お笑いナタリー PowerPush - ナタリー×an 教えて!センパイ~あの頃のバイト生活~

劇団ひとりの場合

劇団ひとりがアルバイト・求人情報サイト「an」とナタリーとのコラボレーション連載企画「教えて!センパイ~あの頃のバイト生活~」に登場。16歳で芸人としてデビューし、今年2014年5月に初監督映画「青天の霹靂」の公開を迎えた劇団ひとりが、若かりし頃に経験したさまざまなアルバイトの貴重なエピソードを語ってくれた。

なおanの特設サイトでは、事前に寄せられたバイトに関する質問や悩み相談への劇団ひとりによる回答が掲載されている。あわせてチェックしてみよう。

取材 / 遠藤敏文 文 / 狩野有理 撮影 / 小坂茂雄

 
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最初のバイト代で買ったのは“中間徹モデル”の変形学生服

──劇団ひとりさんが初めてやったアルバイトってなんですか?

劇団ひとり

最初は引越し屋でした。高校生になってすぐの頃だったんですけど、履歴書を持って行くとそのまま現場に向かうことになって。日給8000円とかでした。本当に過酷でしたね。若いからできたんだと思いますけど、ちっちゃい冷蔵庫くらいだと1人で運ばないといけないんですよ。しかもエレベーターも何もない建物で階段を1人で昇り降り。相当きつかったです。でも初めてお金を稼いで、しかも8000円という大金ですから、しばらくはけっこう楽しんでやってました。

──その最初のアルバイトっていうのは何か買いたいものがあって始めたんですか?

当時学ランだったんですけど、その学ランの変形学生服みたいのがあって。どうしても“中間徹モデル”が欲しかった。

──あははは! 「ビー・バップ・ハイスクール」の。

中間徹モデル、高いんですよ! 2、3万はしたと思います。それが欲しくって。僕の学校はとくに校則が厳しかったので、加藤浩志モデルは短ランだから一発アウトなんですよ。中間徹モデルは中ランだから見た目はほぼノーマル。ほとんど標準学生服と変わらないので、学校に着て行ってもバレないっていう理由で中間徹モデルを買ったんです。結局バレないくらいだから誰も気づかないんですけど(笑)。そういう意味で言うと無駄な使い方しちゃいましたね。

──そのあとはどんなバイトをされたんですか?

ほかにもいっぱいアルバイトするんですけど、実は最後のアルバイトも引越しなんです。それが24歳くらいのとき。コンビを解散して給料がゼロになっちゃって、仕方がなくて始めました。自分の中ではできるっていうイメージだったんですけど、当時運べた冷蔵庫が運べなくなってるんですよ。

──24歳にしてですか?(笑)

劇団ひとり

最初は16歳ですから。そこからいろいろと不摂生してるから運べなくなってるわけです。そのときは自分より年下のやつがチームリーダーだったんですね。初日入ったら「よし、新人歓迎会やるか」みたいな感じで言われたんですけど、「新人歓迎会」が何かって言うと、それはとある事務所の引越しだったんですが、階段の踊り場を担当させられるんです。階段の踊り場っていうのは、下から上にも持ってくし、上から下にも持ってかなきゃいけない一番ハードなところなんですよ。それをやらされて1時間くらいで倒れて、汚い話、嘔吐しちゃって。そしたらそれを尻目にリーダーに「荷物にゲロかけたらぶっ殺すからな」って言われて、非常に惨めな思いをしました。

──体力的にも精神的にもかなり過酷ですね。

そのリーダーは運転手も兼ねていて、リーダーともう1人と僕の3人でトラックに乗って次の現場に行くんですけど、車中で「お前何やってんの?」って聞かれたことがあったんです。「実はお笑いやってます」と答えたら、しばらく経ってそのリーダーが「お笑いと引越しは一緒だ」って言うんですよ(笑)。何が一緒なのかわからなかったんですけど、「客が求めることに応えてくっていう意味で言うとまったく一緒だ」と。全然違うんじゃないかなと思いながらも「そうかもしれないですね」と返しました。それが最後のアルバイトですね。

「川島は、俺になれる」

──引越し屋のほかにはどんなアルバイトを?

居酒屋とかファストフード店でもやりましたね。ファストフードはけっこう僕、性に合ってたみたいで16歳にして1人で厨房を任されました。そこの僕の教育係の人も16歳でファストフードのバイトを始めた人で。とにかくハンバーガー作りに魅了されて、そのまま正社員になって、ハンバーガー作りで全国2位になった人なんです。

──へー! すごい。

いろいろ教育されながら、「俺は若い頃からずっとやってきて、今正社員になって本社に呼ばれてる。表に停まってるGT-R見たか。あれ、俺の車だ」「まさかバイトだった俺が、あのGT-Rを手に入れるまでになるとはな。川島(劇団ひとりの本名)は、俺になれる」って言われて(笑)。とにかく僕の筋がいいってことで、「俺が培ってきたすべてをお前に教えてやる」みたいな。それで、その人が僕に教えてくれる最後の日があったんですね。いよいよ明日から一人立ち、最終テストをやるっていうことになって、「ハンバーガーの作り方を言ってみろ」って僕に言うんです。「まずバンズをセットしてそのあとタイマーを……」みたいなことを答えたら、「違うよ、川島。ハンバーガーはここで作るんだ」って僕の胸を指してきて。

──あはははは!

「お前にはここがある。がんばれよ」って。あの人熱かったですねー。結局そのあと僕1カ月くらいでやめたんですけど(笑)。そのあとは転々としましたね。とにかく飽き性だっていうのもあるんですけど、すでに16歳でお笑いを始めていたので、いろんなものを経験したいっていうのがあったんです。ネタになるだろうなと。ガソリンスタンドだったり、いわゆる汚物処理みたいなものも。

──汚物処理と言うと?

劇団ひとり

マンホールの下に8畳くらいの部屋があるんですよ。デパートの地下だったんですけど、そこに3カ月分くらいの汚物が全部貯まってるんです。それを清掃車に乗って行って処理するという。正社員の人が太ももくらいまである長靴で中に入るんですけど、どう考えてもかさが合わなくて、長靴の中に汚物が流れ込んでるんです。それでもまったく気にしないで黙々と掃除するんですよ。で、昼飯食べてるときに、社員の人が腕にロレックスはめてて。こういう仕事だから儲かるんだろうなーと思って「すごいですね」って言ったら、「すごいだろ。これ、中で拾ったんだ」って(笑)。誰かが便所に落としたやつがそのまま流れてきて、それを拾って使っているという。でも、その状況でも刻々と時を刻むロレックス(笑)。

──あははは!

さすが一流メーカーですよ。あとは飲食もやったし警備員もやりましたし。バイトは2、30種類はやったんじゃないですかねえ。

ナタリー×an 教えて!センパイ~あの頃のバイト生活~

「an」特設サイトではナタリーとの連動企画として、一般ユーザーから寄せられたバイトに関する悩みや相談にゲストが答えるコーナーを掲載。劇団ひとりにはインタビューとあわせて、さまざまな質問に答えてもらった。

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劇団ひとり(ゲキダンヒトリ)

劇団ひとり

1977年2月2日生まれ、千葉県出身。1993年デビュー。2000年にコンビ解散後、劇団ひとりとしてピン芸人に。2006年には「陰日向に咲く」で小説家デビュー。現在は「ゴッドタン」(テレビ東京系)、「OV監督」(フジテレビ系)、「幸せ!ボンビーガール」(日本テレビ系)、「中居正広のミになる図書館」(テレビ朝日系)などにレギュラー出演中。2014年5月に自身の小説を原作とした初監督映画「青天の霹靂」が全国公開された。太田プロダクション所属。