コミックナタリー PowerPush - ナタリー×an 教えて!センパイ~あの頃のバイト生活~

大橋裕之の場合

アルバイト・求人情報サイト「an」とナタリーとのコラボレーション連載企画「教えて!センパイ~あの頃のバイト生活~」の第7弾に、大橋裕之が登場。実に10種類以上ものアルバイトを経験してきたという彼が、苦い思い出やマンガ執筆に活きていることなどを語ってくれた。

なおanの特設サイトでは、事前に寄せられたバイトに関する質問や悩み相談への大橋による回答が掲載されている。こちらも併せてチェックしてほしい。

取材・文/安井遼太郎 撮影/小坂茂雄

 
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工場でおばちゃんに身体を触られた

──大橋先生が高校を卒業されてからしばらく、実家を離れて生活されていたときを描いた「遠浅の部屋」には、いろいろなバイトのシーンが出てきますね。これまでの人生で何種類ぐらいのバイトを経験されたんでしょうか。

大橋裕之

どれくらいかな? 昨日一応全部思い出してみて、スマホにメモしてきたんですが……。えーっと、(数えて)12種類ぐらいでしょうか。

──結構な数ですね! 人生で最初にアルバイトをされたのは。

中学生のときに新聞配達をやったのが最初です。

──普通の人よりだいぶ早い気がしますが。

そうなんです。そんなに労働意欲があったわけではないんですが……友達がやっていて、うらやましいなと思って始めたんです。本当は学校に言わないといけないんですけど、僕は届け出てなかったので、担任の先生から注意されて2ヶ月くらいで辞めることになりました。

──(笑)。

高校のときも何個かバイトをやった末、人と話すのが苦手だったので、結局新聞配達に戻って。「遠浅の部屋」にも描いたんですが、あの時期も新聞配達をやってましたね。

──新聞配達に並々ならぬこだわりが。

そうですね(笑)。単純作業を自分のペースで、何か考えながらできるので。

──他にはどういう職種を経験されたんでしょう。

高1の夏休みには親の知り合いの工場みたいな……建設現場で使ったブルーシートを回収・洗浄して、壊れたところを補修するところを手伝っていました。

──へえ、そんな場所があるというのを初めて知りました。印象に残っている出来事はありますか?

そうですね……その工場で、おばちゃんに痴漢というか、身体を触られたことですかね(笑)。

──ええっ!? 痴女みたいな……?

洗われてきたブルーシートを僕がローラーから受け取って、それをしゃがんでるおばちゃんに渡す、みたいな流れ作業だったんですけど……僕が渡そうとしたときに、お尻をガッと掴まれたんです。「えっ」と思ったら「ごめんね、間違っちゃった」みたいに言われて。いや明らかに偶然ではありえないだろうと。

──(笑)。何か抗議したり?

いえ、その人はおばちゃんのパートの中でもボスみたいな感じの人だったので、こっちは何も言えないですよ。それ以上は特に何もなかったですが……。

──不幸中の幸いですね。

はい。でも本当に、こんなしょうもない話だったらいくらでもあるんですよ(笑)。

妄想するだけで満足していた

──「遠浅の部屋」では1度は夢破れて実家に戻られるまでが描かれていますが、その後は地元で一度就職されたんですよね。その前後にアルバイトはされてたんですか?

ええ。24時間営業をしていたゲームセンターの夜中担当とか……。すごく寂れたゲーセンだったんで、暇な時間はマンガを描いていられたのはよかったんですが、客層がヤンキーとかチンピラみたいな人ばかりで。

──ややもすれば身の危険がありそうな……。そういう人々の対応をするのは苦ではなかった?

いやー、すごく嫌でした(笑)。これで寂れてなかったらやってないですよ。しょっちゅう絡まれたりもしたし……。電話してるのを横から聞いたら、「そんなやつは消せばいい」だとか物騒なことを言ってて。

──ええっ。普通に怖いですね……。

大橋裕之

あとコインをくれって言われたんで「それはちょっと無理です」って言ったら、軽く蹴られて。それに反応して相手の肩を少しだけ押したら、「お前今殴っただろ」「いくつだ」って言われて。そこから「お前との歳の差だったら、俺が小学6年生だったとき、お前は1年生だったんだぞ」って説教が始まったり(笑)。

──ははは。

その後駐車場に車を見に行ったら、タイヤが全部パンクさせられてて……確実にそいつの仕業だと思うんですけど。そのゲーセンはさすがにここにいたらまずいなと思って、辞めました。

──正解だと思います。ほかにはありますか?

ゲーセンの後、本屋と合体したCD屋で働いたんですが……本屋には学生のアルバイトがいっぱいいて。

──疎外感を感じそうですね。

はい。ある日僕が夜中にレジを閉めて帰ろうとしたら、普段あんまりしゃべらない本屋の大学生バイトの集団から「大橋さん」って呼び止められて。「なに?」って言ったら、「合コンやりたいんですけど、大橋さんのツテでだれか女の子いませんか?」って言われて。僕合コンなんてやったことないし、女友達とかもいないんで「あー、俺ちょっとわかんないな……」って言ったら、一瞬沈黙があった後に「もう行っていいっす」って言われて(笑)。

──それはあまり思い出したくない記憶ですね……。

話しかけられた瞬間はなんかちょっとうれしいんですよ(笑)。でもそのときはすごく、つらい気持ちのまま家に帰りましたね。

──大橋先生は、バイト先で恋人ができたことはないんでしょうか。

いやー、ないですね。女子との出会いにあこがれはもちろん僕も持ってたんですが、あんまり期待していなかったので妄想するだけで満足していました。

──なるほど、すごくよくわかります。

極端な話、死んじゃったらその満足感も得られないわけですし、それができるだけで万々歳というかね。一種諦めに近い気持ちともいえますが。

ナタリー×an 教えて!センパイ~あの頃のバイト生活~

「an」特設サイトではナタリーとの連動企画として、一般ユーザーから寄せられたバイトに関する悩みや相談にゲストが答えるコーナーを掲載。大橋裕之にはインタビューとあわせて、さまざまな質問に答えてもらった。

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大橋裕之(オオハシヒロユキ)

大橋裕之

1980年1月28日生まれ。愛知県蒲郡市出身。2005年から自費出版で活動を開始し、ミニコミやフリーマガジンなどに執筆する。代表作に「シティライツ」「夏の手」「音楽と漫画」「遠浅の部屋」など。「音楽と漫画」収録の「音楽」はアニメ映画化が決定している。また「シティライツ」を原作とした映画「超能力研究部の3人」が、乃木坂46のメンバー主演により2014年12月に公開される。