コミックナタリー PowerPush - アニメ「はじめの一歩 Rising」

「戦後編」収録! 森川ジョージがアニメを解説 コメンタリー収録現場潜入レポートもお届け

森川ジョージ(原作者) × 喜安浩平(幕之内一歩役) × 小山力也(鷹村守役)オーディオコメンタリー収録現場レポート

「『はじめの一歩 Rising』Blu-ray & DVD BOX part I」で、好評を博したオーディオコメンタリー。今回も原作者の森川ジョージ、幕之内一歩役の喜安浩平、鷹村守役の小山力也の3名が参加するという情報を聞きつけ、コミックナタリーは笑いと秘話が飛び交う収録現場に潜入した。

気心知れた3人がツッコミ交じりの和気あいあいトーク

2014年初夏、都内某スタジオ。「はじめの一歩 Rising」第21話、第25話を観ながらのオーディオコメンタリーが録音された。原作者の森川ジョージと、喜安浩平(幕之内一歩役)、小山力也(鷹村守役)は、2000年にアニメ化されて以来、15年にわたる付き合い。すっかりお互いに気心も知れた様子で、和気あいあいとした雰囲気の中、収録は進んでいく。

第21話より、イーグル。

第21話は、鷹村とイーグルによる世界タイトルマッチが決着を迎える回。画面では死闘が繰り広げられるが、コメンタリーはまず当日喜安が現場に遅刻したという話題から始まる。実は当日、公共機関のトラブルにより、3人の中で一番若い喜安が先輩を待たせてしまうという事態が発生していた。

「エラくなったもんでございます」「目が腫れぼったいですよ」とツッコむ小山に、「これが15年の歳月かと……」「昔は本当にいい青年という印象だった」とノッかる森川。喜安は終始、2人からイジられ続け、現場の笑いを誘った。

物語については、森川が執筆の裏話を披露。あらかじめ勝敗を決めつけず、「(対戦する)2人の持っているモノや、背負っているモノ」を描き出してから、いつも試合を描き始めていることを明かす。一方の小山は、第21話の終盤で鷹村が、勝ち取ったチャンピオンベルトを鴨川会長へ渡すシーンについて解説。音響監督から「こういう風に言ってみたらどうか」とアドバイスを受け、何度もリテイクしたエピソードを語った。

実は2人とも若き日の鴨川会長役を狙っていた!?

第25話より、鴨川、猫田、ユキ。

続いて第25話、戦後編の最終回を観ながらの収録。若き日の鴨川会長や猫田たちを描いたエピソードに対し、小山が「ジジイ(=鴨川会長)の若いときは、俺がやらなきゃいけないと思っていた」と話せば、喜安もすかさず「僕も思ってましたよ」と返す。実は両者とも鴨川役を狙っていたのだが、まったくオファーが来なかったというオチ。

戦後編のヒロインであるユキが登場するシーンでは、喜安が「生き死にのかかった場(=試合)で、どれぐらい(大事な人のことを)考えていられるんでしょうね?」と質問。森川は「相当考えるみたい」と即答する。曰く、現実のボクサーたちも最後は「あいつの前でカッコつけたい」「カッコ悪いところを見せられない」と頑張ることが多いのだという。

鴨川会長役・内海賢二、猫田役・永井一郎への思い

ラストシーン。まとめに入ろうとする小山の口から、「この辺はね、やっぱりいろんなことを思っちゃうからね」「ちょっとアホなことを言ってないと観てらんないですけどね」などの言葉が出てくる。

第25話ラストシーンより、鴨川会長と猫田。

鴨川会長役だった内海賢二、猫田役だった永井一郎の相次ぐ訃報。喜安が「(第3期のアニメが)戦後編で終わったということが、すごくいろんなことを雄弁に語っている」「お世話になってきたものを何とかして返したいと思ってきた第3期だった」と語れば、小山は「自分の人生と切り離して考えることのできない出会いをいただいた」と声を詰まらせた。

作品にかける熱い想いが詰まったオーディオコメンタリー。全容は「『はじめの一歩 Rising』Blu-ray & DVD BOX part II」にてお楽しみいただきたい。

Contents Index
森川ジョージ(原作者)インタビュー
森川ジョージ(原作者)×喜安浩平(幕之内一歩役)×小山力也(鷹村守役)オーディオコメンタリー収録現場レポート
アニメ「『はじめの一歩 Rising』Blu-ray & DVD BOX part II」 / 2014年8月20日発売 / バップ
Blu-ray BOX / 19440円 / VPXY-72911
DVD BOX / 16200円 / VPBY-10966
Blu-ray BOX & DVD BOX共通特典
音声特典
オーディオコメンタリー(2話分収録)
森川ジョージ×喜安浩平(幕之内一歩役)×小山力也(鷹村守役)
封入特典
  • フルカラーブックレット(森川ジョージインタビュー、宍戸淳監督&西村聡監督対談インタビュー収録)
  • 連動特典全プレ応募券
あらすじ

劣勢続きの一歩を救ったのは進化したデンプシーロールだった。カウンターが成立しない新型デンプシーロールを見ていた宮田にも戦慄が走る。会場内に巻き起こる怒涛の幕之内コールを背負って、一歩の拳が沢村を追い詰める。対し沢村も鮮血に顔を赤く染め、反則覚悟の攻撃で一歩に噛み付いていく──!ぶつかりあう活人の拳と殺人の拳。長き闘いに終止符が打たれようとしていた。(第13話より)

森川ジョージ(モリカワジョージ)

1966年1月17日東京都生まれ。1983年週刊少年マガジン(講談社)にて「シルエットナイト」でデビュー。1989年、ボクシングを題材に「はじめの一歩」を連載開始。同誌不動の看板作品と言われるほどの大ヒット作になる。同作は1991年に第15回講談社漫画賞の少年部門を受賞。2000年、2009年、2013年と3度にわたりアニメ化される。自身も熱狂的なボクシングファンとして知られ、趣味が高じてジムを経営しているほど。