コミックナタリー Power Push - 「スーパーマリオくん」
祝!50巻発売 “まだやってる”マリオくんと沢田ユキオの25年間
25年間もレンガを叩き続けてたらもうボロボロだろうなって
──今の沢田さんを見てると70歳からの新連載、全然ありえるんじゃないかなと思うんですが。
いやあ、体力的な問題はありますよ。今まで3日で描けてたものが今は1週間かかるとか。やっぱり30代、40代の頃とは違うので。ちょっとやったら疲れちゃうんですよね。
担当編集 と言いつつ、今月4本描いてますからね。
──4本!?
ページはちょっと手加減してもらってるんですけど、数でいうと4本ですね。まだ終わってないんですけど……(担当に向かって)もうおかしいでしょ!?
──あははは(笑)。
おかしいでしょっていつも言うんですよ。全然休んでないですよ、夏から。今思い出してちょっとムカッとしてきた。編集部の人はみんな夏休み取ってるのに。
──思わずクレームが(笑)。
担当編集 でもやりたいっておっしゃったのは沢田さんなので。「スーパーマリオッさん」も。
──次号のコロコロアニキに掲載される番外編ですね。予告カットでは哀愁ただようマリオくんの姿が描かれてましたが……。
「マリオッさん」っていうタイトルが面白いなって思ったんですよ。いつかはね、そういう手が痛い、肩が痛い、腰が痛いっていうマリオを描きたいなって思ってたんです。25年間もレンガを叩き続けてたらもうボロボロだろうなって。でもそれも「マリオくん」の中でちょっとネタにするぐらいのことしか考えてなかったから、今回実現するとなって、えらいことになったと思いながら必死にネームを描いてます(取材は10月上旬)。しかも彼(担当)が、予告カットの煽りで「衝撃作が」とか書くんですよ。「25年経ったマリオは何を思う?」「この衝撃作に日本中が震撼する」とか。それを見て「えっ、みんな何を期待してるんだろう!?」って考えちゃって。
──タイトルといい、あの哀愁ただようマリオの姿といい、何より25年間連載を続けてきた沢田さんが描く「スーパーマリオッさん」ですから。気になりますし、期待しちゃいますね。
期待されるのが嫌なんですよ、何もないのに。
──いやいや(笑)。
担当編集 でも1回目のネームは本当に衝撃作でしたけどね。
それは「衝撃作」って書くからだよ。頭にね、彼が書いた「衝撃作」っていう文字がずっとあったから、何か衝撃的なことを描かなきゃいけないのかなと思って。だいぶ前の話なんですけど、身内に不幸があったときに自分の体の調子もおかしくなったことがあったんです。そのときの実体験を交えて描いてみたら、担当さんに「ちょっと重すぎる」と言われまして(笑)。まあいろいろ考えていつものノリでもいいのかなと。ただコロコロアニキだからいつもより読者層が上なんですよね。そういった方にも楽しく読んでもらうためにどんなストーリーにしようかな、と今は模索しているところです。
眠れない夜が続きます
──絶賛執筆中という感じでしょうか。
いや、その前にまだ2、3本描くものが残ってるんです。しかもその間に娘の結婚式があるんですよね。
──えっ! おめでたいことばかりですね!
そうなんですよ。本当に大事な時期で。結婚式の4日後くらいに50巻が発売されることになると思います。
──本当に記念すべき1年ですね。
でも結婚式の前後1日は仕事できないと思うんですよね。たぶん泣いたりするし。
──(笑)。気持ちの切り替えが必要になりますもんね。
そう。だからここは仕事入れちゃダメよって自分で思ってはいるんですけど(笑)。そうなると仕事のスケジュールも厳しかったりするので、難しいところですね。ネームの合間にモーニングの試着に行ったりしてます。
──いろいろとお忙しい時期で。
そうなんですよ。でもいいことが続くのでそれはいいかなと。大変ですけどね。まだまだ眠れない夜が続きそうです(笑)。
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連載25周年を迎えたゲームギャグの金字塔、50巻の大台に!
記念巻だけに、マリオたちのボケも大加速!
「スーパーマリオ3Dワールド」の舞台で、ますます自由に暴れ倒すぞ~!
幻の未収録原稿「スーパーマリオRPG編」の前編も掲載だ!
「スーパーマリオくん」の主人公・マリオが、これまでの軌跡を振り返る! 沢田ユキオによる哀愁ゲームギャグ「スーパーマリオッさん」を収録。また沢田のインタビューも掲載される。そのほか同号では藤子不二雄(A)を大特集。「忍者ハットリくん」などの名作の再録に加え、20名の著名なマンガ家たちから寄せられたトリビュートイラストを公開するほか、人気アプリゲーム「パズル&ドラゴンズ」のコラボ企画も予定されている。
沢田ユキオ(サワダユキオ)
1953年生まれ、大阪府出身。1980年にテレビランド(徳間書店)にて「のってるヒーローくん」でデビュー。代表作に「スーパーマリオくん」「オレだよ!ワリオだよ!!」(小学館)、「スーパーマリオブラザーズ2」(徳間書店)など。