コミックナタリー Power Push - 「スーパーマリオくん」

祝!50巻発売 “まだやってる”マリオくんと沢田ユキオの25年間

「どうやって描いてるのかな?」と思ったら後輩に電話する

──25年間のあいだに、コロコロコミックにもいろいろと変化があったんじゃないかと思います。

変わりましたね。仲間がどんどん少なくなっていくなあ、と思ったり(笑)。なんだか不思議な感じがしますね。自分はずっと「マリオくん」を描き続けているのに、周りはどんどん変わっていくっていうのは。でも笑いとド迫力みたいな、基本的なコロコロらしさが変わってなければそれでいいのかなと思いますよ。昔のほうがいいってことでもないので。

──沢田さんはほかの作家さんの作品も読まれたりするんですか?

読みます、読みます。新年会とかで交流することもあるので、そういうときに作品のお話もしたりしますからね。できるだけ読むようにしてます。

──若い作家さんから刺激を受けることもあるんでしょうか。

沢田ユキオ

あるかもしれないですね。新人さんに限らずですけど、「ああそうか、こんな描き方もあるのか」っていう発見は常にあります。みんな本当に絵が上手だし、これどうやって描いてるのかなって思ったら直接聞いたりもする。以前ひじおか誠さんに「見開きのノドの部分は何mm空けてるの?」って電話で聞いたんですよ。自分で描いてるうちに何mmが一番適当なのかわからなくなってきたから。

──初歩的な質問を(笑)。

初歩的なんですけどね。雑誌を開いてみたときに、自分のページが変にズレてたりすることがあったから、急に気になっちゃって。ひじおかさんがうまく描かれてるなと思ったから電話して聞いたんですよ。そしたら「沢田さんにそういうことを聞かれるなんて思いませんでした」って驚かれてね。

──まさか大先輩の沢田さんからそんな質問をされるとは思わないですよね。

「いや、君のが一番自然に見えたから」って(笑)。結局教えてもらった12mmぐらい空けるのが一番ちょうどいいなって思ったので、今もそうしてます。変にズレてる奴がいたら教えてやりたい。

──ははは(笑)。「12mmがいいぞ」って。

「お前もうちょっと空けたほうがいいぞ」って(笑)。

70歳から新連載を

──ずっと「マリオくん」を描き続けているうちに、まったく別の作品を描きたくなったりすることはないんですか?

そうなんですよ、それが……あるっていうか……あるんですけど。「マリオくん」の連載が終わってからやろうと思ってたら、「マリオくん」が終わらない。

──(笑)。

一度編集部のほうにも違う作品が描きたいって言ったことがあるんですよ。そしたら「描いてもいいけど『マリオくん』描き終わってからやってくださいね」って言われて。

──「マリオくん」と並行して描くならいいよ、と。

沢田ユキオ

当時は描くスピードも速いわけではなかったので、そんなのできるわけがないじゃないかと思って(笑)。今だったらできるかもしれないけど、今度は体力が追いつかなくなった。だから「マリオくん」の連載が終わってから描きたいなと思っているものはいくつかありますよ。

──おお。

でも中にはそのネタを「マリオくん」の中で消化しちゃったものもあるんですよ。内容的に使えるかなっていうものは。けど別で描きたいと思っている作品は密かにあるので、「マリオくん」が完結してから少し体力が残っていて、描かせてくれるところがあれば描きたいかな。70歳ぐらいから新連載を始めて……いや、無理だな(笑)。

沢田ユキオ「スーパーマリオくん(50)」 / 2015年10月28日発売 / 463円 / 小学館
沢田ユキオ「スーパーマリオくん(50)」

連載25周年を迎えたゲームギャグの金字塔、50巻の大台に!

記念巻だけに、マリオたちのボケも大加速!

「スーパーマリオ3Dワールド」の舞台で、ますます自由に暴れ倒すぞ~!

幻の未収録原稿「スーパーマリオRPG編」の前編も掲載だ!

「コロコロアニキ」4号 / 2015年11月14日発売 / 590円 / 小学館
「コロコロアニキ」4号

「スーパーマリオくん」の主人公・マリオが、これまでの軌跡を振り返る! 沢田ユキオによる哀愁ゲームギャグ「スーパーマリオッさん」を収録。また沢田のインタビューも掲載される。そのほか同号では藤子不二雄(A)を大特集。「忍者ハットリくん」などの名作の再録に加え、20名の著名なマンガ家たちから寄せられたトリビュートイラストを公開するほか、人気アプリゲーム「パズル&ドラゴンズ」のコラボ企画も予定されている。

沢田ユキオ(サワダユキオ)
沢田ユキオ

1953年生まれ、大阪府出身。1980年にテレビランド(徳間書店)にて「のってるヒーローくん」でデビュー。代表作に「スーパーマリオくん」「オレだよ!ワリオだよ!!」(小学館)、「スーパーマリオブラザーズ2」(徳間書店)など。