「ピッコマノベルズ大賞」が大幅リニューアル!応募者ファーストな“旨み”を運営陣が赤裸々トーク (2/2)

すべての作品にフィードバック「創作を続ける糧になれば」

──では実際に審査を通過した後は、どのようなスケジュールで連載が始まるのでしょうか?

櫻井 まず審査通過のご連絡とともに、今後ピッコマで連載していくかどうかの意思の確認を行います。連載が決定した場合、表紙やキャラクターのイラストが必要なので、作家さんと私たちとで二人三脚で作っていきます。原稿を書いていただきながら、「このキャラクターの特徴は?」「表紙はどういうイメージにしますか?」といったやり取りが始まって……最短で審査通過の連絡を受けてから3カ月ぐらいで連載が始まると思っていただけると。しかも連載開始の段階で応募された20話が配信されるので、ストックが一気になくなります(笑)。一気に忙しくなると思うのですが、こちらもプロの校正を入れて文章のクオリティを底上げするなど、しっかりサポートするので安心してください。もちろん21話以降の原稿料もしっかりとお支払いします。

──ピッコマノベルズ大賞は応募者全員にフィードバックがあるんですよね。全作品を丁寧に講評するのはかなり手厚い対応ですが、これも作家さんの執筆活動を支援したいという思いから行われているのでしょうか?

櫻井 その通りです。規約違反作品を除いてになりますが、審査を通過するかしないかに関わらず、読者審査員からの審査レポートを応募者全員にお送りします。審査レポートの内容をざっくり説明すると、1話から20話までの各話の読了率や、読者審査員からのコメントが表になったものです。ほかのコンテストや公募ですと、2次審査や3次審査からはフィードバックが返ってくるけれど、1次審査では何も返ってこないのが一般的かと思います。しかしピッコマノベルズ大賞では、審査の結果に関わらず何かしらの感想が届きます。しかもピッコマの熱心なノベル読者からの率直な感想です。これまでいろんな賞に応募しているけれど特に感想やコメントがもらえず「方向性はこれでいいのかな?」とモヤモヤしていたり、「自分は面白いと思って書いているのに……」とくすぶっている方でも、必ず何かしらのフィードバックがあるので、活用してもらえたらうれしいです。創作を続けていくうえで糧になる経験が得られると思います。

左から長谷川香織氏、青木伸吾氏、櫻井理沙氏。

左から長谷川香織氏、青木伸吾氏、櫻井理沙氏。

──客観的な指摘をもらえるのは大きな財産になりますよね。ちなみに数多くの作品を皆さんがどう審査されているのかも聞きたかったのですが、どのような心構えで応募作品を読まれているのでしょうか?

長谷川 まずはいち読者として「心に響くような面白い物語か」という気持ちを大切にしています。審査を通過するとピッコマで週刊連載されることになるので、毎週連載を追いかけたくなるような各話に強い引きを持つ作品か、という視点も重視します。同時に、SMARTOON化とコミカライズを見据えたときに「ピッコマの読者好みのSMARTOON/コミックになりそうかな?」と、第三者的視点でも読むようにしていますね。

青木 私も大体同じですね。付け加えるなら誤字脱字をあまり気にしないことでしょうか。どんな作品にも当然誤字や脱字はあるのですが、実際に連載する前にはプロの校正が入るので、あまり気にしないようにしています。

櫻井 ほとんど2人と一緒なんですけど、私は書いている人の方にも興味が向くので、「こんな表現を書ける人は、一体どんな人なのだろう?」と考えます。そういう興味を持てた作品は1人の読者として追いかけたくなりますね。定番の展開とか、今人気のあるジャンルだけじゃなくて、その人にしか書けない作品をたまに見つけると、すごくうれしくなっちゃいます。

単発のお付き合いから、継続的なお付き合いに

──これまではピッコマノベルズ大賞で1次審査を通過したノベルのみ連載化され、その後作家さん単位で新たに作品を発表する場はありませんでした。ただ、今後は賞を介さずとも連載できるチャンスがあるんですよね。具体的にはどのように連載する作家さんを決めるんでしょうか?

青木 ピッコマのトレンドや読者の嗜好性を深く理解されている連載作家さんにまずはお声がけして、一緒に作品を作っていきたいと思っています。ただ今後この取り組み自体をさらに拡大していきたいので、トレンドや読者の好みを解説するワークショップの企画をまさに今進めていて。そういった機会を増やしながら、二人三脚で新作を作る機会をどんどん増やしていきたいです。

──作家と担当編集の関係に近い、いわばピッコマ公認の作家制度という感じでしょうか?

青木 そのようなイメージですね。ピッコマノベルズ大賞はあくまでもノベルコンテストであり、出版社の役割を持っているわけではありません。よって連載作品が完結するとそこで関係が切れてしまうんです。これは作家さんにとっても、ピッコマで作品を読んでいる読者にとっても、我々にとっても非常にもったいないと思っていました。この課題を作家さんのご支援につながる形で解決できないかと考えていたときに、今までよりも一歩踏み込んで第1話から原稿料をお支払いして、連載できる場所を提供できれば、これまでよりもより直接的なご支援ができるんじゃないのかなと。ちなみにピッコマノベルズ大賞で審査を通過し連載した場合の原稿料よりもいい条件で原稿料をお支払いいたします。

左から長谷川香織氏、青木伸吾氏、櫻井理沙氏。

左から長谷川香織氏、青木伸吾氏、櫻井理沙氏。

櫻井 作家さんに任せきりだった、作品作りの最初の部分に協力したいという思いもありました。「ピッコマだと今こういう作品が人気です」とか、「ここをもう少し調整されたほうがピッコマの読者に喜んでもらえそうです」とか、こちらとしても伝えられる情報はたくさんあるんですね。それは今も機会があれば共有しているんですが、作品の構想段階からお伝えできるともっと効果的ですよね。

──0から1を作るに当たってのヒントがあれば、作家さんもより書きやすくなりそうですね。

櫻井 ピッコマから提供されている賞の募集テーマや説明文を応募者各々が読み解いて、「こういうものかな?」と、暗中模索で書き上げたものが連載になり、新作を発表できればいいんですが、必ずしもうまくはいきません。作品の構想段階でお話したり、疑問に答えたりするだけでも、ヒットする新作を生み出す確率はかなり上がると思います。

長谷川 きっと執筆活動の支えになりますし、そうなるように我々としても力を入れていきたいです。

「なんでもいいよ! ノベル書けたら送ってみて!」

──最後に応募者に向けて激励の言葉をお願いします。

長谷川 では、かの有名な金原ひとみさんのお言葉をお借りして……(笑)、「なんでもいいよ! ノベル書けたら送ってみて!」と思っています。プロ・アマチュアまったくの初心者を問わず、どんな方でもチャレンジしやすいように、いろんなテーマを今回は用意しました。何度も応募できるコンテストなので、チャンスも多いと思います。審査を通過できなくても審査レポートが届くので、それを参考にピッコマ読者の好みを探りながら次の執筆に活かしていただき、ぜひ継続して挑戦してもらえたらと思います。

櫻井 前回に比べてテーマが増え、募集期間も長くなり、大きく間口が広がりました。そして実は募集テーマ外の作品も応募可能な「チャレンジ枠」も新たにご用意しています。前回まではSMARTOON向きの原作募集に特化していましたが、今回はコミカライズも検討していくので、より可能性は広がったことも大きなポイントです。そして先ほどもお話しましたが、審査レポートがもらえるのはかなりのメリットだと思います。これから創作活動を始めたい人も、すでに創作をしている人も、ぜひ一度送っていただけるとうれしいです。

青木 手前味噌ですが夢のあるコンテストだと思います。作品の配信だけでなく、賞金がもらえて、SMARTOON化もしくはコミカライズが確約される。しかも過去受賞された作家の皆様の中には執筆経験がない人もいましたが、今や人気作家として連載されています。普段ピッコマでSMARTOONをたくさん読んでいる人の頭の中には、ピッコマで売れる作品のトレンドが蓄積されていると思うので、ピッコマの熱心な読者もチャレンジとして大歓迎です。あらゆる可能性を拾いたいと思っていますので、新作でも過去作でもなんでも大丈夫です。ご応募お待ちしております!

左から長谷川香織氏、青木伸吾氏、櫻井理沙氏。

左から長谷川香織氏、青木伸吾氏、櫻井理沙氏。