメ3大・手塚作品”が紹介されているんです。それこそ「火の鳥」も、冒頭部分を読むことができます。

武礼堂「新約・リボンの騎士」より。
高橋李依

あ、手塚先生のマンガも載ってるんですね! いただいた創刊号、まだじっくりとは読めていないんですけど、この「リボンの騎士」の雰囲気がすごく好きでした。

──武礼堂さんの「新約・リボンの騎士」ですね。女性だけど、ある事情から性別を隠して王子のフリをしている主人公・サファイアの物語です。「新約」では原作の設定を踏襲しつつも、百合マンガっぽい要素が加えられていたり、“もう一人のリボンの騎士”というミステリアスなワードが登場したり、現代風のアレンジが加えられています。

絵もかわいいし、そういうの好きな人いっぱいいると思います。女の子だけど王子のフリをしているという主人公の設定が、すごく現代的ですよね。そういうキャラクターをだいぶ昔に描いていらっしゃったかと思うと、手塚先生はすごく未来を生きていらっしゃったんだなと感じます。

──原作の「リボンの騎士」は、もともと少女マンガ誌に連載されていた作品なので、そういう意味でも高橋さんにとって入りやすい作品かもしれません。

また武礼堂先生の描くこの主人公が、女の子にも見えるし男の子にも見える、絶妙なかわいさとカッコよさを兼ね備えていて、よかったです。原作は知らない私でも、続きがすごく気になりました。アニメ化したら、ぜひ私に(声を)やらせてください(笑)。

スバルの心臓を解剖して調べてほしい

──高橋さんは声優として、さまざまな異世界で暮らすキャラクターの人生を追体験されてきたと思うのですが、もしご自身が異世界に行くとしたらどんなところがいいですか。

行きやすいのは「このすば」の世界かも知れませんね。ちゃんとギルドがあるところがいいです。魔物がいても、街から出なければ安心だよっていうところ。特殊能力とかいらないので、普通に生活させてもらえたらと思います。冒険は……しなくてもいいかな(笑)。

──逆に、ブラック・ジャックがやってきたら面白い異世界はどこだと思いますか?

えー、どこでしょう? 奇跡のコラボですよね(笑)。私が演じてきたアニメだと……「リゼロ」で、(主人公の)スバルが死ぬところに立ち会ってほしいです。それで、彼がなぜ死んだのか、心臓がどうなっているのか、解剖して調べてほしい。

高橋李依

──解剖(笑)。でもちょっと見てみたいですね。そういう異世界ものに医者が出てくるイメージってあまりないですし。

確かに、ちょっとした傷なら魔法とか、体内のマナの流れとかを使って治しちゃいますよね。どちらかというと病気より、呪いとかで床に伏している人が多いかも。ブラック・ジャックみたいになんでも治せる人が、呪いに直面したときにどうするのか興味があります。

──原作の「ブラック・ジャック」でも、彼は犬やシャチといった動物はもちろん、宇宙人やコンピュータまで治していますからね(笑)。高橋さんにも、「異世界ブラック・ジャック」をきっかけに原作の「ブラック・ジャック」に興味を持ってもらえたらうれしいです。

この機会にちゃんと読みたいと思いました! テヅコミも絵柄のジャンルが幅広くて、年代を問わないですよね。歯医者さんとかの待合室に置いてあるとぴったりな感じ。原作を知らないお子さんも読めるし、もちろん原作を知っているご年配の方も読めるし、我々のようなオタク世代でも楽しめるし、好きなマンガが必ず見つかるんじゃないでしょうか。テヅコミを読んで、気になったものから原作も読んでみたら、2倍楽しめますよね。私も「リボンの騎士」から読み始めてみたいなと思います。

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高橋李依(タカハシリエ)
2月27日生まれ。埼玉県出身。主な出演作に「からかい上手の高木さん」の高木さん役、「魔法つかいプリキュア!」の朝日奈みらい / キュアミラクル役など。異世界もの作品では「Re:ゼロから始める異世界生活」(エミリア役)、「この素晴らしい世界に祝福を!」(めぐみん役)、「ナイツ&マジック」(エルネスティ・エチェバルリア役)、「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」(ゼナ役)に出演し、いずれも主役級キャラを担当。「異世界チート魔術師」でも吾妻凛役を演じる。